限界独身オタク男性とスズキ・カプチーノの話
最近新しいクルマを買ったので、今まで乗っていたカプチーノについて書きます。
どんなクルマ?
スズキが1991年に発売した小型軽量FRオープンスポーツカー。
外観
丸みを帯びたデザインとそのサイズから「かわいい」と評されることが多いですが、きちんとスポーツカーらしいかっこよさも兼ね備えています。
国産軽スポーツカー唯一のFRであり、お手本の様なロングノーズショートデッキです。
ハードトップ(幌ではない硬い屋根)が付いていますが、3分割で取り外せる様になっていて、Tバー・タルガ・フルオープンの3種類のオープンスタイルが楽しめます。そんなに種類があってもあんまり意味がないとか言っちゃいけない。
ボディサイズと車重
ボディサイズは旧規格の軽自動車なので
全長3295 mm x 全幅1395 mm x 全高1185 mm
となっていて、非常に小さいです。現代のミニバンや大型SUVと並べたりするとあまりの小ささにおもちゃか何かかと思っちゃいます。おもちゃだけに。
そして車重は700kgしかありません。
……700kg!?
カプチーノと同時期に販売されていた軽スポーツカーであるホンダのビートは760kg、マツダのAZ-1は720kgであることを考えると特に軽く作られていると思います。なお同時期のアルトワークスはカプチーノより軽い模様。スズキは今も昔も軽量化に命賭けてんな。
ちなみに何故ここまで軽いのかと言うと、旧規格ゆえの衝突安全性の低さとかもありますが、ボディにアルミ素材をふんだんに使っているからですね。ボンネットとか片手で持てる。いくらバブルの時代だったとは言え軽自動車にそこまでするとか正気か?
エンジン
スズキが誇る最強(個人の格付けです)の軽エンジンであるF6Aが搭載されています。後期型になるとアルミ製のK6Aエンジンが搭載される様になります。
F6A鋳鉄製で耐久力が高く、チューニングベースには最適とか言われてたりします。勿論私のカプチーノもエンジンチューンを行いましたが、詳細は後ほど。
ちなみにターボエンジンですので、フルノーマルでも自主規制一杯の64馬力出ます。実はカタログ値よりも馬力が出てたとかいう噂が……。
足回り
前後ダブルウィッシュボーンに4輪ディスクブレーキという、スポーツカーオタクも大満足でにっこり笑顔になること間違い無しの仕様。
軽自動車で前後ダブルウィッシュボーンを採用したのはカプチーノが初めてだとか。そりゃそうだ。いくらバブルの時代だったとは言え軽自動車にそこまでするとか正気か?(2回目)
また、ホイールベースは2060mmというかなり短い値となっており、後述する重量バランスの良さとも相まって非常によく曲がります。
ちなみにこの数字、あの「吹っ飛んでいった頭のネジの方」と言われるプロのラリードライバーをして「直線では気が抜けない」と言わしめたランチア・ストラトスのホイールベースより短いです。正気か?
重量バランス
カプチーノはロングノーズショートデッキの見た目に反して、重量バランスが非常に良いです。その数値はなんと51:49!これはスズキいわく「ドライバーが乗車した際に50:50になる数値」とのこと。
エンジンがフロント車軸後方にマウントされるフロントミッドシップになっているので、バランスがいいだけでなくマスの集中化もきちんと行われています。
内装
(撮って無かったので写真は無いです。そのうち撮って貼り付けるかも)
スポーツカーらしいシンプルで無骨な内装です。高級感はありませんが、個人的には好きな内装です。華美な内装だとちょっと落ち着かないので……。
特筆すべきはその圧倒的な狭さです。めちゃくちゃ狭い。運転席から楽に助手席のドアを開けられるほどです。接触の機会が増えるから女の子とのデートには良いかも。
収納
2シーター軽スポーツなので期待してはいけませんが、当時の軽スポーツカーであるホンダのビートやマツダのAZ-1よりは全然荷物が積めます。トランクだってちゃんと存在しますし、グローブボックスや小物入れもあります。加えてシート裏にもちょっとしたスペースがあるので、工夫すれば結構な量の荷物が積めます。2人で1泊2日くらいはなんとかなるかも。やっぱりデート向けでは?ただしドリンクホルダーはありません。これが地味に不便。
ちなみにオープンにした場合は外した屋根でトランクが埋まるので荷物はほとんど積めなくなります。こればっかりはしょうがない。
自分のカプチーノに手を入れた箇所
エンジンがメインで他はちょいっと。
車体は購入時点で10万km修復歴有り30万円でした。
エンジン
F111キット
鍛造ピストン
コンロッド用カーボンメタルベアリング
クランクシャフトバランス取り
ポート研磨
メタルガスケット
3層ラジエータ(純正改造)
F111キットというのは以下のパーツがセットになったものです。
ポン付け(+給排気強化)で111馬力出るとか言う奴。
ちなみにこれらの組付けはOHも兼ねていて、バランス取りとラジエーターの改造以外は全部、私の父親がやりました。4年と半年掛かってたぞ……(よって乗ってたのは7年だけど所有は11年半)。
給排気
どこの奴かろくに調べてもいない社外エアクリ
フジツボのパワーゲッター
社外エアクリは購入時から付いてた奴で、パワーゲッターは純正マフラーに穴が空いて車検を通せなくなったので安い奴を探した結果。
駆動系
強化クラッチ
これも父親が組付けた奴。どこのなんて奴かは忘れました……。ちゃんと重くてそれっぽさ出ます。
足回り
カヤバ NEW SR Special
カヤバのカプチーノ用ショック。購入時に付いてた純正品はスカスカに抜けてたので購入。純正よりも安かったので(1本1万円しないってマジ?)。ついでにスプリングも純正新品に入れ替え。
ボディ
自作ドアスタビライザー
下記記事参照
インプレ:良いところ
コーナリングの良さ
やっぱり一番はこれですね。軽い車体とホイールベースの短さも相まって非常に良く曲がってくれます。特に低速コーナーはまるで天国のようですね。
ノンアシストゆえの抵抗を感じながらハンドルを切って行き、コーナーのRに合う位置でピタッと止め、アクセルを踏みながら抜けていくのがバッチリ決まった時は最高に気持ちいいです。反応が良いので、アクセルを入れたり抜いたりで微修正出来るのも良いですね。
サスを新品に入れ替えた際にフロントの車高が妙に上がってしまったのですが、そんな状態でもグルングルン曲がってくれたので、車高調入れてちゃんとセッティングしたらとんでもなく曲がるようになるんじゃなかろうか……。
車重に対して十分なエンジンパワー
これはオリジナルエンジンではなく、F111等をインストールした私のカプチーノに限った話なのですが、エンジンパワーが非常に丁度いい感じになっています。恐らく100馬力程度出ているのですが、スポーツカーとしては低い馬力でも車重が700kgしかないためかなり走ってくれます。山で遊んでいる限りではアクセルを床まで踏むことがあんまり無い程度のパワーがあります。また、床まで踏んだ場合でもギリギリ手の内に収まってる感があるのでそこまで怖くありません。
まああくまで私の使い方における私の感想でしかないので、サーキットを走る方とか、山でかっ飛ばしてる人とかはパワー不足を感じるかもしれません。
ちなみにノーマルエンジンを運転してた期間は本当に短かったのでどんなもんだったか覚えてないです。
オープンカーである
屋根が開くクルマである。これ以上の幸せがあるだろうか?いやない。
分割式ハードトップなので、マツダのロードスターとかと比べるとお手軽さは下がりますが、それでも屋根を開けることが出来るというのは非常に良いです。オープンで走るのは最高に気持がいい……。
車体のコンパクトさ、軽さ
やっぱりこのコンパクトさと軽さが一番良いところかなと思います。旧規格の軽自動車サイズは峠道を走るのにピッタリです。狭い碓氷峠でも気を使うこと無く振り回せます。
車道を走る自転車を避ける時や、古いお店の狭い駐車場でも気を使う必要が無いのは楽で良いです。
ステアリングの重さ
上の方でもチラッと書きましたが、カプチーノはノンアシストの重ステです。と言っても車重が軽いため、クルマが動き出せば貧弱な私も問題なくハンドルを回せます。逆に据え切りなんてしようもんなら重いとか重くないとかの前にステアリングが壊れそうで怖いです。パワステのクルマに乗ってる人も据え切りはあんまやらない方が良いですよ。多分。
ちょっと話が逸れましたが、ノンアシストがゆえにタイヤのグリップを感じながら運転することが出来ます。これが非常に気持ちいい。ブレーキ踏みながらとか、下りとかだとあからさまにハンドルが重くなるのが感じられるので、クルマがどんな状態なのかを感じ取ることが出来ます。パワステ車だと味付けによってはどんな状態でもハンドルがスイスイ切れちゃってちょっと怖いんですよね……。
遮音性の低さ
ハードトップとは言えオープンカー、そして旧軽規格ゆえのボディの薄さ、軽量化のための遮音性能の犠牲、等が理由でカプチーノは遮音性が低く、あちこちからいろんな音が聞こえてきます。それは良いところなのか?という声が聞こえてきそうですが、私にとっては間違い無く良いところです。
そういうクルマに馴染んじゃったからか、遮音性の高い静かなクルマに乗ると違和感が凄いんですよね。あちこちから変な音が出てるクルマの方が好きです。助手席に乗せる人も居ないし。
インプレ:悪いところ
高速走行時に不安定
ホイールベースが短く、トレッドも狭いことを考えると当然ではあるのですが、速度を出していくと不安定で結構怖いです。低速コーナーが天国であることの代償ですね。とは言え高速道路を普通に走る分にはどうってことないです。雨の日は別ですが。
普通車のスポーツカーがあっさり抜けていく高速コーナーに同じ速度で突っ込むのは結構勇気が要りますね。限界は遥かに先にあると思いますが、ロールや横Gも相まって怖いものは怖い。車高落として足を固めてバケットシート入れて身体をちゃんと固定してやれば恐怖を感じる速度自体は上がると思う。
バケットシートはともかく、車高を下げるのは乗ってる間にやっておいても良かったかもなあ……。
小さいがゆえに他のクルマから見えづらい
前後に短く幅が狭く高さも低いため、他の車輌から見えづらいです。高速道路でトラックに挟まれた時とかめちゃくちゃ怖いですね。Twitterでカプチ乗りのフォロワーが信号待ちでトラックに追突されてたのですが、トラックの運転手の言い分は「見えなかった」らしいです。明日は我が身……いやもう乗ってないんですが。
また、店舗の駐車場等で枠の一番奥まで入れてしまうと、隣に駐められた他の車輌のせいで見えなくなってしまい、空いてると思われてぶつけられる、みたいなこともよくあるらしいです。それを聞いてからは出来るだけ枠内の前方に駐めて見えやすくするようになりました。
ボディ剛性がヤバい
10万km歴有り車ゆえの問題かもしれませんが、うちの個体はボディがヨレヨレでした。新車なら全然大丈夫なんだと思いますが、世の中のカプチーノの大半は相当な距離を走ってると思うので、今乗ってる人や今後買おうと思ってる人はボディの補強を考えると良いかもしれません。ドアスタビライザーも結構良いですよ!
部品がそろそろ怪しい
流石に30年以上前のモデルなだけあって純正部品の一部が出なくなってるみたいです。専門店が存在する程度には人気のあるクルマなので手を尽くせばまだ維持出来ると思いますが、これからどんどん維持コストは上がっていくでしょうね。まあ30年前のクルマって言ったら普通に旧車ですからね。旧車の維持はそりゃ普通につらいです。
名車だと思うのでどうにか維持できる状況を保って欲しいです。純正じゃなくて社外品でも良いので……。
今後カプチーノを買おうと思ってる人へ
最近カーセンサーで相場を見てびっくりしたんですけど、めちゃくちゃ値段上がってるんですね。10万kmオーバーの個体に100万近い値が付いててびっくりしました。こうなって来ると200万とか300万とか出して程度の良い個体を買わないと安心出来ないと思いますし、走行距離が少なくても20~30年前のクルマなのでどこかしら壊れると思います。ある程度の覚悟……というか修理費を持ってないと厳しいクルマかもしれません。うちのカプチーノも細かいところの調子はずっと悪いままです。クーラーが冷えないとかパワーウインドウの動きが遅いとか雨漏りとか……。
あと、歴有り車は可能な限り避ける様にしましょう。うちのカプチーノは右フロントをぶつけてたらしく、サスペンションのアッパーアームが曲がっていたり、そこだけボディが歪んでチリが合わなかったりサスペンションのキャスター各が左右で揃ってなかったり(アライメント調整に出した上での話)、そのせいでハンドルから手を離すと真っ直ぐ走らなかったりと散々です。
最後に写真を見ていってください
お気に入りの写真を並べていきます。
ということで次は新しく買ったクルマについての記事でお会いしましょう!頑張って早めに書き上げます!
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