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片田舎での商談が終わり、駅に向かうタクシーで、僕は空腹の音を響かせていた。 下車の折、食事処のありかを運転手に尋ねた。 「そのシャッター通りに、食堂があるよ。」 運転手に礼を言い散策を始めると、通りに不似合いな真新しい店構えが現れた。 店に入ると、学生風の男が野菜を刻みながら「お好きな席にどうぞ」と言った。他に客はいない。 カウンターに座り、ピラフと野菜炒めを注文した。 旧型のテレビが映す番宣を眺めていたら、男は「そのテレビ、実は拾い物です。この辺は都会の不法投棄がよ