花嫁の手紙(全文)

皆さま、本日は私たちの結婚式にお集まりいただき、ありがとうございます。皆さまのおかげで、思い出に残る素敵な式になっています。少し、この場をお借りして、両親へ感謝の手紙を読むことをお許しください。

お父さん、お母さん
27年間、大切に育ててくれて、本当にありがとう。大勢の方々に祝福されて、今日を迎えることができたのは、2人のおかげです。
普段通りパパやママと呼ぶと泣いちゃいそうなので、お父さんお母さん呼びでいこうと思います。
こんな風に手紙を書くのは子どもの頃以来かもしれません。手紙と言えば、オープニングムービーの写真を探すのにアルバムを開いたらたくさんの手紙が出てきてびっくりしました。手紙までしっかり保存されていて、今すぐにでも私の博物館が開けそうだと思いました。クリスマスには毎年サンタさんに手紙を書いていて、筆記体の英語でお返事があったから、本物のサンタさんと文通していると思っていたけれど、あれはお母さんが書いたものだと知ったときの衝撃は今でも忘れられません。小学6年生まで本気でサンタさんを信じていました。長い間、夢を見せてくれてありがとう。
ところで今日は私たちの結婚式ですが、同時に2人の27年間に及ぶ子育ての卒業式でもあります、などと、花嫁の手紙ではよく言うそうです。子育ての卒業って何なのかな。私にはまだまだ2人から学ぶことがたくさんあると思っています。27歳なんて、もういい大人だけど、本当はまだ、2人を卒業したくはありません(笑)

お母さん!
私はとってもいい子だったと思います。途中まで(笑)人見知りで引っ込み思案だった私は中学校で吹奏楽部に入部しましたが、いま思えばあんなにお金のかかる部活動によく入部させてくれたなと思います。初めて音楽に本気で取り組んで表現力や自己主張を習得しつつあった私は、さぞキツくてめんどくさかったでしょう。部活も勉強も中途半端によくできたために、どちらに本腰を入れていいのかわからなくなり、急に泣き出したり八つ当たりしたこともたくさんありました。それでも私から吹奏楽を取り上げず、ずっとずっと応援し続けてくれて、本当にありがとう。あのとき吹奏楽をやめていたら、今日来てくれた大切な仲間にも出会えず、今のようなしっかり者の私もここにはいません。
大学生半ばで吹奏楽をやめてから◎◎は丸くなったね、とお母さんはよく言いますが、あんまり何度も言うので、当時はよほどお母さんにとってストレスだったんだなと痛感します。ごめんね。
大学受験は第一志望ではなく、これまた学費の高かったであろう私立にもかかわらず通わせてくれてありがとう。おかげで愉快な友達や尊敬できる先生に出会うことができました。一人暮らしを許してくれなかったおかげで楽しいアルバイトができて、素敵な人(〇〇くんのことね)ともめぐりあうことができました。けど一人暮らし経験はあっても良かったかなと、今でも少し思います(笑)
あと、20歳になってからは帰りが遅いこと、連絡が少ないことでよく叱られました。最近も〇〇くんに怒られました。ごめんね。いま思えば、唯一お母さんにほっぺを叩かれたときも、帰りが遅いことが原因だったような気がします(笑)気を付けます。
同棲を始めてからはちょこちょこ電話をしますが、いつか電話したときに、たぶん家事とか家電のことか何かを話していたら、急に大人になったみたいだね、と言われたのを覚えています。あ~それまでは子どもだったかと(笑)悔しかったです。お母さんとの電話は、いつもほんとに楽しいし、会うと元気が出るし、お母さんの唐揚げは宇宙でいちばんおいしいし、やっぱり私はお母さんのことが大好きだなと思います。このままずっとずっと、ずっと元気でいてね。

お父さん!みえてるかな
お父さんはお母さんが大好きなんだなと27年間節々で感じていました。娘の私にもわかるくらいのお母さんへの愛もすごいし、愛されるお母さんもすごいなと今でも思います。私もそうなりたいし、そんな人と一緒にいたいなと思っています。お父さんは頭がいいので、叱られているときはとても反省の気持ちでいっぱいになるのですが、たまに、あれ?これ私の行いじゃなくて、それによってお母さんが悲しんでいることについて怒っているな…?というときがあります。それに気づくとお母さんのこと好きやなあ~と思ってあまり話を聞いていないときがありました(笑)ごめんなさい。
今日つけているこのネックレスは、私の誕生石がはまったベビーリングと、お母さんの誕生石の入った指輪がついているものなのですが、これは私が生まれたときに、お父さんがお母さんに送ったものだそうです。式の少し前に実家に帰ったとき、お母さんが嬉しそうに見せてくれたよ。素敵なプレゼントだなと思って今日はつけさせてもらいました。
お父さんは仕事にも熱いひとで、小学生の自由研究で会社の機械を貸してくれて一緒に研究させてくれたり、定年を迎えた後も違うプロジェクトで、大変そうだけど楽しそうに仕事をしていたり、ほんとにすごいなと思います。働き始めて、一緒に仕事の話ができたときはとても嬉しかったです。やりがいを感じられる仕事に携われることが、どれだけ恵まれていることなのか、私も今の仕事は大好きなので、この機会を大切にしたいです。
お母さんに聞いた話ですが、お父さんはたまに、私のことを自慢の娘だと言ってくれていたみたいで(笑)部活でいい成績を残したときや、会社の名刺の肩書がかっこよくなったときとか、私には直接あんまり言わないのに、そんなのずるいじゃんって思いました。子育てを卒業したとしても、私はずっとお父さんの娘だし、ずっと自慢の娘でいられるように、これからも頑張るから、どんどんかっこよくなる私を、まだまだこの先も見ていてね。

さて、私は今日、お父さんとお母さんの元から旅立ち、〇〇さんと新たな一歩を踏み出します。私のことが大好きな2人は少し心配かもしれませんが、私はもう大丈夫です。へらへらしているけれど、私は結構つよいです。これからは2人の姿を胸に、笑顔あふれる温かい家庭を築いていきたいと思っています。

最後になりましたが、私を家族として温かく迎え入れてくださった〇〇さんのお父さん、お母さん、お姉さんご家族、ご親戚の皆さま、ありがとうございます。これからも末永くよろしくお願いいたします。

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