Going flat !

海外では乳房の全摘後、再建を選択しない人達の行動を Going flat というそうです。
私は両側乳房を全摘しましたが、再建をしていません。ポリシーがあって選択したというより、結果的にそのような状態になりました。

まず乳がんになった胸を全摘しました。
主治医は、若いので当然再建するでしょう、という前提で話してくださいましたが、HBOCが判明したので、同時再建は一旦見送りました。
対側への乳がん発生の可能性が一定程度あり、定期的なMRI検査が必要でした。同時再建の為のエクスパンダーを入れるとMRIを受けられないのです。

対側乳房を予防切除をする頃にはインプラントよりも培養脂肪幹細胞の再建の方が良いと思うようになりました。傷が小さく自己組織の為メンテナンスが不要なところに惹かれました。培養脂肪幹細胞再建を前提とするので、予防切除手術時にはエクスパンダーを入れませんでした。

予防切除をして両胸がなくなり、真っ平らになりました。不思議と手術前の片方全摘、片方自然な乳房の時よりも胸が気にならなくなりました。

初めて全摘した時は、ブラつきキャミソールのカップの中にハンカチを入れて対側の乳房との差を埋めるのに気を遣いました。胸がないのが外からわかるかドキドキしていました。
両方の乳房が無くなった今、ブラつきキャミソールをつけますが、中には何も入れていません。中身はありませんが、外からはわかりませんし、自分以外はそれ程というか全然見ていない事に気づくのです。やっと。
ポロリと胸が見える恐れが無くなったので、胸の開いた服を気楽に着られるようになりました。
胸を膨らませる理由が自分の中で特にないので、再建に向けた行動をしていません。夫は QOL の為に入れてもいいんじゃない、と言っていましたが、私にその気がないと分かってから、特にこの話題に触れることはありません。

乳がんになった時、再建しない選択をするとは想像もしなかったです。
全摘をする前に自分の胸をよく見ました。とても控え目なボリュームですが、神様はこの形しかない、という完璧なものを作られたと思いました。(自分の胸の話ではなく、女性の胸の造形一般の話です。)美しいです。
再建をされる人の気持ちは理解できます。

平らな胸はドキッとします。当たり前に予想しているものがありません。
きっとこれから心電図を撮る度に技師さんが息を飲むと思います。
ただ、私には見慣れた景色になりつつあります。

今はこのFlatな胸で生きていこうと思います。

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