体罰

初めまして、この度は貴方様のガイドをさせて頂く者です。ところでお客様はこの国はどんな国か聞いていますか?

ええそうです。この国では「体罰」が許されています。
驚いた顔をされていますね。無理もないです。かつて私の祖先者達も同じ反応をしていたと聞いておりますので。

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まずは誤解を解くために「体罰」の定義をお話しておきますね。「体罰」とは、「違反行為をする者への教育的指導として肉体に苦痛を与える罰」のことです。

この国に来る人達はよく「『暴力』が許されているといるということは治安が悪いのか?」と質問してきます。この国は「体罰」と「暴力」は別のものとして考えられています。言っておきますが、暴力は勿論犯罪です。
暴力と体罰の違いは「相手の今後の人生に益をもたらすか否か」です。「腹が立ったから殴った」が暴力、「相手を傷付ける行為が悪いことだと理解させるため相手と同じ目にあわせた」が体罰です。

「体罰」を暴力といっしょにしないようにするためにいくつか制約があります。まず、「体罰」を行なった際には教育管理センターに書面にて報告をしないといけません。48時間以内に提出しなかった際には、体罰を行ったであろう人が行なったことは体罰ではなく、暴力と見なされます。
次に、「体罰」を行なう場合は決められた部屋で行なうこと。部屋の名前は施設によって様々ですが、「教育指導室」と呼ばれることが多いかと思われます。教育的施設には必ず5箇所以上設けないといけないという規定があります。その部屋には多くの監視カメラが設置されており、書面での報告を受けた際にその様子が本当に書面に書かれた通りのものなのかを確認します。体罰を教育指導室以外で行われた場合は例外を除き、暴力とみなされます。

こんなものでしょうか。少しは誤解が解けたのでしたら幸いです。

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「何故『体罰』を許可したのか」ですか。ブラウン管テレビをご存知ですか? そうです、調子が悪くなったら叩いて直すあのテレビです。「体罰」がこの国で許される前少し前にこの国で流行ったのですよ。

私達は気付いてしまったのです。人間もこのテレビ同様、案外単純な生き物だったってことに。

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