好きだった人を見ると、ざわざわする。

そういう時って、ありますよね。
私たちの関係を知らない友達が、グループラインに彼の面白動画を投稿していた。
嫌がる彼。
彼はいじられキャラで、
突っ走ってしまうところもあるけれど、憎めない人。
少しづつぽちゃぽちゃしてくるお腹だけが、気がかり。

初めての飲み会で、
「こんな人がパートナーだったらいいのに」
と思った。
上品な趣味。話が面白い。メガネ。
清潔感もあるし、コミュ力も高い。
単純に、羨ましいかった。
こんな人になりたい、というかなってみたい、と思った。
飲み会が進んで、お腹がいっぱいになると、ぼぅっとしてくる。
眠たい瞳でぼんやり彼を眺めていたら、
(なあに?)
と、私の視線を捉えられてしまった。
(なんでもないよ)
と、気怠げに首を振ったことが、なぜか忘れられない。

彼からデートに誘われたのはその次の日だった。
いつもの、飲み会に誘ってくれるときのような誘い方。
誰か他にもいるかしら、とも思ったけれど、私だけだった。
「食べたいものはある?」
彼はいつも、お店が決められなかった。
「私一人じゃ入れないところがいい」
と、こじんまりした、でも人気の自由軒ランチに誘う。
「デート感無い…」
と言いながらも、了承してくれた。
ごめんね、まだ好きかどうかわからないんだ。
土日の梅田の人気店とあって、カウンターだけのお店に行列が。
「仕事、どう?」
「叱られてばかりだよ。先輩にも、お客さんにも。」
「期待されているんだね」
「ホンマにそう思う?」
「武くんはコミュ力高いし、いつも飲み会でもみんなと話していて、尊敬してる。
それに、営業さんは会社の最前線で戦う人だよ?凄いよ…。」
「みゆちゃんだって、英語使えるじゃん…。」
「ありがとう、でも日本語も不自由だよ」
「なんだそれ笑」
我々の番が来た。
織田作之助の「夫婦善哉」を読んでから、絶対食べたいと思っていた「まむして食べるカレー」。
「辛すぎ!」
「普通やって。てか、カレーやったら白い服着てこなかったらよかった〜」
「事前に決めてたじゃん笑。気をつけてね」
まむして食べるカレーを、男女で食べるっていうのを、死ぬまでにやっておかないと、と思っていた。

#ファーストデートの思い出

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