国有財産法 (不動産鑑定士 行政法規)

1.国有財産の範囲

不動産(従物を含む)
②船舶・浮標・航空機等
地上権・地役権・鉱業権
特許権・著作権・商標権等・実用新案権
⑤有価証券・出資による権利等
⑥不動産の信託の受益権
国債・賃借権・抵当権は含まない
※相続税法上物納された不動産とその従物・寄附で国有となった不動産は、国有財産に該当する

2.国有財産の分類

(1)行政財産


①公用財産:国の事務、事業又はその職員の住居の用に供し、又は供すると決定したもの
②公共用財産:直接公共の用に供し、又は供すると決定したもの
③皇室用財産
④森林経営用財産

<行政財産の管理>
各省各庁の長

(2)普通財産


行政財産以外の一切の国有財産

<普通財産の管理>
原則:財務大臣
例外:各省各庁の長

・各省各庁の長は、行政財産の用途廃止の場合又は普通財産の取得の場合は、財務大臣にこれを引き継ぐ。

3.所管換

・各省各庁の長が国有財産の所管換を受けようとするときは、次の者に協議しなければならない。
①その財産を所管する各省各庁の長(必ず)
②財務大臣(原則として)

・国有財産を所属を異にする会計間において所管換等をするときは、原則として、当該会計間において有償として整理するものとする。

4.行政財産の制限

(1)原則

貸付・交換・売払い・譲与・信託・出資の目的とすること又は私権の設定はできない。違反の場合は無効。

(2)例外

・以下の場合は、行政財産たる土地の用途又は目的を妨げない限度で、賃借権又は地上権の設定ができる
地方公共団体又は一定の法人と建物を区分所有するための土地の貸付
②地方公共団体又は一定の法人が経営する鉄道、道路等の施設の用に供するための地上権の設定
③国以外の者が一定の堅固な建物等を所有する場合の土地の貸付
④国有地と隣接地に一棟の建物を区分所有するための土地の貸付
⑤床面積又は敷地に余裕がある庁舎等の貸付
⑥地方公共団体等が土地と電線路等の施設の用に供する場合の地役権設定

・用途又は目的を妨げない限度において無償で使用収益させることができる。→借地借家法の適用なし
・各省各庁の長が、行政財産とする目的で土地又は建物を取得しようとするとき、及び普通財産を行政財産としようとするときは、原則として財務大臣に協議しなければならない。

5.普通財産の制限

貸付・管理委託・交換・売払い・譲与・信託・私権の設定・地上権設定ができる
法律による特別の定めがある場合に限り、出資の目的とすることができる

(1)貸付

・期間:植樹目的の土地等60年、その他の土地等30年、建物等10年以内
・無償貸付:地方公共団体・水害予防組合・土地改良区が緑地、公園、ため池、用排水路、火葬場、ごみ処理施設、し尿処理施設、屠畜場又は信号機、道路標識等の用に供するときにできる。
・貸付料:毎年定期納付、数年分の前納も可

※普通財産を国以外の者に貸し付けている場合、貸付期間中でも、国、公共団体が公共用、公用等に供するため必要が生じたときは、所管各省各庁の長は契約を解除できる。→損失補償あり

(2)交換

・交換物:土地、堅固な建物、土地の定着物(同種のものどうし)
※普通財産のみ(行政財産は不可)
・差額:金銭で補償するが、その高価なものの価額の4分の1以内のときにできる

(3)譲与

公共団体が火葬場、墓地、ごみ処理施設、し尿処理施設又は屠畜場として公共の用に供する場合等に譲与できる
※公園の用に供する場合は不可

(4)信託

・目的物:土地、その土地の定着物に限る
建物単独では不可
・期間:20年以内、更新可能

以下の場合は不可
①一定の場合以外の無償貸付け、交換又は譲与を信託の目的とするとき
国以外の者を信託の受益者とするとき
③土地の信託をすることにより国の通常享受すると見込まれる利益が、当該土地の貸付け又は売払いをすることにより、国の通常享受すると見込まれる利益を下回ることが確実と見込まれるとき

(5)売払い

・財産を所管する各省各庁の長は買受人に対して、用途、その用途に供しなければならない期日及び期間を指定しなければならない
※違反の場合は契約解除できる
引渡前納付が必要。延納の特約可能(5年以内)

(6)その他

特別会計に属する普通財産である土地又は建物を貸付け若しくは貸付け以外の方法により使用収益させ、又は当該土地又は建物の売払いをしようとするときは、各省各庁の長は財務大臣に協議を要する


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