見出し画像

そこなのに、届かない

 貞久秀紀 詩集「石はどこから人であるか」(思潮社、2001)。これはタイトルに惹かれて、買うよね。とても哲学的にアプローチするのかと思うと、軽い肩透かしを喰らわせられる。膝カックンというほどではないし、ふざけているわけではないのだし、深読みはどんどん誘ってくる。言葉は平易で、読み過ごしてしまいがちだが、もう一度読まなきゃ、と焦らせる。でも届かない感じがある。詩って、そういうもんだよね、とも思う。
 つかみどころがないというより、つかんだと思ったらすり抜けていたという感じなのかな。いい意味で裏切られ続ける感じが、快感になる。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?