見出し画像

「秋、柔らかな音に包まれて」曲目解説

♫ エルガー「愛の挨拶」 作品12
 エドワード・エルガー(Edward Elgar、1857~1934)は、イングランドに生まれ、行進曲「威風堂々」、「エニグマ変奏曲」等で知られています。29歳の時に、ピアノの生徒だったキャロライン(右写真)に魅かれ、反対を乗り越え3年後の1889年に結婚。その際、彼女は自作の詩「愛の恵み」を贈り、お返しとしてエルガーが贈った曲が、この「愛の挨拶」でした。元はヴァイオリンとピアノのための曲でしたが、様々な編曲が行われています。

♫ 作者不詳「クラリネット・ポルカ」
 ポルカは、1830年頃おこったチェコの民俗舞曲。民謡風なメロディを軽快に編曲しています。成立年、作者ともに諸説あるようです。アコーディオンやヨーデルなど様々に編曲されていますが、最近では「太鼓の達人」の曲としても耳にしたことがあるかもしれません。

♬ ベートーヴェン「ピアノソナタ第24番」嬰ヘ長調「テレーゼ」Op.78
 1809年、ベートーヴェン30代後半、交響曲第6番(田園)を作曲した直後の作品で、しなやかで柔らかく、愛らしい曲です。
 1楽章はアレグロ・カンタービレ:アレグロ・マ・ノン・トロッポ(歌うように:速く、しかしあまり速すぎないように)、静かで語りかけるような始まりが印象的です。2楽章はアレグロ・ヴィヴァーチェ(快速に)。明るく弾むような曲です。

♫ サン=サーンス「クラリネット・ソナタ」 変ホ長調 作品167
「動物の謝肉祭」などで知られるカミーユ・サン=サーンス(Camille Saint-Saëns、1835 ~1921)が最晩年に取り組んだのが、あまりスポットライトを浴びることのないマイナーな(失礼!)楽器のためのソナタをつくることでした。亡くなる年に立て続けにオーボエ、バスーン、クラリネットのためのソナタをつくっており、中でもこのクラリネット・ソナタは「茶目っ気、気品、思慮深いリリシズムに溢れた傑作」(音楽学者ジャン・ガロワ)と評されています。
第1楽章アレグレット、第2楽章アレグロ・アニマート、第3楽章レント、第4楽章モルト・アレグロ-アレグレット

♫ リード「ヴィクトリアン・キッチン・ガーデン組曲」
 ポール・リード(Paul Reade、1943~1997)は英国ランカシャーに生まれ、BBCのテレビ番組の主題曲を多くつくりました。この曲もヴィクトリア朝の菜園を再現して育てた野菜を使った料理を紹介するという番組のテーマ曲です。「前奏曲」「春」「霧」「エキゾティカ」「夏」の5曲から成る組曲です。

♫ 石川芳 作編曲『秋のメドレー』
 文部省唱歌をはじめ、歌い継がれてきた名曲をメドレーにしたもの。今年の紅葉は、どこでどなたとご覧になりますか?

♫ メンケン+アッシュマン「美女と野獣」
 1991年に公開されたディズニーの同題アニメ映画の主題歌。セリーヌ・ディオンとピーボ・ブライソンの歌唱で知られています。原題はBeauty and the Beastで、beastは確かに獣、野獣の意味ですが、人でなし、鬼畜という強い意味もあります。人を見かけで判断していた王子の傲慢さが反映されているのかもしれませんね。

♬ 坂本龍一「戦場のメリークリスマス」(ピアノ)
 坂本龍一(1952~2023)が大島渚監督の同名の映画(1983)のためにつくったもの。英国アカデミー賞作曲賞を受賞したサントラ盤の中では、いわゆるグラスハープによって演奏されています。
これも様々な楽器に編曲されています。

♫ 久石譲『ジブリ映画メドレー』/生田美子編曲
 久石譲(1950~)は長野県生まれ。2021年に大阪に本拠を置く日本センチュリー交響楽団の首席客演指揮者に就任しています。秋風のようにさわやかなメロディをお楽しみください。

♫ モリコーネ『ニュー・シネマ・パラダイス』~「愛のテーマ」/後藤丹編曲
 エンニオ・モリコーネ(Ennio Morricone、1928~2020)は、ローマに生まれ、数多くの映画音楽を作曲、これも1988年公開の同題の映画のためにつくられたもの。戦後間もないシチリアの小さな村の映画館をめぐる人々を描く感動ドラマです。モリコーネは、美しい旋律とそれを生かす前衛的語法を持ち合わせていると、高く評価されています。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?