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営業のプロが使う心理テクニック入門

営業の成果を上げるには、人間の心を理解することが不可欠です。現代の最先端の営業では、顧客の心理に迫るために「心理学」を使った営業方法が注目されています。実際に心理学の知識を自身の営業に活かしてみようと考える方も多いのではないでしょうか?
今回心理学を活かした営業テクニックを3つ解説します。次の商談で自信を持って活用しましょう。


はじめに.営業が押さえるべき心理法則

ここで紹介するのは、人間心理における6つの原理原則であり、営業のあらゆるプロセスで押さえておくべき基本事項です。この後紹介する心理学テクニックも6つの原理原則の上で成り立っています。

人間心理の基本原理

1.ドア・イン・ザ・フェイス

日本語では「譲歩的要請法」と呼ばれるテクニックです。
最初は敢えて断られるような難易度の高い要求(フェイク)を求め、断られたら徐々に要求の難易度を下げながら交渉し、最終的に小さな要求(本命の要求)を承諾しやすくする説得法です。

効果的な理由

大きい要求を断られた後に、要求の難易度を下げる「譲歩」を行ったことにより、相手も「譲歩しよう」とする『譲歩の返報性』がはたらくことが理由です。また、人間は要求を断ると罪悪感を抱きやすく、次の要求は受け入れようとする心理がはたらきます。

ドア・イン・ザ・フェイスの例

ポイント

①何度も使わない 
 
お客様に断らせるテクニックで、断るという行為でお客様は罪悪感を抱い
 てしまいます。

②最初の要求が大きすぎない 
 
例:200万円の受注(最初の要求)→  50万円の受注(本命の要求) 
 
大きすぎる要求をされるとその瞬間に嫌悪感を持たれる

③最初の要求と次の要求に間をあけない
 本命の要求までに3日も期間を空けると、お客様の断った時の罪悪感は薄
 れてしまいます。

④数字を使う
 本命の要求とのギャップがイメージしやすい

営業への活用例(値段交渉)

目的:50万円の受注を得たい

値段交渉の例

2.フット・イン・ザ・ドア

日本語では「段階的要請法」と呼ばれるテクニックです。
ドア・イン・ザ・フェイスとは異なり、小さな要求から始めます。小さな要求を受け入れてもらい、段階を踏みながら要求を大きくしていき、最終的な本命の要求を承諾しやすくする説得法です。

効果的な理由

いったん決心すると、それに従って行動しようとする『一貫性の原理』がはたらくことが理由です。小さな要求でも承諾したことで、条件が変ろうと承諾した自分を覆そうとしない心理がはたらくのです。

フット・イン・ザ・ドアの例

ポイント

①要求に関連性を持たせる
 関連性の低い要求は一貫性の効果を得にくい

②短い期間に段階を設けすぎない
 Q. 段階を設けるほど効果があるか? ー A. 「NO」

【短い期間に複数の依頼をする実験】
 2段階目に本命の要求 → 承諾率72.4%
 3段階目に本命の要求 → 承諾率55.2%

多くの段階を設ける時は、要求のタイミングに注意しましょう。

営業への活用例(アポ取り)

目的:ヒアリング

アポ取りの例

3.誤前提暗示

選択肢の中から「NO」を排除し、選択させるテクニックです。クロージングの場面で大切なのは、「すでに承諾をいただける前提」を作り出すこと。プレゼンが終わったら、すぐに誤前提暗示でクロージングを行いましょう。

効果的な理由

人には、「前提」や「選択肢」が与えられると、それらを受け入れ判断してしまうという心理効果があります。人は質問されると直接的で簡潔な回答を提供しようと感じるため、誤前提を認識し、質問の形式を破ろうとはしないのです。

誤前提暗示の例

ポイント

①質問形式は二者択一にする
 
「NO」の答えを排除し、承諾率を上げる

②選ばせたいものを最後にする
 最後に提示された情報が、印象や判断に強く影響する(親近効果)

③ほかの選択肢も用意しておく
 
2択のどちらも断られた場合に失注になってしまう

営業への活用例(クロージング)

クロージングの例

まとめ

以上、営業に使える心理学を紹介しました。営業活動において心理学の知識を活かしていただけると幸いです。しかし、心理法則を活用すればなんでも思い通りに行くというわけではありません。まずは、お客様との信頼関係をベースに、相手の心理を理解できる営業パーソンを目指していただきたいです。最後までお読みいただきありがとうございました。

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