【広告会社のプロデュース現場から#01】こんな状況でも、次の商売を生み出すために

はじめに

武田といいます。
広告会社のとある営業部署のマネージャーをしています。明日から新年度。新メンバーを迎えることもあり、大変心躍っております。

私の部署では、大手スポンサーを複数社担当し、各社のビジネスプロデュースをしております。規模や内容は様々、フィールドも様々。部分的なお付き合いの先様もありますが、根を張り、課題と向き合うこと自体は同じ。そんな中で広告電通賞、ACCなどの広告賞も受賞するチームになりました。

デジタルでも、某大手広告主様の運用ディレクションとワークショップを展開し、一時は「デジタルなんでも相談室」的に常駐しておりました。

中堅広告会社ですので、ジャイアントキリングが活動のキホン。笑 営業10人でひとつのお得意を担当して年間云十億・・みたいな仕事ではありません。ありがたいことに少ないメンバーながらAEの大型案件もやっておりますが、チームで20-30社を担当しており、日々大手広告会社・大手戦略コンサル・専業デジタルAGとは違った視点を求められることも多いです。

そう、差ではなく、違い。

この違いを生むために、連続的な仕事だけではなく、「新しさ」を提示することを大切にしています。「新しさ」追求の一端として、突然新規先様にご訪問して提案したりもしています。

私のnoteでは、広告領域・ビジネスディベロップメント領域・プロデュース領域での、雑に言えば大して特徴のない中堅広告会社におけるチームマネジメントのリアルをお伝えしていきたいと思います。

普通・中間・独立系の会社にいながらにして、いかにして刺激的な日々をすごしているのか、のリアルです。大手・有名・外資系の人の話とは違うので、普通のオッサンが最高に楽しんでいる状態を知っていただくにはいいnoteかもなと笑

そして、基本的な目線としては、チームメンバーの皆さんに向けた「メッセージ」としてライティングしていきます。メンバーではない皆さんにとっても、何かの示唆になればコレ幸いです。長くなりました。本論に入ります。

Chapter0:この記事で読めること

2020年4月。コロナで外出できず、なれない在宅、テレビ会議ってどうやるの?、それでもやってきたドキドキの新年度・・

この先どうなるのか・・考えこんでしまえば、簡単にネガティブになりそうな春ですが、私のチームのメンバーには健康で当たり前に元気でいてほしい。

そして、チームで最も大切にしようと新年度に向けて掲げたコトバ「未来を創れ」

このコトバを、今こそ大切にし、常にポジティブなプロデューサー集団でありたいなと思っています。

とはいっても、こんな自粛の最中どうすればいいの?にお応えしていきたいと思います。

Chapter1:活動の整理から

「こんな時、新しい提案なんてできねーよな」

およそ営業の方の悩みとして、黙っているとこんなことが頭をよぎるかもしれません。私たちのようなジャイアントキリングを常に仕掛けるポジションは、いつだって経済的危機には弱い。正確に言うと、弱いのではなく、ほっとくと弱いという意味。弱体化のスピードが大手・有名企業と比べると信じられないくらいに早いです。でも、小さい所帯だからこそできる工夫もある。工夫一つで商売は好転する可能性はないものかと。

そもそも、プロデューサー(旧:広告会社の営業。厳密には違いますが。)の活動って何があるのでしょう?まずは、活動の整理からしてみました。

◆営業活動の整理
1、既存のお客様と今ある仕事を遂行する(1→1.1)
2、既存のお客様と将来の仕事を考え始める(0→1)
3、新規のお客様と新たなビジネスを始める(0→1)

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冷静に考えると経済停滞の中なので、1は目先の話にしかならないことも多いです。先行き不透明な時代がゆえ、本当に刹那なPJも起きがち。1の中でも将来につながる仕事はもちろんありますが、目先の仕事で追われているとなんとなーく時間が過ぎ、よほどのラッキーがなければ(ラッキーはそんなにない)、経済停滞とともに、ずるり市場と一緒に仲良く沈むことになります。

逆境を乗り越えるために必要になってくるのは、本質的な1の活動をしっかり選び取ること。それに加えて取り組むべきは2や3の仕事です。

でも、どうやったら、この「会えない」「それどころではない」状況下で、0→1の仕事に取り組めるのでしょうか。もう少しドリルダウンしてみましょう。

Chapter2:新しい仕事をつくるためのフロー(既存先)

Chapter1の営業活動の整理のうち2と3ですが(もう一度貼っときます)、
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2、既存のお客様と将来の仕事を考え始める(0→1)
3、新規のお客様と新たなビジネスを始める(0→1)
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どちらもアクションとしては「考え」「動く」ということになります。
ただ、上り方が違いますね。

2については、「クライアントの課題を見つけ、仮説をもって、提案をしかけていく」ということになります。
一方、3については、「世の中の課題から入り、仮説をもって、提案先を選択し、提案をしかけていく」ということになります。

つまり、課題を内からみつけるか、外からみつけるか。

2の案件について、事例からご紹介します。

先日、とあるクライアントさんのリーダーとお電話で雑談をしていました。
そのクライアントさんは商品出荷が間に合わず、半年間の広告の全面停止状況に陥っています。本当に大変な状況だと思いますし、長くお付き合いをしてきたので、とても心苦しいことです。

そんな中でも何かできることはないかと思い、「今だから言えますけど、●●は御社の課題だと思いますよ、一度ざっくばらんに提案させてくださいよ」ということを話しました。何とか苦境を乗り越える一助にでもなればと思い。
ま、「今はそんな余裕ないからさ・・」と嫌がらるかもなとも思いましたが、なんと彼から出てきたのは「願ったりかなったりだよ、武田さん」との反応。(再来週くらいに一度課題だけちゃちゃっと整理してご連絡しますよ?と伝えたところ、ASAPで提案してよと。笑)

はい。ここに有意な示唆がありました。
これまで思っていた課題をぶつけてみたところ、提案フェーズに突如として進んだのです。

仮説を磨き、提案を具体的に実施。最終的に、実施するのかしないのか可否判断を経てビジネスラインにのります。初号で躓くことも多い昨今、一気に提案まで進みました。アクションあるのみ。

日々追われていると、客観的になれませんが、むしろ今の時間を必死に使い、課題を見つける。企画書にしなくてもよい。これまでお世話になってきたクライアントの課題を敢えて提示してみる。そうすると、一気に車輪はまわりはじめるのです。

是非、担当しているお客様の課題、特に”現状に対して非連続な課題”に対して切り込んでみてください。

Chapter3:新しい仕事をつくるためのフロー(新規先)

一方、新規先のケース。(大事なので、また貼ります。)
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3、新規のお客様と新たなビジネスを始める(0→1)
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これはかなり工夫が必要です。
なぜなら、当然こんな時に新しい人と会いたくはないし、仕事も増やしたくない。ただ、「ポジティブでありたい」担当者方にお会いできることもあります。震災の時もそんなことがありました。
むしろ、こういうタイミングでの出会いはポジ×ポジで、むしろ通常よりも高速に仕事に結びつき、一気に結果に繋がる可能性もあります。

「世の中の課題から入り、仮説をもって、提案先を選択し、提案をしかけていく」

Chapter2でこう書きました。課題→仮説→提案先選定→提案という4工程です。今の世情に照らして、私の思い付きですが、この4工程に例をあてはめてみます。

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A,世の中の課題から入り
 ・テレワークの環境が必須
 ・家にいないといけない
 ・とにかくつまらない
・外食の打撃

B,仮説をもって
 ・テレワーク環境の整っていない会社は、すぐに環境をととのえるだろう
 ・家にあるものを充実させにといけないだろう
 ・とにかくつまらないなら、ちょっとでも楽しめるコンテンツがほしい
・外食企業は第2のビジネスを成長させないといけないだろう

C, 提案先を選択し
 ・テレワークシステムを販売する企業
 ・掃除用品、家庭用品を作っている企業
 ・エンタメ企業
・セカンドビジネスをもつ外食企業

D,提案をしかけていく
 一度電話し、テレカンorメールで連絡してみる。
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なぜか、すごいアプローチの幅がでてきました。(前向きすぎるか・・笑)
皆さんも、色々と思いつくままに出してみましょう。何から手を付けたらいいか、というフェーズからは一瞬で脱せたと思います。

大切なのはこれを列記した上で、とにかく期限をきめてアクションしていくこと。なんでもそうですが、「よーし、やらないと」と意気込むと大変なので、課題→仮説→提案先の選定まではサクッとやることが肝要です。

Chapter4:まとめ

◆営業活動の整理
1、既存のお客様と今ある仕事を遂行する(1→1.1)
2、既存のお客様と将来の仕事を考え始める(0→1)
3、新規のお客様と新たなビジネスを始める(0→1)

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どんな時でも、新たな価値をつくりだし、未来を創造することはできます。上記の整理のうち、1の仕事は本質的な活動となっているのか、2と3のアクションを継続的にできているのか。この視点を忘れずに取り組み、具体的なアクションが伴っているのか。

そして、大切なのは「期限」の設定をして2と3に取り組むことです。あくまでも私の感覚ですが、仮説検討~提案先選定まで1~2日で実施し、3日目にはアクション。撃沈するかもしれませんが、メールをしてみる&連絡をとってみる、というアクションまでが1つのアセットだと思います。

これだけの世情になっても、会わずして、すべてのトライはできると思います。むしろ、今だからこそ、ビジネスプロデューサーは課題発見と仮説提示を行い、社会をよくする=未来を創る活動が求められるのではないでしょうか。

さて、私もアクション。2020年春。