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見えない店

近頃、お客様によく問われる。
「最近開店されたのですか?」
「ここに移転されたのはいつですか?」
「ありました?前からここ。」
なんということでしょう。
うちの店はナニかしらの
シールドで守られていたらしい。
見えない店。

嫁いだ家は老舗の菓子屋。
創業100年。
格式、重厚、趣き、厳格、
重い、暗い、古い、キツい、
色々思い浮かべるけれども
アットホーム感のある
普通の菓子屋だ。

100年前は沢山雇っていたようだが
嫁いだ頃は、ほぼ家族経営で
ご近所さんが立ち寄るような
ほのぼの菓子屋だ。

だんなさんは三代目。
J SOUL BROTHERS
ではないけれど
J SOULな菓子屋だ。

コロナ事情により
家庭内消費の菓子購入が
増加したためなのか
お客様の年齢層が幅広くなった。

ご近所の高齢の方には認知度の高い
銘菓を製造販売しているのだけれども、
それ以外を目当てに
来店される若いお客様が格段に増えた。

三代目の創意工夫と情熱と
SNS の賜物である。
で、
近頃、お客様によく問われる。
「最近開店されたのですか?」
「ここに移転されたのはいつですか?」
「ありました?前からここ。」
···見えない店。

今、こうやって貴方に
来店していただけてとても光栄です。
見つけてくださってありがとう。
感謝の気持ちでいっぱいです。
でも、その問いに
「創業100年になります。」
と答えると
「え···」
と驚きと気まずそうな顔をさせてしまう。

100年もあったのに
気づかれなかったと言うことは
こちら側のアピール不足に他ならない。
老舗を売りにはしていないけど
気まずい思いはさせてはならぬ。
何か工夫してみよう。
100年シールでも作ろうか。
うーん。

まだまだ若輩者でございます。
日々鍛練精進し
認知度アップさせてみせようホトトギス。
まだまだこれから。
かも。
おくさんの誓いなのだ。

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