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AIイラスト修正屋をやりたくて、とりあえず修正してみた話

2022年8月
超高性能なイラストAIが次々と世に放たれ、人々をプロンプトの海へ駆り立てた。
まだ見ぬ脳内の完全映像化を目指し、夢の1枚を追い続ける……!
世はまさに大AIイラスト時代!!


……そんな空気のなか、この便利な道具とどう付き合えば良いのかと思案を巡らせる趣味絵師がここに一人。

ワクワクしながら触ってみたAIはちっとも言うことを聞いてくれず。
鳥の絵を頼んだら首の無い巨大鳥が量産された、不気味ぃ……。
このままではグランドラインどころかフーシャ村で冒険が終わってしまう。
やだやだ、AIイラストで何かしたーい! ビックウェーブのりたーい!
そんな気持ちで人の作ったAIイラストを眺めていた。
どれもこれも数分で作られたとは思えないすばらしい完成度なのだが、ちょっとだけ惜しい。
少し加筆するだけでグッと引き立つのにやらずに使っている。
もちろんやっている人もいたが少数派……と言うか加筆してる人たちは元からイラストが描ける人ばかり。
ある人曰く、絵心が無い人間にはどこか欠けていることはわかっても、何処をどう修正すれば良いのかはわからないのだとか。

「 じゃあ、AIイラストの修正屋さんとか需要ある……? 」

そんな考えがふと頭をよぎった。
思い付いちゃったらとりあえずやるしかない。
と言うわけでまずはノウハウを付けるべくAIイラストの加筆をやってみることにした。

AIイラストに加筆する

てなわけで、自分ではまともな画像が作れないので、超便利Twitterの海へ遊びに行って人様の作ったAIイラストを借りてきました。

AIによって作られたイラスト(画像提供:戦車さん@MoterSensha)

まずはこれを加筆します。

修正1回目

しました。
わー……微妙……。
最初の一回目ということで肩に力が入りすぎました。
すぐにやり直してもう一回

修正2回目

うん!これは良い感じ!
目元がハッキリしてボヤボヤ感が無くなりました。元絵の良さも損なわずにナチュラルです。
一回目を盛大に失敗したお陰でコツも掴めました。
なれりゃあチョロいぜ、はっはっはっ!

目を流行りのキラキラした瞳に
目鼻立ちの左右バランスを加筆調整
あいまいだった首と口元の輪郭をはっきりと

顔立ちをハッキリさせてあげるだけで映えが違いますよ!映えが!
じゃあ、人物+背景の場合はどうでしょう。

顔だけに加筆を施したもの

……何か顔だけ加筆しても微妙だな。あんまり良さが感じられない。
よし、気が済むまで加筆しよ!

元絵を使って全体的に調整を施したもの

やりすぎじゃない?
もうこれは加筆じゃなくて添削の粋です。
さすがにやりすぎました。でしゃばりすぎ。
まあでも、加筆が効果的なのは確かなのではないでしょうか。
これはイケますよ!

AIは理解しているわけじゃない

感想としては、AIはとっても上手なんですが、物の構造を理解しているわけではないので細部が乱れます。
物がくっついてしまったり指の形がおかしいのが多い印象。
厳密に直しはじめると、色んなところに手を加えなくてはならず大変なので

「 人の目が一番引かれる場所 」

人物画の場合なら顔と手に加筆あたりが一番効率が良いのではないでしょうか。
これならそこまで手間もかからないし、修正屋さん出来るな!

……そう思いたかったのですが、残念ながらそうはとても思えませんでした。

修正屋は必要?

修正屋をやっても……と思った理由1つ目がAIの進化速度です。

この記事をのんきに書いている間にもどんどん精度が上がっていきました。えぐいわ……。
明日はもっと、明後日はもっともっと凄いことができるようになると思うと、需要の寿命が短すぎます。
修正ができたところで所詮は修正、自分の実績が増えるわけでもなく、作業的にもあまり身になりません。

理由2つ目がAIイラストを楽しんでいる人達が
コストを掛けてイラストを修正したいとは思っていない事です。

AIイラストは早くも量産品の扱いになり始めました。
大事なのは、より美しく理想を産み出すことの出来る技術や性能であって、出来上がったイラストはただの鑑賞できる結果表です。
有り体に言って、産み出したイラストにそれほど思い入れがありません。
粗製濫造で低価値のイラストに対してコストを掛けて修正するくらいなら、AIに新しい指示を出すか、新しい有料AIを買うでしょう。

本格的にAIが使われるようになって、より明確な目的と精密な物が求められるようになったら少々加筆は必要かもしれませんが、しかしそれは
「 ちょっと依頼で受けてみよう 」 レベルの人間がやることではなさそうです。

……しかし
「 修正屋さんやろうと思ったけど、需要ないからやりません、ぴえん 」
で終わってはこの記事面白くも何ともありません。
と言うわけで、ひとつ使えそうな内容を残します。

やってみよう加筆修正!

とはいっても、加筆はやっぱりした方が見栄えが良くなると思うんです。
是非とも自分の手で最後にひと手間を加えてより素敵なイラストに変貌させていただきたい。だってもったいないし……。
と言うわけで参考までに今回の修正ノウハウを残します。
レッツトライ。

そうは言っても、すごい道具が必要でしょ、うちにはそんな物ないよ!
という方もご安心を。
今回はパソコンがあれば多くの人が持っているであろう
マウスとペイントだけで修正します。

修正する元絵

この顔が溶けちゃってる女の子を使います。
まず余計なあごの線を塗り潰します。色はカラーピッカー(スポイト機能)を使って周りと同じ色を使えば目立ちません。

あごにあった不要な線を塗りつぶす

図形の線ツール、曲線ツールを使って目の輪郭を描き足します。目尻に点を描いてやるとまつ毛のようで可愛いです。
色は必ずカラーピッカーで目の周りと同じ色を選んでください。

目の輪郭を加筆しました

瞳孔も描くと更にハッキリします。これも図形ツールで。
一緒に目のハイライト(光)も入れます。図形ツールで充分ですが足りないところは手描きしてもOK。

瞳孔と目のハイライトを加筆

線ツールで鼻を描きます。鼻の頭にホワイトで線を引いてハイライトをいれると立体感が出ます。

鼻を加筆、鼻の頭にホワイトを入れる

曲線ツールで口を描きます、気になるところだけブラシで肌の色を塗って形を整えます。唇の下中央にハイライトを入れると立体感が出ます。
後は図形ツールで模様でも付けて画面の情報量をあげてやれば完成!

口を加筆、周りに散っている模様はすべて図形ツールを使用

ペイントでも充分効果があるんじゃないでしょうか。マウスだけで出来ます。
今回は見本なので色々描きましたが、実際は余計なところを塗って隠してやるくらいで充分です。

ペイントで作業をしている様子

人がちょっと手を加えるだけで更に良くなるなら儲けものです。
暇があったらやってみて下さい。
楽しいよ! 加筆おすすめ!

まあ私は加筆の前に、AIをちゃんと使うところからなんですが……
背景を! 背景を描いてくれぇ!



蛇足


AIイラスト


AIイラストのデザインから人間が描いたイラスト

無断転載経由で私の絵はとっくにAIに食われてるし、さてどうしたもんか。
AIが背景とペン入れをアシスタントしてくれるならオリジナルのマンガが描きたいです。
AIアシスタントがクリップスタジオの追加コンテンツに入る日は明日でしょうか、明後日でしょうか。
そんなことを考えながら今日も地味に筆を動かします。
AIの学習速度にはボロ負けですが、それでも筆を動かした分だけは昨日の私より今の私は上手です。

ああでも、やっぱりAIに負けちゃうの悔しいなぁ!

イラスト提供協力:戦車さん @MoterSensha
ありがとうございました。

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