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2020年にヤバかったアルバムを振り返る
あけましておめでとうございました。
2020年が終わりましたね。例年同様、素晴らしい名盤・傑作が大量にリリースされた一年でした。この記事では「ベスト◯◯」とか「良かったアルバム◯◯枚」という枠の組み方は特にせず、2020年に「このアルバム、やばくね?」と私が感じたものをいくつかピックアップして振り返ってみようと思います。
なお昨年聴いて良かった新譜はその都度Twitterで書いてまして、その一連のツイートを抜粋したものを過去のnoteでまとめてますのでぼんやりじっくり眺めたい方はそちらをどうぞ。
あと私の「2020年メタル系アルバムベスト10」は現在発売中の『ヘドバン Vol.28』誌にて挙げておりますので、ランキング形式で知りたい方はぜひそちらをご覧ください。
・Dizzy Mizz Lizzy『Alter Echo』
"Glory"や"Silverflame"、"Waterline"のDMLを求めていた方々にとっては(違う、そうじゃない)なアルバムだったかもしれませんが、私は今回の新譜がとっても好きで、「すげえ」と感じたポイントが2つあります。
まず1点目が、「孤高の立ち位置にいると思われていたDMLが超クオリティの高いアルバムでシーンの潮流に参戦してきた」こと。ここ数年のメタル系新譜で「プログレッシヴな」と表現されることの多いアルバムにはストーナー/サイケデリック/スペースロック的な感触をもつものが多く、その流れにある今年の新譜としては他にもElderやOranssi Pazuzuなどを挙げることができますが、Tim Christensenという独自のメロディー感覚をもつ人間が『Alter Echo』でこの傾向に加わってきたのがとてもおもしろい。
Oranssi Pazuzu、Blood Incantation、Elder、Schammasch、Dizzy Mizz Lizzy、Ulcerateといった昨今の話題作を聴いてると「サイケ/スペースロック」がいま大きな潮流の一つとして存在してるような気がしますよね
— yu-ki (@yuki_sixx) May 13, 2020
「もうちょいプログ寄りのところでサイケ/スペースロックをやりつつ現代的なヘヴィネスもある」新譜としてはスウェーデンのYuri Gagarinによる『The Outskirts of Reality』等があり、このあたりも絡んでくると昨今のサイケ潮流がますます楽しくなりそうです。
スウェーデンのヘヴィサイケYuri Gagarin、5年ぶり新譜が最高です。Hawkwind系スペースロックな酩酊成分だけでなく、やたら手数が多いドラムのフレーズやギターワークにメタルのエキサイティング要素がかなり強く入ってるところがこのバンドのカッコよさ。めちゃライヴ観たいhttps://t.co/6zRYCYlzcz pic.twitter.com/SolZL7dGPo
— yu-ki (@yuki_sixx) February 10, 2020
Dizzy Mizz Lizzy『Alter Echo』のポイント2つ目としては、Metallicaとの類似性です。これはTim Christensen自身が新譜への影響元としてMetallicaを挙げていたことを受けて気がついたんですけど、確かに『Alter Echo』の音楽性はMetallica近作と非常に近いように思います。
Dizzy Mizz Lizzyティムが解説する「『Alter Echo』に影響を与えた10枚」、ElderやMONOやKatatoniaやUncle AcidやPelicanは各所でも語られてる通りだし、YOBやZeal & ArdorやBell Witchもなるほどーって感じなんですが、Metallicaの『Hardwired〜』挙げてるのがちょっと意外というか盲点でした pic.twitter.com/f7awR1vGQT
— yu-ki (@yuki_sixx) May 1, 2020
私はここから逆引き的な聴き直しを行ってみたことで、最近のMetallica作品の良さを再発見したというか、上述したストーナーサイケ潮流の源は実はMetallicaなのでは?という考えに至るようになりました。このあたりは今後もっと深く考えて掘り下げたいところであります。
・Oranssi Pazuzu『Mestarin Kynsi』
先ほど少し触れたOranssi Pazuzuの新譜ですが、私がこのアルバムを決定的に好きになったのは5月に配信された全曲演奏ストリーミングライヴを観たことに因る部分が非常に大きいです。
一部では「スノッブだ」と言われたりもしているアルバムですが私の感想はむしろ真逆で、非常に原初的なパワーと呪術的な引き込み力をこの盤はもっているように思うのです。というか、あのストリーミングライヴの世界観と音像は完全にPink Floyd『Live at Pompeii』じゃないですか? 『Live at Pompeii』に宿る剥き出しのエネルギーと同種のものを私は感じました。
・プログメタル枠
プログメタルも最高のアルバムがたくさんありました。中でもすごかったのはやはりThe Ocean『Phanerozoic II: Mesozoic | Cenozoic』。この人たちは実は、構成としてはめちゃくちゃ正統派ド直球のプログレッシヴ・メタルをやっています。あらゆるプログメタルの方向性をすべて備えた上で王道の展開を見せるその手腕は圧倒的。現代プログメタルシーンの最高峰にいると言っても過言ではないのではと感じます。
The Ocean新譜、ちょっとすごすぎますね…。毎度そうなんですが完成度の高さが圧倒的だし、アルバム通して息を呑みっぱなしになる感覚はなかなか味わえない。プログメタルとしての濃密さ濃厚さにおいてはTOOLと双璧と言ってもいいんじゃないかと思います。年間ベスト候補https://t.co/EM2ZZ95IKs pic.twitter.com/xOzfmjsZ7t
— yu-ki (@yuki_sixx) October 6, 2020
その他はキリがないので絞りますが、もっと注目度上がってほしいと思うのはドイツのThe Hirsch EffektとオーストリアのTheir Dogs Were Astronautsでしょうか。どちらも素晴らしい新譜でしたね。
ドイツのThe Hirsch Effekt新譜、超カッコいいです。The Dillinger Escape Plan的マスコア衝動性+テクニカルデスメタルのリフ+前衛プログメタル破天荒展開の合わせ技。あとこれは前作もそうなのですが、Leprousに近い耽美性を押し出している点も素晴らしい。おすすめですhttps://t.co/JprF6wXNpQ pic.twitter.com/LjbAwUooyX
— yu-ki (@yuki_sixx) May 11, 2020
オーストリアのプログメタル/Djent/マスロック、Their Dogs Were Astronautsの新譜が良いです。この人たちは毎度毎度引き出しが多彩で、「あえて弾かないことで生み出す"間"」など、もってくるセンスが他のバンドと一味違う。Polyphiaに最も近い立ち位置にいる人たちかもhttps://t.co/YAYp0Oqnoa pic.twitter.com/8OC3swxHcs
— yu-ki (@yuki_sixx) February 20, 2020
Sons of Apolloに関しては(もっとロン・サール主導で好き放題作れば最強のおもしろさが出せる気がするんだけどなあ…)と個人的に感じているのですが、新譜の最終曲"New World Today"はそのへんの私が望む魅力が出ていてとても好きでした。
Sons of Apollo新譜、前半曲にあまりピンとこなくて(今回もこんな感じかなあ…)と思いながら聴いてたんですが、5曲目以降が急激に良くなるので結果的に満足です。特に最終曲が素晴らしい。(そうそう!あなたたち変態おじさん集団に求めてるのはこれですよ!)って感じです pic.twitter.com/FSpzG4uPCL
— yu-ki (@yuki_sixx) January 23, 2020
パキスタンのTakatakやカザフスタンのTIRÐÜSも素晴らしかったですね。ここ10年ぐらいはオーストラリアとインドが「プログメタルがアツい国筆頭」でしたが、だんだんと中東のバンドが前線に出てきている点は興味深いです。
パキスタンのプログメタルTakatak新譜がめちゃカッコいいです。Voとドラムが2人という特殊な編成で、既存の文脈ながらもメロディーに独特の哀愁と高揚感があって全曲が良い。素直に(超かっけー!)と感じたプログメタル/Djent、久々かもしれませんhttps://t.co/wdfrofWHmThttps://t.co/XwGMr1C1Ch pic.twitter.com/BSa7S7KSjL
— yu-ki (@yuki_sixx) October 25, 2020
カザフスタンのプログメタルTIRÐÜS新譜、超カッコいいです。芯の太いオルタナメタルをベースに、独特かつ洗練されたメロディー&展開が素晴らしい。Voがマイルズ・ケネディ系なのでAlter Bridge好きな人もぜひ。なおiTunes Store等で検索するときは普通に「TIRDUS」でいけますhttps://t.co/CDIOGiGzBB pic.twitter.com/WJBEwRgw3p
— yu-ki (@yuki_sixx) March 3, 2020
日本のプログメタルとしては圧倒的にArise in Stability『犀礼/Dose Again』がカッコよかったです。これは本当に世界レベルで売れてほしい。小野寺さんには学生時代非常にお世話になりましたが、そういう身内感は関係なく純粋に素晴らしいアルバムだと思いました。
Arise in Stability新譜、超カッコいいですね。Dream TheaterやBTBAMはじめとしたプログメタル要素からポストロック要素まですべてあるのでプログレッシヴなメタルが好きな人は必聴だと思います。6曲目のタイトルとフレーズはKing Crimsonファンがニヤニヤしちゃうやつですねhttps://t.co/ttiH86cBps pic.twitter.com/JAjh2dqkOb
— yu-ki (@yuki_sixx) April 8, 2020
元Cynic組によるOur Oceansの新譜も期待通りの傑作でした。
今週リリース予定の注目プログメタルは、元Cynic/Exiviousの天才Tymon KruidenierとRobin ZielhorstによるバンドOur Oceansの新譜です。すでに数曲公開されてますがいい感じに変態でめちゃカッコいい。ちょっとThe Mars Voltaっぽくもありますね。楽しみhttps://t.co/gk1Z7C4K97
— yu-ki (@yuki_sixx) November 23, 2020
・Sepultura『Quadra』
Derrick Green加入以降のSepulturaのアルバムで、正直私は初めて「うおーめちゃくちゃすげえ!」となりました。バンドの力量と技量とセンスと引き出しとキャリアと迫力が今回ようやく完璧に発揮されたような気がします。そのぐらいインパクトがあったしカッコいい。一枚の中でスラッシュメタルとグルーヴメタルとプログメタルをすべて説得力十分に聴かせる行為は他のバンドではなかなかできることではありません。Sepultura最高傑作なのではとすら思います。
みなさま大絶賛のSepultura新譜を朝から聴いていますが、これはすごい。良すぎる。殺気と気合の入り方が尋常じゃない。デリック・グリーン加入以降のアルバムでは圧倒的に好きかも。さすがだぜアンドレアス・キッサー pic.twitter.com/S1PwtWzf6L
— yu-ki (@yuki_sixx) February 24, 2020
・Annihilator『Ballistic, Sadistic』
スラッシュメタル枠としてはAnnihilator新譜の会心っぷりにも触れておきたいところです。溜めて溜めて溜めて溜めたあとのフラッシーなギターソロでカタルシスが一気に昇華される気持ちよさがAnnihilatorの真骨頂だと思うのですが、そういったJeff Watersに期待するリフと展開が惜しみなく発揮されており、ここ数作の(悪くはないけど、うーん…)感を払拭する最高のアルバムだと思います。もう”Lip Service”一曲だけで傑作認定したい。この曲の中盤以降はおもいっきりMegadethの”She-Wolf”ですが、その昔Jeff WatersがMegadethに加入しかけた有名エピソードを踏まえるとまたおもしろいですよね。
Annihilator新譜、最高じゃないですか? ここ4作ぐらいモヤっとしてた(良いアルバムだけどこの曲はいらんかな…)的ダーク曲を排除して、ひたすら「高速リフ+超テクニカルパッセージ+カタルシス昇華系フラッシーソロ」で構成されてるのがたまらない。おれが好きなAnnihilatorはこれや!って感じです pic.twitter.com/a7ZaRqW5Du
— yu-ki (@yuki_sixx) January 29, 2020
・Mr. Bungle『The Raging Wrath of the Easter Bunny Demo』
そしてスラッシュメタルといえばMr. Bungleの新譜(というか昔のデモ音源再録盤)です。これはもう今年の、というよりスラッシュメタル史上最強の1枚という感じですよね。カッコよすぎる。
Mr. Bungleはもうカッコよすぎて最高の一言に尽きるし、マジでパットン編成でS.O.D.復活させてほしいなと思うし、お願いだからスコット・イアンはAnthraxでもこのスピード感と殺傷力を復活させてほしいなという気持ちになっています pic.twitter.com/lmf5WVeVmK
— yu-ki (@yuki_sixx) October 30, 2020
10月31日に行われたオンラインライヴストリーム配信も最高でしたよね。そのライヴの中でEddie Van HalenへのトリビュートとしてVan Halenの”Loss of Control”カヴァーをちらっと演奏してたんですが、「Mike Patton先生、David Lee Rothの声に激似やんけ!」という新たな発見がありました。VHカヴァーアルバム作ってほしい。
・プログロック枠
一番やべえと思ったのはArcing Wiresのデビュー作『Prime』です。これは本当にすごい。間違いなくジャズロック系プログの名盤です。エネルギーと緊張感を持続させながら、かつ「気品」がある点がポイントのように思いますね。オーストラリアの層の厚さを再認識しました。
Arcing Wires、私もめっちゃ注目してて先ほど購入しました。これはすごい気がします。なお彼らが属している豪州レーベルArt As CatharsisにはSEIMS、Hashshashin、Diploid、Kurushimi、Serious Beakなどなどおもしろいバンドがたくさんいます pic.twitter.com/g97zTBZhEk
— yu-ki (@yuki_sixx) November 6, 2020
次点で良かったのがハンガリーのGhost Toast『Shape Without Form』。プログロックとプログメタルの境界線ぎりぎりを攻めている感じが聴いててとても心地良かったです。
ハンガリーのプログメタルGhost Toast新譜がかなり良いです。全曲インストですが、あたかもVoがいる前提で書いてるかのような起伏とフックのある楽曲作りがめちゃくちゃ上手く、終始劇的で飽きない。このバンドはおすすめですhttps://t.co/VVLlhBMHKBhttps://t.co/vRCZCfybY0 pic.twitter.com/R4OmUltgK0
— yu-ki (@yuki_sixx) April 22, 2020
Kansas新譜『The Absence of Presence』も(前作に引き続き)素晴らしかったですね。このフレッシュな感覚とセンスを前にすると、Kansasもまた「いま現在が全盛期」なのだろうなと感じます。バンド名のビッグさに惑わされず、ぜひプログファン以外にも聴いてみてほしいアルバムの一つですね。なおこの作品に関しては発売中の「EURO-ROCK PRESS Vol.86」にて長文解説を執筆させていただきましたのでそちらもぜひどうぞ(宣伝)。
【超宣伝②】Vol.86では他にも、
— yu-ki (@yuki_sixx) August 30, 2020
◾️The Pineapple Thiefインタビュー&レビュー
◾️Kansas新作解説
◾️Pain of Salvation過去作品群レビュー
◾️ワールドディスク名盤100選レビュー
◾️Haken、Katatonia、Rush等新作レビュー
を担当しました。どうぞよろしくお願いいたします! pic.twitter.com/vgI6COLoGA
メロディック系プログとしてはイタリアのMangala Vallis『Voices』、英国のI Am the Manic Whale『Things Unseen』、そして同じく英国のKyros『Celexa Dreams』も胸を打つ旋律満載の素晴らしいアルバムでした。
イタリアのプログロックMangala Vallis、8年ぶりの新譜が超良いです。これは素晴らしい。Neal MorseやThe Flower Kingsのような熱のある旋律をよりメロハー寄りにしたような、このジャケからは想像できない絶品メロディーが満載です。ハードロック方面のファンもぜひhttps://t.co/vc9YHDlJt8 pic.twitter.com/QrtbhazN43
— yu-ki (@yuki_sixx) March 2, 2020
UKプログロックI Am the Manic Whaleの新譜が素晴らしいです。Moon Safariに通じる最高のメロディー満載の前作&前々作でしたが今回もそれは健在、かつThe Flower Kingsや初期It BitesやFlying Colors級の絶品爽快アンサンブルもさらにクオリティを上げています。これは名盤https://t.co/mHe7WyOrDx pic.twitter.com/8VdvnUjxL4
— yu-ki (@yuki_sixx) April 28, 2020
英国プログロックKyrosの新譜が超素晴らしいです。80'sサウンドな前半から、中盤以降は重いリフや劇的美展開やポストロックを絶妙に混ぜ、終始「耳に残るキャッチーさを維持しつつ凝りまくったフレーズをぶち込む」スキルが半端ない。良すぎる。今年のベスト候補に挙げたいhttps://t.co/Dy0WZk50P4 pic.twitter.com/2RAs6mOmOL
— yu-ki (@yuki_sixx) July 16, 2020
コロナの影響でTangerine Dreamの来日が中止となってしまったのはとても残念でした。そのTangerine Dreamに在籍する山根星子さんはソロプロジェクトTukicoで数枚作品をリリースしていて、いずれも聴き応え十分です。アンビエントな音像が好きな方はぜひチェックを。
Tangerine Dreamのメンバー山根星子氏のソロプロジェクトTukico、最新EPが素晴らしいです。ヴァイオリンとMoogシンセを軸に展開するエレクトロアンビエントで、この「緊張感」と「リラクゼーション」が同時に襲ってくる独特の感覚はTangerine Dreamにも通じる魅力だと思いますhttps://t.co/pWH8wDCenx pic.twitter.com/osGRnNJ8b5
— yu-ki (@yuki_sixx) May 7, 2020
Tangerine Dream山根星子さんのソロプロジェクトTukico、昨日リリースされたフルアルバムが素晴らしいです。ヴァイオリン・反復シーケンス・サウンドスケープが生む緊張感と静謐感がすごくてめちゃ没入できる。初期Tangerine Dream作品に通じる魅力も感じましたhttps://t.co/bQ2IoVsUm5 pic.twitter.com/12rC17ZeBO
— yu-ki (@yuki_sixx) October 2, 2020
個人的に長年ずっと応援しているIamthemorningに関してはVoのMarjana Semkinaさんが(Mariana Semkina名義で)ソロアルバムを出しました。
IamthemorningのMarjana Semkinaさんソロ作、MVが公開されてましたね。楽しみ。Marjanaちゃん、ソロ名義が「Marjana」じゃなくて「Mariana」なのがちょっと気になる。本人の発音的に「マルヤーナ」か「マリャーナ」が近いと思ってたんだけどほんとは「マリアーナ」なのかな…https://t.co/CTKDbaNq2r
— yu-ki (@yuki_sixx) December 11, 2019
バンドメイトのGleb Kolyadinも昨年ソロ作を出しており、ぶっちゃけてしまうと(どちらのソロ作もIamthemorning本体より良いのでは…)と思わなくもないのですが、とりあえずあまり深く考えないようにします。今年新たなアルバムをリリースしてくれることを期待したいですね。
・オルタナティヴ枠
2020年に私が最も聴いた新譜はPure Reason Revolution『Eupnea』です。全ジャンル横断でのベスト1位はこれです。復活してくれて本当に嬉しかったし、アルバムの内容も期待を超える最高の出来でした。「オルタナティヴ・プログ」というモダンプログの主流の一つに対して最も忠実な(=クラシックプログとオルタナの成分割合が均等な)音楽をやっているのが彼らだと思います。
本日リリースの再結成Pure Reason Revolution新譜、期待以上で素晴らしすぎる。予告通り1stのサイケなプログロックに回帰しつつ、キャッチーさと劇的さ増し増しで全曲めちゃ良い。特に長尺曲は「Pink Floydがオルタナを通過するとどうなるか」を最も的確に体現してると思います。今年度ベスト候補 pic.twitter.com/cWYUjaRwtM
— yu-ki (@yuki_sixx) April 3, 2020
オルタナティヴ・プログの原点は2000年代におけるOceansizeですが、そのOceansizeのMike Vennartによるソロ作『In the Dead, Dead Wood』も最高でした。2位はこれですね。
元OceansizeのMike Vennart新譜が超良いです。これは素晴らしい。「オルタナティヴなプログ」というより「プログレッシヴなオルタナ」ってとこがポイントで、この人がかつて開拓・提示した音楽をさらに深く、そしてソロらしく掘り下げてるのが魅力的。曲も最高。年間ベスト級https://t.co/vL0pT1ndRc pic.twitter.com/alLAtiqhx1
— yu-ki (@yuki_sixx) November 19, 2020
Pusciferの新作『Existential Reckoning』も強烈な魅力に溢れてましたよね。Maynard James Keenanの、ToolとA Perfect CircleとPusciferそれぞれにおける表現方法の違い・スタンスの違いはいずれちゃんと分析してみたいところであります。
Pusciferの新譜めちゃ良いですね。Maynard James Keenanの声はじめサウンド一つ一つが超魅力的な実験的エレクトロ+ロックでTOOLとは別ベクトルの没入感。本人たちが言及しててなるほどと思ったけどPeter Gabriel初期ソロ作やKate Bush『The Dreaming』あたりに近いのかもhttps://t.co/3bpRfpsr04 pic.twitter.com/yXkREBCvpm
— yu-ki (@yuki_sixx) December 6, 2020
Omar Rodríguez-Lópezの『The Clouds Hill Tapes』3部作もすごく良かったです。Omarの活動もちゃんと整理してみたいな。あまりに作品が多いのでぜんぶ聴くだけで一年が終わってしまいそうですが…。
オマー・ロドリゲス=ロペスはソロ作だけで50枚以上出してる狂人なのでさすがに全作品追えてはいないのですが、今年リリースしたThe Clouds Hill Tapesシリーズ3作はめちゃ良い。ほぼすべて自身の過去曲リメイクで、女性Voを据えた極上ポップスに仕上げています。これは最高https://t.co/a2LwRQqt7v pic.twitter.com/KRKnOqqRgX
— yu-ki (@yuki_sixx) August 6, 2020
その他ではCrippled Black Phoenix『Ellengæst』やGreg Puciato『Child Soldier: Creator of God』も今年の上位アルバムとして挙げておきたいところです。
Crippled Black Phoenixの新譜が素晴らしいです。このバンドは毎回すごいんですが、Pink Floydの神秘性・ヘヴィでドゥーミーなフォーク要素・Swans的没入感を消化した上でポストロックの美メロディーをも核にしているのが最高すぎる。11分半の "The Invisible Post" は今年のベスト曲に推したいです pic.twitter.com/zkCTDH0ZFf
— yu-ki (@yuki_sixx) December 15, 2020
The Dillinger Escape PlanのGreg Puciatoソロ作、めちゃ良いですね。TDEPやThe Black QueenやKiller Be Killedと近いようで距離のある、シンセポップやノイズやゴシックインダストリアルまで網羅。方向性は雑多なのにアルバムとしてあまり雑多な印象がないのがさすがですhttps://t.co/M5jtfzGVqO pic.twitter.com/Tmj5fZwO24
— yu-ki (@yuki_sixx) October 15, 2020
・そのほか
(メタルからもそれ以外からも黙殺されるだろうな…)と予想していたら本当に全方位から完全にスルーされてしまったTommy Lee新作『Andro』も、なんか悔しいのでここで触れておきたい。メタルシーンのど真ん中にこういう感性をもった人間が存在しているというのは、とても重要なことだと思うんですよね…。
Tommy Leeソロ新譜、今回本人はプロデュース&ドラムのみという立ち回りでエレクトロ的制作スタイルですが、KillveinやPAV4Nの招聘はじめクラウドラップ、マンブルラップ、lo-fiという「2010年代ヒップホップ」をちゃんと踏まえた音になってて最高。この感性のフレッシュさはとても還暦前とは思えない pic.twitter.com/S0cOcSJuPs
— yu-ki (@yuki_sixx) October 16, 2020
あと番外として『Pulse: FINAL FANTASY XIV Remix Album』を挙げておきます。MMORPG「ファイナルファンタジー14」サウンドトラックをEDMリミックスした企画盤です。これめちゃくちゃ聴きました。私はEDMも大好きでULTRAやEDCといったフェスにも普通に行く人なのですが、「EDMってどういう音楽?」と訊かれるとうまく説明できないもどかしい感じがずっと続いていて、そのモヤモヤを解消してくれたのがこのアルバムです。EDMとは何か。これです。「このアルバムに収録されている音楽がEDM」「こういうサウンドの作り方がEDM」といってなんら問題ないと思います。
そしてE-girlsの解散については言いたいことも書きたいことも死ぬほどあるのですが、それはまた別の機会に…。
こんなところでしょうか。良いアルバムが毎月大量に発表されて本当に飽きない一年でしたね。
ただ一方で多数のミュージシャンが逝去するつらい一年でもありました。私個人は特にNeil PeartとEddie Van Halenの死去がいま思い返しても本当につらいです。Eddieの息子Wolfgang Van Halenが発表した父への追悼曲"Distance"は聴くたびに泣きそうになってしまう。ありがとう、Eddie。
また、故Chris Cornellの未発表曲として公開されたGuns N' Rosesの"Patience"カヴァーもグッときました。この2曲を私の2020年ベストソングにしたいと思います。
湿っぽい締めになってしまいましたが、2021年もカッコいいアルバム・心に染み入る音楽にたくさん出会いたいですね。
今年もよろしくお願いいたします。
読んでいただきありがとうございます。いただいたサポートは今後の企画費として使用させていただきます。