見出し画像

SIWA商品の検品について

はじめに
山梨県の和紙メーカー大直の一瀬です。私は毎日使える和紙ブランドをテーマにしたブランド「SIWA | 紙和」を運営しています。
本日はSIWAブランドの検品についてのお話をさせていただきます。
SIWAブランドは2008年に工業デザイナーの深澤直人さんと一緒に作ったブランドです。

画像1


私はブランドの誕生当時、ブランドのブの字も知らない、和紙屋の娘でしたが、新ブランドの立ち上げを任され、しかも世界的に活躍されているデザイナー、深澤直人さんとのお仕事、ということで大役を任されて緊張の毎日でした(今も変わらず緊張の毎日ですが!)

深澤直人さんとの仕事
深澤直人さんと一緒に仕事をして本当にたくさんのことを学んできましたが、そのひとつが「かたち」へのこだわりです。深澤さんをご存知の方からしたら何を当たり前なことを!という内容かもしれませんが、私が肌で感じたことをお話しさせていただきます。
プロダクトデザイナーの方との初めての仕事が深澤直人さんであった為、比較もできないのですが、理想のかたちになるまでのプロセスは言葉通り妥協はなく、我々も深澤さんの言葉を絶対として、何度言われても、修正し提出するようにしています。それはミリ単位の修正であり、素人目にはわからないような小さな修正であっても、最終サンプルが仕上がりOKがでた製品は、本当に美しい「かたち」であることを肌で何度も感じできたので、最初は苦しくて「また!?」と心の中で何度も叫びましたが、それを何度も何度も繰り替えしているうちに、「当たり前」の行為(行程)となりました。

画像2

生産を繰り返して得た製品クオリティ
そうして製品をいくつも作り上げていった中で私たちの中でも深澤イズムが自然に身についていき、「SIWAはこういう感じ。」「SIWAのクオリティはこのくらいの程度」という基準が出来上がっていきました。
SIWAのチームには数名の検品部隊がいるのですが、そのスタッフの製品品質基準は恐ろしいほど厳しいです。それは、ずっと培ってきた我々の基準であり、ポリシーにもなっていったように思います。

「真っ直ぐ」を目指す
布製品のように縫い直しが効かない紙製品のSIWAブランドは、検品で落とされてしまった製品は日の目を見ることができません。布の製品よりも縫い目が目立ち、「真っ直ぐ」という大きな難関をクリアした製品だけが世に出ていきます。「真っ直ぐ」とは何か?それは折り目が真っ直ぐであり、縫い目が真っ直ぐであり、パーツが真っ直ぐ付いていることです。
SIWAの製品は製品のデザインの1つでもあるシワがついた製品です。
シワがついている=大雑把な製品
という印象は否めないと思いますがSIWA製品はその印象を絶対に与えないように心がけています。

画像3

これは深澤さんが常に我々に求められた大きなポイントでもありますが、手作りだけど精度の高い作りを目指すことで、デザイン性の高いすっきりとした洗練された製品になる。ということです。言葉にしてしまうとなんだか安っぽい感じがしてしまいますが、そこは我々のこだわりの1つです。SIWAの製品が飽きずに長く使えるのも、これが大きく役立っていると思っています。そんな厳しい品質を求めているので、どうしても縫製が目指すべき仕上がりにならないこともあります。「真っ直ぐ」ではない製品たちです。「真っ直ぐ」であること以外にもいくつも検品基準があるのですが、、、1つは「真っ直ぐ」です。真っ直ぐというのはとても難しいのです。手書きで真っ直ぐ線を引いたり、真っ直ぐ紙を折ったり。

厳しい検品基準によって落とされてしまったB品たち
その真っ直ぐではない製品たちが2008年からずっと溜まってしまい、どうしたものかと頭を抱えていた6年目の2015年。「感謝祭」と題し、はじめて招待制のファミリーセールを行いました。その時にB品の箇所に全てシールを貼ってわかるようにし、理解いただき購入していただくというイベントを行いました。意外にもたくさんの方がB品を購入してくださり、通常の製品の検品基準もご理解いただく良い機会になりました。

スクリーンショット 2020-06-03 18.34.01


NO PROBLEMのメンバーとの出会い
その感謝祭でケータリングを依頼したのがモコメシさん。
モコメシの代表の小沢さんがNO PROBLEMというプロジェクトを考えている。という話をそのタイミングでお話しいただきました。
NO PROBLEMのプロジェクトとは、まさにメーカーが出したB品を理解いただき、NO PROBLEM品として正規価格で販売していく。という企画です。我々としてはまさに求めていた企画でしたので、ぜひ参加した旨を伝え、NO PROBLEM プロジェクトチームさんが主催するイベントに参加させていただけることになりました。

画像5

(NO PROBLEMメンバーとSIWAのメンバー打ち合わせ)

NO PROBLEM 展@GOOD DESIGN Marunouchiへの参加
2017年に東京丸の内で開催されたNO PROBLEM 展。
そこでは我々のようなメーカー数社が自分たちの基準で検品しB品として正規品から落とした製品を展示するなど、検品の考え方を紹介する形でした。トークイベントなども行いそれぞれの考えなどを発表していきました。同時開催で丸の内KITTE内でNP百貨店@GOOD DESIGN STORE TOKYOを開催、ここでは実際にB品の販売も行いました。検品の箇所を提示してご理解いただき購入していただきました。

画像6

画像8

画像8


(写真提供:NO PROBLEMプロジェクトチーム)

2020年2月に開催したNO PROBLEM store@21_21
久々に参加したNO PROBLEMのイベント。場所は東京ミッドタウン内の21_21 DESIGN SIGHT。同時開催で行われていたのは日本デザインコミッティー企画協力の「㊙展 めったに見られないデザイナー達の原画」
どちらも人気の企画となり大勢のお客様に来ていただきました。
そんな矢先に新型コロナウィルスが発生し、途中でイベントが中止となってしまったのですが、このたび再開の運びとなりました!
ここでは、我々の製品の検品基準やB品の製品を実際に見て、ご購入もいただけます。ぜひ、真っ直ぐではないモノたち。そしてそのほかにもSIWAの製品なのにシワの多すぎるものたち、シワと傷の違い。などなど。目を凝らして我々の検品部隊になった気分でぜひ味わって見てください。

画像9

日時:2020年6月5日(金)- 21日(日)
時間:11:00 - 17:30(時間短縮営業)
場所: 21_21 DESIGN SIGHTギャラリー3(事前予約制)
東京都港区赤坂9丁目7-6 東京ミッドタウン・ミッドタウンガーデン内
定休日:火曜日
入場料:無料


2020年10月22日より開催!
NO PROBLEM store @パスザバトン表参道

画像10


展示販売:『NO PROBLEM store』by NO PROBLEM COMMITTEE
会期:10月22日(木)〜11月15日(日)
会場:PASS THE BATON GALLERY(表参道店)
   〒150-0001 
   渋谷区神宮前4-12-10 表参道ヒルズ西館B2F
   パスザバトン表参道店内 03-6447-0707
   月〜土11:00 〜 21:00(日祝11:00 〜 20:00) 
   URL: https://www.pass-the-baton.com/news/12619/

各種情報:
モコメシ
NO PROBLEMプロジェクト
21_21 DESIGN SIGHT



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?