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アークナイツにおける「龍」について

 今回の考察では現在(3/15)における大陸版の情報も参考にしていますが、シナリオやプロファイルに関するネタバレは行っておりません。

はじめに

 今回は表題にある通りアークナイツにおける「龍」について考えてみる。龍モチーフとして有名なのはメインストーリーでキーとなった当時龍門近衛局の特別督察隊隊長であったチェンやその龍門の長であるウェイなどであろう。また、大陸版では毎年春節に実装されている(日本では夏頃)「歳」と呼ばれる存在に連なる者達も昇進2の背景には龍らしき存在が見えている。
 今回はこれらの龍モチーフのキャラについてコーデや昇進2画像から龍の指の本数を中心に考察していく。この際、明代以降の五本指の龍は「中華皇帝」専用のものとされ、三本指、四本指の龍と格の違いを示すものとなったことを念頭に見ていくこととする。

各イラストにおける龍の指

チェン

 アーミヤに次ぐ第2の主人公として活躍しているチェン、タルラの異父妹である。タルラはドラコの父(エドワード・アルトリウス)と龍の母(ウェイの妹)のハーフであるが、チェンはエドワードの死後誕生している。おそらくウェイが妹を炎国良家(龍?)の男と再婚させた後に誕生しているので純正の龍だと考えられる。

昇進2
コーデ「歳紅霞」

 チェンの龍は指五本であり龍の中でもその正統性、格がかなり高いことが想像出来る。

リー

 現在オペレーターとして実装されている種族「龍」はチェンとリーの二人のみである。彼のモチーフはさらに登龍門の逸話から来ており鯉(リー)と龍が混ざったようなものとなっている。

昇進2

 炎国の良家出身であるリーだがチェンとは異なり四本指の龍であることは注目に値する。

ウェイ

 龍門のトップでありチェンの伯父でもあるウェイ。コシチェイを龍門から叩き出しウルサスと炎国の国境沿いである龍門を巨大経済都市に変えた。その懐刀である影衛には元禁軍(皇帝直轄軍)のものがいる(END8-1)、弟が宣戦布告権を持っている(7-2)など炎国内でも並び立つことの無い家出身であることは想像出来る。
 ただし、アニメでのウェイの執務室では壁紙の龍の装飾が四本指になっており非常に興味深い。

第四話「契約」12:13

フミヅキ

  極東の姫でありウェイの妻であるフミヅキ。彼女もシラユキのモージュルにて龍であることが確定した。しかし、一角の龍は珍しく極東における龍については後述で考察する。

見やれば、忍者の背中に突き立った刀を黒衣の龍が引き抜いているのが目に入った。
「お嬢さん、ここにいたのね。」
少女はなんと答えたらいいかもわからず、茫然とした。
「私はフミヅキよ。」
そんな少女の頭をポンポンとあやすように撫でながら、龍は言った。

シラユキ モジュール「手裏剣」

太傅

 現状出てきた炎国の官の中で最も高官であり、実質的に官の任命権までも与えられている炎国の最高権力者だと思われる。太傅は中国において皇帝の教育係であり最高の名誉職である。

歳たちについて

 歳獣から分化した彼らのモチーフはニェンの実装時から多数議論されておりなかなか結論のでない問題となっているため今回は指の本数にのみ注目していく。

ニェン

昇進2

 かなり判別しづらいがおそらく四本指だと今回は考える。

コーデ「楽逍遥」

 龍門の職人の手によるチャイナドレスであり龍の装飾では指が三本となっている。

シー

昇進2

 もやの関係上五本指にも見えるが同じく昇進2画像に登場する手から四本指と考えるのが自然とした。

昇進2

リィン

昇進2

 かなりはっきり四本指であると判別出来る。

チョンユエ

昇進2

 確実視はできないが手の筋の入り方から四本指の可能性が高い。

歳相

 将進酒で登場した歳本体の影は五本指であり、その分体である兄弟姉妹が四本指であることを考えると興味深い。

 さらに不思議なことに来夏グローバル版でも公開されると思われる「特别映像 [炎:劫争]」ではこの歳本体を描いていると思われるイラストでも四本指と五本指のものがある。

五本指?
四本指
四本指?
四本指

指の本数についての考察

 上記で調べた指の本数を元に炎国における龍と歳についてまとめ、考察していく。

真龍の血:炎国皇帝家、五本指 → チェン、ウェイ

            ↕

龍:炎国における上位層(神民?)四本指 → リー


歳本体:真龍に協力した巨獣、五本指 → 歳相(歳の影)

            ↕

歳分体:討伐された歳が分化し自意識をもった存在、四本指 → ニェン、シー、リィン、チョンユエ、囲碁バカ

 まず、炎国における龍について以上のようにまとめた。この時、種族としての龍と歳たちのは明確な差があると考える。
 真龍(初代炎国皇帝)が何者なのかはわからないが、その存在はその他龍の一族と区別される点として指が五本であるということであったと考える。そして、その協力者であった巨獣の歳もまた五本指の龍であった。しかし、歳が最終的に討伐されると図像化される際に真龍を神聖化させ、歳をその臣下とするために四本指に書き換え、ただの龍に格を落としたのではないかと考えられる。
 この指の本数を減らすことによる格下げはウェイの項で述べた執務室の龍の意匠でも見られる。皇帝家出身の可能性が高いウェイだが執務室の龍の指は四本であった。つまり、皇帝の臣下の用いる龍は四本指であるという龍の格に関する文化が炎国にあるということだ。

 以上より、炎国には龍の指の本数に応じた格が存在し真龍の血(皇帝)の龍は五本指であり神聖化されている。そして、歳も実際は五本指であったが炎国の歴史の中で四本指の存在に格下げされたものであると考えた。

その他考察(妄想)

極東の龍とオニについて

  先日大陸版で実装されたモンハンコラボのヤトウの昇進2イラストにてヤトウのモーチフがヤトノカミ(ヤツノカミ)「夜刀神」であることが明確に示された。

昇進2

ヤトノカミは角を持つ蛇として常陸国風土記に記されている存在だ。しかし、ヤトウの種族はフィディアではなくオニとなっている。

                オニ(悪霊とされた存在など)

八百万の神々           ↕

                龍(極東の指導者層)

 そこで、このように八百万の神をモチーフ化する際に分けたのではと個人的に考える。

 そのため、シラユキのモジュールによってフミヅキが龍であることが示されたが、彼女は一角の龍であり中国で提唱された典型的な三停九似の龍から外れている。このことから極東における龍は炎国の龍と異なる存在なのではと考えた。

炎国の龍:皇帝、権力の象徴としての龍(三停九似)

極東の龍:目に見えない存在(八百万の神々) ≒ オニ

最後に

 Sivolです。2本目の考察記事最後まで読んでくださりありがとうございます。最後のオニ関係に関しては大陸版でヤトウさんの昇進2が出てから思いついたことなので言語化がうまく出来ず、日本語として成立していない気がしますが。
 龍の指に興味を持ったきっかけは最も好きな漫画に出てくる龍(ドラゴン)に対する「六本指なのさ」という評からです。(次の記事はこの漫画の布教記事にしようかと思ってますが難題すぎる)
 前回のモンハンコラボにおける極東についての考察は沢山の方に読んでくださりありがとうございました。日本版実装が楽しみですね。
 次の考察(妄想)記事はまた不定期かと思いますがよろしくお願いします。

参考文献

図説 龍の歴史大事典 笹間良彦 著 遊子館

夢万年ー聖獣伝説 江上波夫 監修 講談社


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