撃ち落せな~い.その1

発掘した原稿たちのなかに、むかしガンダム00 第1期のときに仲間と作ったガンダム00 サークルで出す予定だったもの発掘しました(笑)

何考えてるんだかわからないんだけれど、当時のまま誤字と変なつながりを直しただけでアップしてみました(;´∀`)

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「気分をお酒に依存しているスメラギさんはせっかく帰ってきたティエリアに絡み酒断られてちょっと色っぽく拗ねてみたけど別に絡むつもりなんか無かったんだからね!ミタイナ瞬間にティエリアの心境は…編」(ォィ)


『天誅交通公社E277便は予定時刻通り14時18分、グリニッジ標準時5時32分の発車です』
 アナウンスが響く中、ティエリアはゆっくりとリニアトレインへ向かう。つい今し方ほかのガンダムマイスター達と別れたばかりだ。
(ミッションとはいえ、こんな不自由なところには長居したくはない)
 残る3人にはそういう感情がないようだが、ティエリアは地上に居ることで自分の何かが失われていくような、そんな感覚にも似た気持ちが溢れていた。仏教の地獄にも似た魂の堕ちるところ。こんなところでは気が休まることはなかった。

 リニアトレインのゲートをくぐり、自分の個室へと向かう。堂々とはしていてもやはり人の目のないところでは一息つく。ティエリアは座席に着くと深めの深呼吸をした。
『本日は天誅交通公社E277便にご乗車いただき誠にありがとうございます。まもなく発車時刻となりますので、座席にお座りになり、シートベルトをお締めください』

 響く声を遠くに聞く感覚。ティエリアは考え始めた。
(わざわざこんな魂のるつぼに降りるまでもなかった、いくらヴェーダのミッションとはいえこのくらいのことならば全マイスターを投入しなくても良かっただろう)
 ふと窓の外に目が行く。ほこりくさい、重力の統べる地獄に破壊された自然環境。争う人類が闊歩する地球の印象は廃墟そのものの様、人類は宇宙へと重力に抗う術を持っているのに、何千年経っても未だに地上で醜い争いを続けている愚かな生き物だ。と、ティエリアは思っていた。
(まぁいい、少しでもはやくここから遠ざかれるならば)
 軌道エレベータ内をリニアシステムを用いて、わずか数時間の移動で重力干渉外へと行くことが出来る列車、リニアトレインは手軽に自分をこの地獄から遠ざけてくれるいい乗り物だ。

 軌道エレベーターが緩やかに進み出した徐々に早さが増してくる。
(やっと戻れる…地上は嫌いだ……)
 窓の外は軌道エレベーターの内部パターンを繰り返しながらスピードを上げていった。景色が上から下へ流れてゆく。
(重力から離れるために、より重力を感じる…。吐き気のする思いだ…)
 宇宙へ上がれば室温が下がるだろうと、エアコンのスイッチをHOTに入れる。
 さらに加速してゆくエレベーターの車窓に飽きを感じながら、少し眠っておこうかと眼を閉じた。


『本日は天誅交通公社E277便にご乗車いただき誠にありがとうございます。本リニアトレインは低軌道ステーション真柱直行便です。到着時刻は18時32分、グリニッジ標準時翌日3時32分になります。
 初期加速が終了しました。今から当トレインは緩やかな減速状態を開始し、車内が擬似的な無重力状態になります。シートベルトをお外しの際にはじゅうぶんご注意ください。』

   (ゴゴゴゴゴゴ)

 揺れないはずのエレベーターがゴゴゴと音を立てて揺れる。ティエリアは奇妙な重力バランスを受けてハッと目を開ける。ゆっくりとした速度になって行くエレベーター。
『(ピンポンパンポン)ただいま軌道エレベーターに外気天候による衝撃が伝わり、少々の揺れを受けました。徐行運転へと移行いたします。』
(天候?内部はクッションがあるはずだろう?)
 ティエリアは少々苛つきながら起き上がった。

 アナウンスはさらに続いた。
『到着時間に若干の遅延がございますので、ご乗車の皆様にはご了承いただきますようお願いいたします。 あ?(ブツッ)』
「あぁ?」思わず声を出してしまうティエリア。
同時に股エレベーターが揺れ出す。(ゴゴゴゴゴゴ)
「『あ』ってなんだ??『あ』って!?」スピーカーに向かって問うが応えはない。エレベータは停止してゆく。
「ちょっとまて、なんだ?」完全に止まるエレベーター。

 シーンとする車内にかすかに響く、軌道エレベーターピラーの軋む音。

 (ギギギギギギ…)

「だ、だいじょ…」
『(ピンポンパンポン)大変ご迷惑をおかけいたしております』
(?!さっきと声が違う?!)
『当軌道エレベーターは安全です。お客様の安全を第一に考え…』
(ここで安全論?安全じゃないのか?)
 苛立つティエリア。
『…なお、当エレベータの非常ハッチはお開けにならないようお願いいたします。当車両は現在、地上3万フィートあたりで制止しております。まだ重力圏を脱しておりません上に、車内と車外では気圧が異なりますのでので、いきなり非常用ハッチをお開けになると車外へ吸い出され、そのまま地表へ落下の危険性があります…』

(…………ゴクリ…)

 ティエリアは想像していた…、吸い出されてそのまま落下する自分を。鼓動が高鳴る。思わず窓の外を見る、車体は少し反ったようになっており、車体後方が見えていて、その後方は照明もなく闇が広がるだけだった。

『あ、お客様、いけま…(バンッ)』
「!!!」大きな音で体がこわばった、車体が少し揺れた。
 何かが動いた気がして視線を向けると、旅客ブロックの最後尾のハッチが開いており、数人の人影が闇へ吸い込まれていった。
「!!!」
 ティエリアは倒れるかと思った、その場に立ってはいたが、あまりのことに動けなかった。悪態が口をつく寸前に放送が入った。
『(ピンポンパンポン)』
「ピンポン…って!」
 もう考えていることが口から言葉となって出ていた。
『大変お聞き苦しいところをお聞かせいたしましてお詫びいたします』
「お聞き…」
『車両を移動されますと、他のお客様のご迷惑になりますのでお控え下さい』
 扉の外ではなにやら騒がしい音がしている。聞こえてくるのは泣き叫ぶ女性の声や、男の怒鳴り声、物の叩きつけられるような音だ。
「ば、やめ、壊れる…」ティエリアが個室の扉に寄ろうとした刹那、ガラスの割れる音が響いた。
 風の音、声のかき消える様子がここからでもわかる。
 ガタガタと扉が軋み、ガラスにヒビが入った!
「あ、やめ…」思わず涙がにじむティエリア。

 非常シャッターが閉まり、音から隔離される。

 静寂。

 ティエリアは座席へ戻り、シートベルトを締めた。
「……」半泣きだった。

 (ギギギギギギ…)

 ピラーの軋む音だけが伝わってきた。


 30分ほど経っただろうか、
 ティエリアは憔悴しきっていた。

『(ピンポンパンポン)この度は当エレベーターにご乗車いただきまして、ありがとうございます』
 ティエリアははつらつとした声に瞳を動かした。
『当車両はこれより地上へ引き返します。少々スピードが出ることが予想されますので、座席に着きシートベルトを惜しめ下さい』

 ガクンと大きく揺れ、窓の景色が下から上へと流れ始める。

「は、はやい…」

 体はGを感じていた。浮き上がるような感覚が一種の無重力と錯角を起こす。

「み、妙だ…減速が…」目はパニックしていた。
 全く減速感を感じない。体はすこし浮き上がり、ベルトが軋む。

『(ピンポンパンポン)大変申し訳ございません、当車両は減速が効かぬまま、あと1分ほどで地表へ到達いたします。』
「ガ、ガンダムに乗っていれば…」悔やみながら目を閉じた。
『あと20秒…10、9…』
きつく目を閉じる
『3、2、1、0!』
 体に衝撃を受けた。

「うわあああああああああああああああああああああああ @Q@」
「ヒいいぃぃぃぃ!!!!」
 カッと目を見開き、激しい形相を乗務員に向ける。両手は乗務員の方をガッチリと掴み、息も荒く力がこもっていた。

 しばしの沈黙に少しずつ呼吸が整う。

「…お、お客様…到着いたしました…が……」
 怯える乗務員が蚊の鳴くような声で伝える。

 沈黙が汗だくの体を冷やし、やっと状況を把握出来てゆく。

「…お客様…?」完全に怯えて笑う女性乗務員。
 ティエリアはゆっくりと手を戻し、表情をいつもの顔に変える。
 シートベルトを外し、キリリと立ち上がると、めがねをかけ直し女性乗務員に言った。
「アデュー☆」


 宇宙空間にステーション用機材ブロックが浮遊している。

 ハッチが開き、中からヴァーチェが姿を現す。

「合流ポイントに到着」
『ヴァーチェ、視認しました』
『着艦準備開始、相対誘導システム作動』
「連動システム良好。ヴァーチェ、着艦します。カウント…」
 無重力の中で慣性に身を委ねながら、誘導システムの自動制御に移る。ゆるい速度と浮揚感が気分とシンクロし先ほどの嫌な夢を思い出す。
 コンテナドッキングのカウントダウンが、夢の最後の瞬間とフラッシュバックして吐き気がした。脂汗が出る。
『着艦完了。ヴァーチェのGNドライブ、プトレマイオスとの連結作業開始』
『エネルギー、ヴァーチェからトレミーへの転送準備完了。転送開始します』
 フェルトやクリスティナの声を聞きながら少しずつ冷静さを取り戻し、母艦に着艦した安堵感からどっと疲れが出た。
「とはいえやはり宇宙はいい…」
 ため息とかるい目眩が襲う。
『ご苦労様』スメラギの声に目がモニターへ向く。
「…ミッションは?」
『無事終了したわ、刹那たちはもう少し戻れないけどね。さ、早く来て祝杯を挙げましょう?』
「…」喉の奥からドレッシングが上がるような気分の中、ティエリアは答えた。

「謹んで辞退します…」

『mn…釣れないわねぇ……』スメラギはぷぅっと膨れた顔をした。




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オチはどこなんだ…(;´Д`)

そう思わざるを得ないのですが、とりま何もアップしないままで1年とか経っていたのでリハビリのようにアップしてみました。

あ、当時のサークル名は GachaGacha という名前でした(;´∀`)

そしてこのあとがきもまた落ちのないまま終わる(死)

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