![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/130572683/rectangle_large_type_2_94a0f986da0b62e82aea9319de727f34.png?width=800)
梅切らぬバカって言うでしょう?
海が近い土地に住んでいるので、散歩がてら海を見に行くことが多いのですが、今日は寒かったのでご近所周りを少しだけ散歩してきました。
お庭に金木犀の木が植ってあって、秋頃とてもいい香りをお裾分けしてくださったお家があるのですが、その金木犀の隣に、白くてまるい、可愛らしい蕾をたくさんつけてる美人さんの梅の木が植ってあるのが見えました。
どなたもいらっしゃらないと思いこんで、立ち止まって見とれてしまっていたのですが、お家の2階にいらっしゃったらしい家主のご婦人が窓を開けて
「ねぇ、そこのふわふわの上着のおじょうさん、梅、お好きやろうか?」
とニコニコしながら声をかけて下さいました。
なんてこと。
「すみません可愛いなと思って拝見してましたすみません」と平謝りすると、ご婦人が、
「いやぁ、なんで謝るのんな、ちょっとそこで待ってて、枝持って帰って〜」
とおっしゃるではありませんか。
初対面の怪しい女のために梅の枝を切るだなんて…
と思って「それはいけません奥様いただけません‼︎」とご遠慮したのですが
ご婦人は「そんなん言わんと〜。お家持って帰って飾ったって欲しいわ。
それに梅切らぬバカて言うでしょう。
剪定してたらどうせうちかて家の中梅だらけになるんよ。
連れて帰ってやってくれたら助かるんよ〜」
とおっしゃりながら、蕾の多い枝を3本も切って下さいました。
「お家出る時と帰ってきた時にお花が見えたらいい気分になるもんよ、せやから一本はお玄関に飾りなさいね。あとの二本はお部屋にね。」と。
なんて素敵な方なんだろうか。
ですが初対面のご婦人に大切なお花をいただくだけではこちらの気も済みません。
「ありがとうございます、いただきます。
大事な梅の枝とはとても釣り合いが取れませんけど、せめてこれと交換にして下さい」
と、散歩がてら寄ったパン屋さんで買ったドーナツと交換にして欲しいと交渉しました。
ご婦人は「ただの枝やのにいただけへんわ〜」
とおっしゃっていたのですが、
「お願いします‼︎これチョコレート味も入ってるんで‼︎バレンタインだと思って‼︎(?)」
と我ながらよくわからない交渉をしてようやく交換に応じて下さいました。
時間が経って冷静になると、やっぱ逆に気持ち悪かったよな…。
どうすればスマートやったんやろ…。
と、自分の気持ち悪さと咄嗟の機転のきかなさを悔いているなうです…。
これがコミュ障ってやつなんだろうか…。
いただいた梅ちゃんは、一本は教えていただいた通り玄関へ、
一本は寝室へ、
短めの一本は食卓に飾らせていただきました。
あの物腰の柔らかさ、人に気をつかわせない物言い(私のせいで逆に気をつかわせてしまいましたが)
お手入れされた素晴らしいグレイヘア。
憧れるなあ。
私もあんな素敵なご婦人みたいに歳を重ねていきたいなぁ。無理そうだなぁ。
色んな意味で、梅を見るたび思い出したい1日になりました。
桜の木は女王様の様な気品がありますけど、
梅の木は下町のべっぴんさんという風情がありますよね。
どちらも大好きです。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?