Holo Audio May DACとMSB Discrete DACの比較




はじめに

Holo Audio May DACとMSB Discrete DACを実際に購入し、音質比較を行いました。

音質比較

Holo Audio May DAC

Holo Audio環境


強力な音響性能と厚みのある音色が特徴です。しかし、この特性により、ヘッドフォンでの使用時には音場が狭く感じられ、時折息苦しさを感じることがあります。また、高域や微細な表現がやや欠けてしまい、音数が少ないこともあります。ですが、どの音源でも心地よく聴かせてくれるリラックスしたサウンドを楽しむことができます。

OSモードを使用している場合でも、高域の質感がやや荒いと感じることがあります。この弱点を改善するためにDDCや10Mhz外部クロック入力を使用しましたが、May DACに転送するまでに劣化があり、改善は限定的でした。
デジタル入力部の処理に微妙な問題があるのかもしれません。
ただし、不快なノイズは全くありません。

Holo Audio May DACは、音質の良し悪しに関係なく、リラックスしたサウンドを提供してくれるため、魅力的な選択肢となります。一部の課題があるものの、その音響能力とノイズのなさは十分に魅力的でした。

MSB Discrete DAC

MSB 環境


MSB Discrete DACとHolo Mayの比較において、はっきりとS/N比の悪化が見受けられます。また、低域のグリップがあまりなく、EDM等の音楽には向いていません。一方、Holo Mayよりも音の線と輪郭が細く、より繊細な印象を受けます。MSB Discrete DACのクロック性能は優れているため、過渡応答も優れていると感じられます。その特性においてはHolo Mayに劣る部分もありますが、不思議なことに粗さがなく、聴きやすいです。

Holo May vs. MSB Discrete: 相対比較(10点評価)

S/N比:
Holo May: 10
MSB Discrete: 6

空間表現:
MSB Discrete:8
Holo May: 4

Holo Mayは高いS/N比を持ちながら、空間表現においてはMSB Discreteに劣っています。一方、MSB Discreteはこれらの要素で優れた性能を発揮しますが、S/N比や駆動力ではHolo Mayに比べて劣ります。

使用感

Holo Audio May DAC

音質以外でもさまざまな使い勝手の良さがあります。OSモードやNOSモードの切り替え、多彩な信号入力、PLL、そして最高峰の出力(DSD1024、PCM1536K)など、多機能な設定があり、環境を変えることで音の変化を楽しむことができます。また、ゲーム用途でPCに併用して使用する場合、HQPlayerによる高負荷アップサンプリングや、Muluticore DSPやCUDA offloadによるCPUの活用など、さまざまな試みを楽しむことができました。

私自身、Holo Audio May DACを約3年間使用していましたが、トラブルや故障は一切ありませんでした。使用感においてもストレスを感じることはありませんでした。

MSB Discrete DAC


見た目や仕上げの美しさに加え、シルバーの筐体の色味も好みで、所有欲をしっかりと満たしてくれます。また、アルミ削り出しのリモコンもしっかりとした作りで、操作の反応も良く、ストレスを感じることはありません。

さらに、リモコンは充電式で、Micro USB B端子になっています。家のデバイス関連がすべてUSB Type-Cで統一されている場合、今後USB Type-Cに変更してもらえると嬉しいですね。

MSB Discrete DAC・MSBは、その美しいデザインと使いやすさにより、満足感を与えてくれました。デバイスを選ぶ際には、音質だけでなく、外観や操作性も重要な要素となることを忘れずに、自身のニーズに合った選択をしましょう。

まとめ


MSB Discrete DACとHolo Mayの比較により、それぞれの特長が浮き彫りになりました。MSB Discrete DACはクロックの性能とデジタル入力処理の品位の良さが際立ち、繊細で粗さがない音質を提供しますが、一方でS/N比の悪化と音のくすみ、駆動力に注意が必要です。一方、Holo Mayは音の線と輪郭が厚く、聴きやすい印象を与えますが、音楽表現が制限されてしまいます。

あとがき

MSBはFocal Utopiaのような直線的で空間表現が乏しいヘッドホンと組み合わせると、これらの弱点が補填され、理想的な組み合わせに感じられました。スピーカーでも同じ傾向があるYG Acousticsなどと組み合わせると、心地よく聴くことができるでしょう。

May DACは作業中に聞き流したりするのに最適なリラックスしたサウンドでヘッドホンのHifiman Susvaraでは本当に心地よいサウンドでした。

参考資料

MSB Discrete DAC Measurement
Holo May DAC KTE Measurement