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来年度(2023年度)の授業を考える

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2022年度後期に,来年度(2023年度)の授業について考え始め,いくつか記事を書きました。
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記事一覧

来年度の授業を考える

2022年度後期の授業は,まだ半分が過ぎたくらいですが,早くも来年度の授業をどうするか考え始めました。コロナ対応の授業を2年半以上やってきて,そろそろ違う形の授業をやりたくなってきたからです。 私の大学では,2022年度はずっと,全ての授業が完全対面方式で行われています。当然,私の授業もそうなのですが,実は,反転授業のように,一方的な講義部分についてはオンデマンド動画を利用しています。その動画は,基本的に2017年度後期に行った授業の録画でして,多少その後に収録した動画を付

教員自身を教材にする

コロナ禍のなかで授業をやっていて,大学教員の役割とは何なのだろうかと考えることがしばしばあります。私は,全面対面授業になった今年度も,講義内容はオンデマンドの動画で学生に提供しています。なぜそうしているかというと,学生も教員もいつコロナの影響で一定期間教室に来られなくなるかわからない,そういう不安定な状況においても最低限の学習を継続できるようにしたいからです。しかし,教室で多くの学生を前にしながら講義をしないというのは,何かおかしいと感じさせるものがあります。講義ビデオでも十

自分の学び方を振り返る

私は授業で,その授業で学ぶことになっていることを学ぶだけでなく,学び方自体を学んでもらいたいと思っています。その授業で学んだ知識がその後の人生で役立つことはめったにないと思いますが,学び方を学んでおけば,あとは学びたいことを自分でどんどん学んでもらえるからです。 学び方を学ぶような授業としては,たとえば初年次生向けのスタディスキルのような授業がありますが,学び方を学ぶことがメインの目的ではない授業でも,学び方を学んでもらえるといいなと思っています。 例えば,私は科学技術史

Nスペ「新・幕末史」をみた

※2022.11.7更新(第2集を追加しました) 来年度の授業準備の手始めに,「科学と技術の社会史」の教材となる幕末・維新期の科学史・技術史の興味深いテーマやトピック(人物・出来事)について学びたいと思い,そのため,これまで録画しておいたテレビ番組の中で,幕末・維新期を扱った歴史番組をリストアップし,順に見ていくことを始めました。 とりあえず,私の録画ビデオのデータベースを使い,「幕末」で検索したところ,69の番組が選ばれましたが,まずは一番最近のNHKスペシャル「新・幕

学び始めは情報集めから

幕末・維新期の科学技術史の学びを始めてまずやっていることは,手持ちのテレビ録画と本を使って,関連する情報を集めること。 科学技術史の勉強は学生時代以来,何十年もやっていながら,意外と幕末・明治期のことは知らない自分に気が付きました。自分の研究テーマではなくても,周りにいる人や学会での研究発表などから,古今東西の実に多様な話題を聞く機会はあるのですが,私の記憶に残らなかったのか,実際にそうしたテーマの研究者が少ないのか,その両方かもしれません。 私がやる情報収集の方法は,ま

新しい教育方法論を学ぶために,齋藤孝氏の著作を読む

来年度の授業を考えるために,学生も教員もやりがいを感じることができる授業のやり方について学びたいと思いました。そして,そのためにまず私がやり始めたのは,齋藤孝氏の著作を読むことです。 私はかつて教育学部で教えていたこともあり,また学生時代から教育に関心を持っていたこともあって,様々な教育学者や教育者の著作は読んできたのですが,なぜか齋藤孝氏の著作を読むことは全くありませんでした。齋藤氏の名前は『声に出して読みたい日本語』(2001年)がベストセラーになってから知ったのですが

2023年度前期の実際の授業

自分のnoteへの投稿を読み返していて,昨年9月に「来年度」つまり2023年度の授業について考えていること,およびその準備の過程を書きかけていたことに気づいた。その連載は中断しているのだが,これはまとめて読めるようにしておいた方がいいかと思い,次のマガジンにまとめた。 中断してしまった理由は,個人的に急に忙しくなって,新しい授業を構想する余裕がなくなってしまったことである。したがって,2023年度前期は,基本的に2022年度と同じ授業を行った。 この連載の最初の記事で,私