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本の自炊環境を整えることを全力でおススメする記事。自炊はいいぞ!


〈目次〉
 0. いま、猛烈に、人に自炊をおススメしたい!
 1. 最初に確認!自炊は誰に向いているのか。
 2. 技術に驚き!紙と同じように書けるんです。
 3. ただし、健康被害もある。
 4. で、何を揃えたらよいのか。
 5. とにかく、自炊はいいぞ。


0. いま、猛烈に、人に自炊をおススメしたい!


 夏に、自宅の本を電子書籍化する環境 (いわゆる自炊環境) を整えた。

 ドキュメントスキャナー、事務用カッター、iPadとApplePencil……。かかったお金は大体10万円……それなりのパソコンが買えてしまう値段である。だが、半年使ってみて、まったく後悔をしていない。というか、むしろ人に薦めたい。確かに最初のハードルは大きい。しかし、私は実際に自炊を始めてみて、「なぜ学生や院生の頃にこの道具を揃えなかったのか……」とめちゃくちゃ後悔している。

 そこでこの記事では、自炊環境を整えることを全力で読者におススメしてみることにしたい。ただおススメするのではない。一体どれくらい便利なのか。何をそろえるべきなのか。デメリットは何か。そして意外な健康被害まで。功罪混ぜ合わせて、とにかく自炊が「どれくらい便利なのか」を書いていくことにしよう。


1. 最初に確認!自炊は誰に向いているのか。


 だが、この年の瀬に無駄に時間を使わせるわけにはいかない。そこで、最初に一番大切なポイントを述べてしまいたい。どういう人が、どのような目的のために自炊環境を整えるべきなのか。 要するに、私はどういう人に自炊をおススメするのか。

 人を選ぶようで申し訳ないのだが…………実際に使ってみたうえで、心の底から忠告したい………。


 漫画を電子書籍化することは考えてはいけない!


 ここが最も重要なポイント。漫画を電子書籍化できると思ってはいけない。とにかく労力がかかるのだ。
 そもそも自炊作業とは、本をカッターで分解してドキュメントスキャナーに読み込ませることの繰り返しである。当然、ページ数が少なくて冊数が多いものになるほど、本を分解する作業に時間がとられることになる。大したページ数もなく、読む時間も短く、そのうえ冊数が多い漫画をすべて電子書籍化するのは、本当に効率が悪いのだ。
 これを目的に自炊環境を整えるのは、ハッキリ言ってお金と時間と労力の無駄。スキャナーを購入する金で本棚を買った方が良いし、潔く漫画を捨てることも考えた方が良い。そう言い切れてしまうくらい、漫画の電子書籍化はおススメできない……。

 では、逆に考えてみよう。どのような本ならば自炊に向いているのか。それは、無駄に一冊が厚くて本棚を占拠しており、読むのに時間がかかるため読み返すことも少なく、そのうえ値段が高くて貴重だから無暗に捨てられない本…………そう、専門書である。とくに歴史系の本のように、資料として使う目的が主なものなら最高だ。

 だから私は、専門書に囲まれてどうしようもなっている人にこそ自炊をおススメしたい。自炊はいいぞ……。


 まず、一冊を分解するだけで、本棚が数センチ空く。重みで崩壊しかけの本棚もだいぶすっきりするだろう。専門書はページ数が多いため、一冊分解するだけでも自炊の効果を実感しやすいのだ。お荷物になっている本を10冊も分解すれば、本棚は見違えるようになるだろう!

 そして、電子化することによるメリットはほかにもある。
 ① まず、軽くなる。専門書を持ち運ぶ煩わしさから解放される!
 ② いつでも参照できる。これも結構重要で、気になったときにいつでも特定の本を開いて調べることができる。
 ③ 中古で買うことが怖くなくなる。多少紙が焼けたりしていても、ほこりをかぶっていても、どうせ電子化するからあまり問題はない! (*あまりにほこりがあるとスキャナーのレンズに問題が発生することはあるので注意だが。)
 ④ 絶版でどうしても手に入らない本で読書会をしたいときに………誰かが中古を一冊買って……げふんげふん。

 ざっと挙げただけでもこうしたメリットがあるのだ!


 2. 技術に驚き!紙と同じように書けるんです。


 そうはいわれても、読書家であればためらうことも多いだろう。とくに、自炊を始めるにあたって私の最大の心配は、「本にメモを書き込めないこと」であった。小説や漫画ならいざ知らず、専門書となると線を引いたりメモを書いたりしながら読むのが半ば当たり前であろう。電子化したときにそこは不便ではないのだろうか……。

 結論を言ってしまおう。まったく問題ない。いや、ほんと驚くほどに問題ない。とりあえずiPadとApplePencilがあれば。

 別にアップル製品の宣伝がしたいわけではないので性能は各自調べてもらえればよいと思うのだが、このApplePencilがとにかく便利なのだ。以下のように、筆圧から傾きまで完璧に感知してくれる。画面に手がついてもペン以外は反応しないので、紙に文字を書いているようにメモを書き込むことができるのである。


 そして、紙にはない利点もある。それは、かなり細かくメモを書くことができるという点だ。以下はフォント11程度の文字の下に試し書きしたメモである (使用しているアプリは後述)。拡大しても字が崩れることなく表示されるため、かなり細かいメモを書き込んでおくことができる。これはありがたい。


 

 もちろん、電子化する以上いくつかのデメリットはある。最大のものは註に飛びにくいといったものであろうか。本文と註を行き来するのはなかなかしんどい。だから、註が重要になるものを電子化するかどうかはよく考えた方が良い。また、ページ送り機能はアプリの進歩でだいぶ簡単になっているものの、やはり紙のように直感的にできるものではない。この点も考慮すべきだとは思う。

 しかし、紙と大きく異なるのはそれくらいではないだろうか。私はよほど大事な本以外は (一度紙で読んでしまったものなら) ほとんど電子書籍化して良いと思っている。それくらいメリットの方が大きいのである。

 余談だが、メモとしてもめちゃくちゃ優秀だ (文字が汚くて申し訳ない)。下のメモはどうでもよいものだが、論文などを書いているときに困るのがメモがどっかにいってしまうこと。とにかく思いついたものを適当に書いていくので整理ができなくなるのである。その点、ipadにメモをしておけば、どこかにバラバラになってしまうということはない。もし紙で使いたければ印刷すればよいわけで、これはやっぱり便利だ。


 3. ただし、健康被害もある。

 さて、ここまではメリットばかりを書いてきたが、大きなデメリットもある。本を分解する関係上、塵などが舞いやすい。これが体質によってはかなり大きなダメージになるだろう。実際、私は自分の部屋で自炊をしているときに肺をやられて不調になった。

 だから、埃アレルギーなどのことは考慮した方が良い。理想は生活の場と作業の場を分けられることである。これはやっぱりちょっと難しい。

 そして、もう一つ。本の解体でカッターを使い続けるため、手首を痛めることがある。ただ、この問題の解決は簡単だ。カッターを、手ではなく腰で引く。これが大事。職人のような動きで本を解体すれば手首に負担はかからないので、これは慣れによって解消できる悩みであろう。


 4. で、何を揃えたらよいのか。

 さて、ここまでで自炊のメリット・デメリットについては説明した。では、何を揃えるべきなのか。これを簡潔にまとめておこう。

 自炊道具には様々なものがある。揃えるうえではいろいろと悩むかもしれない。私も自分の環境以外のものをためしたことはないので、様々な製品の比較など書きようがない。だが、下で書くのは私が揃えて今日まで全く問題なく十分に満足して使っている品々である。プリンターの読み取り機能はどうか。複数枚重なって給紙されてしまうことはないのか。薄い紙は大丈夫か。冬は静電気で紙の動きが鈍くなるのではないか。いろいろと不安はあるかもしれないが、以下の構成で今のところ全く問題ない。紙が重なって送られてしまい、電子書籍のページが飛んでしまったなどということもないので、安心して使えている。


◎ エプソン スキャナー DS-530

 こちらがドキュメントスキャナー。すごくいい感じに動く。どうでもよいけれど、結構部品が気持ちよくガチャガチャと動くのでガジェット感がある。音は一般のプリンターよりかもやや静かな方ではないだろうか。もちろん、連続で稼働させることになるのでそのことを考慮したほうが良いが。


◎ カール事務器 裁断機 ペーパーカッター



 カッターは高価なものもあるが、これで良いと思う。40枚まで裁断できるので、自炊以外の用途にもかなり重宝する。


iPadとApplePencil

 これは言うまでもないだろう。ちなみにおススメのアプリは「GoodNotes4」。PDFへの書き込みが用意で、図も作りやすい。動きもサクサク。その他あらゆる点でかなり便利なので、電子書籍からメモ作成まで、めちゃくちゃ活躍してくれている。


5. とにかく、自炊はいいぞ!

 
 以上、長々と書いてきたが、とにかく自炊環境を整えるのは良い。本当に便利だし、自炊以外にも、iPadなどを使っていろいろなことが変わる。私はとにかくこの環境をもっと早く整えておくべきだったと後悔しているし、悩んでないでとっとと自炊環境を整えてほしいのでこんな記事を書いた。

 もうこれ以上言葉は必要ないと思うのだが、最後にもう一度言っておこう。


 とにかく、自炊は、いいぞ!



 ちょっとだけ気が大きくなっているこの年末に、ぜひ一式そろえてみてもらいたい。










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