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ゲーム感想・考察記事

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2016年1月の記事一覧

CRAFTWORK『さよならを教えて 〜comment te dire adieu〜』が示す空白。 (*微ネタバレあり)

お姫様なんて、本当にいるのかねぇ

いたとしても、本当に『怪物』に囚われているのか

あんたが、全世界の苦痛を背負わなくてもいいってことさ… たった一人で世界を救えるだなんて、考えない方がいい

(『さよならを教えて』)

 

 とりあえず先日書いたものでも。

 改めて、このゲームがどのような空白を指し示したのか (すなわち、「何がある」ということを明らかにしたのではなく、「何がない」というこ

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さよならを教えてもらいたい。(CRAFTWORK『さよならを教えて〜comment te dire adieu〜』 *微ネタバレあり)

「そして今もわかっている。自分がろくでもない人間であるということを」

「先生・・・・?」

『特別な自分』は、『特別にダメな自分』でしかないのだった。

後悔のたびに、涙を流すたびに、嘘をつくたびに、 自涜をするたびに、消えてなくなりたいと思う。 (…)

それでも自ら命を絶つ勇気もなく、今日出来ることは明日に回し、生まれたことをなしにして欲しいと願い、ありとあらゆる外界を呪い、すべて

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CRAFTWORK「さよならを教えて」 レビュー(全体の構造) *ネタバレあり

*がっつりネタバレあり。

愛が一方通行なら、相手からの愛を期待しないで済むのなら、僕はいくらでも人を愛することが出来るのに

――無償の愛。もしそれが真理だとしたら、愛とはなんて身勝手なんだろう。だとすれば、僕は人を愛することが出来る。僕は自分が他人に愛されるだなんて思ってない。

僕が何をしたって、相手からの愛が得られるとは思わない。

 “さよならを教えて” は、一方的な愛の物語である。

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ライアーソフト『Forest』解釈・考察 -偶然を包括する必然の物語- (*ネタバレあり)

 (2012/4/18に公開した記事に加筆・訂正したものです。)

 

 ライアーソフト『Forest』に関する考察。ただし、メモレベル。

 また、最後にプレイしたのが半年ほど前なので、いろいろあやふや。

*最初から最後まですべて重大なネタバレ。

〈全体の構造〉

 『Forest』のテーマの一つは、永遠における偶然と必然の一致であった。

 お話の語り手、アマモリは永遠に続く世界で、完璧

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ライアーソフト『Forest』「Ⅰ プロローグ」考察。 (*ネタバレあり)

*ネタバレあり

〈「Ⅰ プロローグ」考察〉

 【アリス】のギフト、というものの存在を想定してみると、この話はスッキリするのかもしれない。

 アマモリは、森を作り上げた魔女にして、主人公=【アリス】である。

 ところが、「今年に入ってから見かけるようになった」黒いアリス。彼女の存在ゆえに、物語上にアリスが二人いることになってしまった。この矛盾はどう解釈するべきなのか。

 実は物語のスタート

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エロゲというもの -Leaf 『天使のいない12月』紹介記事-

願ったのは束の間の安らぎ 叶ったのは永遠という贖罪

「優しさで守れるあしたなんかどこにもない」

 

 ちょうど、携帯小説の映画化が流行っていた時期だったのだとおもう。

 高校の教師が、それらの映画のCMについて「中高生で『俺が守ってやる』もなにもねぇよ。だってそうだろ? 仕事にもついてないのに、収入もないのに、なにをどう守るの?」とぼやいていた。

 数ヶ月後に、その方は亡くなった。

 

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