Twitterをやめたい

Twitterをやめたい。

最近、Twitterを見ているとこう感じるようになった。

写真を投稿する必要のあるInstagramと比較し、Twitterは短い文章のみで気軽に投稿できるため、とても手軽なSNSである。また、ハッシュタグをつけずとも検索結果に載るため、多くの情報を手にすることも容易である。筆者もTwitterをよく利用しており、Twitterから新たな人脈も生み出した。最も重宝しているSNSといっても過言ではない。ところが最近、どうしたことかTwitterに飽き飽きしてきたのだ

初めてTwitterに登録してから5年が過ぎた。2000年代後半からサービスを続けているTwitterの歴史から見れば、私は新参者である。しかし、私であっても「Twitterはこんなにも変わってしまったのか」という感覚を持ち、同時に「辞めたいな」とまで思ってしまう。なぜだろう。私はTwitterという特殊な文化の中で根付いてしまったものに根源があると考えた。Twitterは、サービスを開始した当初とは予期しない方向へと進んでいるのかもしれない。

もう「便所の落書き」とはいえない

少し汚らしいが、Twitterを揶揄するものとして「便所の落書き」という言葉がある。これは、Twitterユーザーによって投稿される特に意味のない発言を、「トイレに書いてある無意味な落書き」に例えた言葉だ。しかし、昨今のTwitterを見ると、もはや「便所の落書き」として笑うことのできない問題が見える。

例えば、「ネトウヨ」「パヨク」と呼ばれる人間層が議員を中傷したり、政治思想を押し付けようとする。連日トレンドに入る政党や議員への中傷、給付金を求めるような政治系のタグには目を逸らしたくなる気分だ。同時に、「コロナは茶番」「ワクチンは危険」「〇〇の事件は作り物」という非現実的な陰謀論系のタグも時々目にするほか、アニメなどの表現規制を推し進める過激なフェミニスト(のような何か)の投稿も目に入ってしまう。

政治だけではない。「〇〇ファン」のような特定の趣味層の人間が問題を起こすと、反社会的勢力のレッテルを貼り、笑いと蔑みの種にしている。「オタク差別」が典型例だろうか。しかもフォロワー数が多い、社会的影響の大きいアカウントまで、平然と行っているのだ。極端な場合はアイコンだけでも差別の対象にされ、「黙れよ〇〇アイコン」「〇〇アイコンが喋んな」といった言葉を投げるユーザーもいる。

そして、いわゆる「捨て垢」による著名人への誹謗中傷も見られる。代表的なものがタレントの中川翔子氏だ。「しょこたん」という芸名で親しまれている彼女は、Twitterで心無い言葉を連日投げつけられており、そのたびに自らに投げられた言葉をTwitterに投稿している。そのほとんどは、彼女への誹謗中傷を目的とするためだけに作った「捨て垢」によるもので、中には度が過ぎた発言も散見される。
木村花氏のように、誹謗中傷に耐え切れず、自ら命を絶った人間も忘れてはいけない。現代は指一本で人を殺せる時代と言われる。もはやTwitterから始まる誹謗中傷問題は見過ごすことのできない事態にまで及んでいるのだ。

私がTwitterを始めた2017年は、今よりも平和だった印象がある。炎上するような動画は今より目立っていない。政治タグや誹謗中傷も少なく、特定の趣味を持つ人間層を嘲笑の種にすることもない、「便所の落書き」といえる投稿ばかりだった。古参のツイッタラーが2017年のTwitterをどう見ているか分からないが、「私が始めた頃のTwitterは平和だったのに」という懐古はするだろう。

イーロン・マスクが生み出したもの

2か月ほど前、大手電機自動車メーカー「テスラ」の代表取締役社長を務めるイーロン・マスク氏がTwitterを買収したとの報道が入った。彼は買収するや否や、従業員の大量解雇を始め、現在もサービスの有料化や機能の再編といった話題が絶えない。Twitter Japanも例外ではなく、約3分の2近い従業員が解雇された。彼の買収によって、Twitterは何が変わったのか。

Twitterの投稿を見ると、イーロン・マスク氏が従業員の大量解雇を行った後、「左翼系の政治タグがおすすめに入らなくなった」「BuzzfeedやHuffpostのような左翼系メディアのニュースが入らなくなった」といった投稿が見られた。同時に「Twitter Japanのトレンドやニュースは、社員が意図的に選別していたのでは」という疑惑が浮かんだ。実際、元Twitter社員とみられる人物がトレンド操作を認めたような旨を投稿しており、もしそれが本当であれば、Twitterは左翼系メディアのニュース記事を優先して表示し、左翼系の政治タグを優先してトレンドに上げるなど、左翼の意見を優位にさせていた可能性がある。

また、悪質なユーザーの投稿をタイムラインや検索結果から排除する、「シャドウバン」と言われる現象にも疑念が上がった。Twitter Japan側は「シャドウバンは行っていなかった」と述べているが、実際は数々のユーザーがシャドウバンと思わしき現象に頭を悩ませていた。しかも、国籍設定を日本から別の国に変えることで、シャドウバンが解除される怪現象も報告されたのだ。これにより、Twitter Japanは自らの裁量だけでシャドウバンを行っていた可能性が指摘された。

イーロン・マスク氏の買収により、Twitterの信じ難い裏側が明るみになった。実際に行われていた確証はないが、もし全てが真実であったならば、Twitterは我々に怒りの感情を提供していたと考えられる。便所の落書きとは言えないSNSになったのも納得できる。

日本中心のSNS

日本のTwitterユーザーは2019年時点で約3700万人とされ、アメリカに次いで世界2位の規模である。国内人口におけるTwitterユーザーの割合は、アメリカの約6人に1人程度に対し、日本は約4人に1人。日本のTwitterの利用度が高いと言える。「Twitterは米国中心のように見えるかもしれないが、どちらかといえば日本中心だ」というイーロン・マスク氏の言葉の意が見てとれる。

日本におけるTwitter利用者は、LINEに次いで多い。すなわち日本におけるTwitterは、LINEの次点と位置付けられる。だが海外に目を向けると、TwitterよりもFacebookの利用者の方が多い。世界の利用者人口は、ともに同時期のサービス開始ながら、Twitterが3億3000万人(2019年5月時点)なのに対し、Facebookは29億1000万人(2021年12月時点)と、時期は違えど約9倍の差がある。

実名を前提とするFacebookとは違い、Twitterは匿名利用が可能なSNSだ。日本では「匿名で利用できるSNS」という方針が受けたのか、現在でもTwitterの人気が高い。反面、炎上などといった反社会的行動や差別、陰謀論といった悪い面も目立つ。「匿名だから何を書いてもいい」「どうせ匿名だしバレない」という心理が働くのだろうか。

Twitterと向き合う

イーロン・マスク氏の買収により、Twitterは大きな転換点を迎えようとしている。では、私たち利用者は、Twitterとどう向き合うべきか。

まず、匿名であることに安心感を抱かないことだ。個人情報は予期しない場所から特定される。僅かに見える背景の家、瞳に映った景色、過去のツイート、特定源はどこかしらに存在する。ついには本名だけでなく、職場や学校も筒抜けになり、今後の人生を闇に葬ってしまう。誹謗中傷であれば開示請求を受ける場合もある。匿名だから大丈夫、という考えでは、痛い目を見ることになる。名前を隠すことに甘えてはならない。

そして、中にはデマを広めたり、過去のニュースを掘り返したりとあらゆる手段を用いていいねを稼ぎ、同時に特定の人間層の評価を下げようとする悪質なアカウントも存在する。容易に同乗しそうになるが、一度考えてみよう。例えば、「●●オタクが犯罪をした」という情報が投稿された。それは本当に信用できるか?何年前の話か?投稿者の意思に反して拡散されていないか?罪を犯したオタクだけを見て、●●オタク全員に犯罪者予備軍のレッテルを貼って良いか?いいねやリツイートをする前に、立ち止まって一考しよう。当たり前かもしれないが、当たり前より大切なことはないはずだ。

2016年の熊本地震では、「動物園からライオンが逃げた」というデマを流した投稿者が逮捕された事件があった。ワクチンや新型コロナウイルスに関する陰謀論もそうだ。我々が情報を取捨選択するのはもちろん、Twitter社も悪質なデマ情報をばら撒くアカウントは厳しく規制すべきある。さらに、見知らぬ他人を傷つける誹謗中傷や差別・偏見を繰り返すアカウントにも、凍結や注意喚起を行って警戒させるべきだろう。

終わりに

「おはよー!」「今何してる?」「●●なう」


サービス開始時、Twitter社が理想としていた投稿はこんなものだろう。しかし、現実は上手くいかなかった。匿名をいいことに、心ない言葉を気が済むまで投げつける。自分の思想を嫌でも他人に押し付ける。日本のTwitterは、もはや第二の2ちゃんねると化しているのだ。

おそらく、Twitter上でこのような発言をしても「嫌ならTwitterやめれば?」と冷たくされて終わるだろう。しかし、私自身もTwitterから数々の恩恵を受けている。全部Twitterが悪い、お前らが改善しなかった、だから辞める、という恩を仇で返す行為はやりたくない。辞めて全てを切り捨てるよりは、現状を考え直したい。願わくばTwitterの環境を少しでも改善したいとも思う。
最後に、全てのツイッタラーに、そして過去の自分に、こう物申したい。

「あなたはTwitterを正しく使用しているか?匿名なら何をしてもいいと思っていないだろうか?相手の気持ちを考えた発言をしているか?」


長文となったが、最後まで読んでいただいた皆様に感謝を申し上げ、投稿の締めとする。


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