なんとなくの流行りや投機の観点ではなく、経済活動の観点でなぜビットコインが一億円になるのかについて



ビットコインは数多くの国の通貨よりも優れているので、多くの人にとって利用したい通貨です


自国通貨が米ドルや日本円のように安定していない国が世の中にはたくさんあります。アルゼンチンのようにデフォルトを何回もしているような国の国民は、自国通貨が紙屑になる危険性を現実のものとして捉えています。こういった事態を回避するためにできることとして、対米ドル固定相場制を適用したことのある国は珍しくありません。しかし対米ドル固定相場制にも致命的な欠点があります。米国金利政策は米国のためにするものなので対米ドル固定相場制を導入している国への影響など考慮されていません。例えば米国内インフレを抑え込むために金利をあげてその結果ドル高となった場合、対米ドル固定相場制を適用している国の輸出産業やら観光産業やらが被害を受けてしまう可能性があります。そのため貧しい国の人たちからすると、対米ドル固定相場制はやらないよりマシだけれども米国の都合で振り回されるのは勘弁してほしいということになります。そこで他国の政策に影響を受けない通貨としてビットコインが選択されてきています。現時点でエルサルバドルと中央アフリカ共和国がBTCを法定通貨としています。そして先日のアルゼンチン大統領戦で勝利したミレイはペソ廃止・ドル化を謳っていますが、それと共にビットコインを「インフレに対抗し貯蓄を守るツール」として支持しており、今後暗号資産を介した取引に関する法制度整備をしていくと見られています。

ビットコインは金のように希少価値があります。「ビットコインは金のように実体がないのでは」という意見は実はブーメランになって返ってきます

BTCはデジタルゴールドとしての側面も持ちます。最終的な発行枚数が決まっているために希少価値が担保される、いわば金(ゴールド)なのです。もちろん金と違って重くなく、金庫を用意する必要もなく、オンラインで24時間365日取引できるため流動性も抜群に高いです。さて、この話をすると「金は物理的な宝飾品としての価値がある。BTCはデジタルデータでしかないではないか」ということを言ってくる人がいるのですが、私はこう答えています。「実は金は昔は宝飾品として評価されていてそれが価格に反映されていたはずだが、今では流通通貨と引き換えができる金属でしかありません。例えば1kgの金の延べ棒は今約1000万円します。この金の延べ棒に仮に「絶対に換金することができない」という制限をかけた時に1000万円で売れるでしょうか?100万円でも売れないでしょう。純金のネックレスにしても、「絶対に換金できない」という制限をかけたら価値は数分の1にも数十分の1にもなるでしょう。そもそも見た目が綺麗なアクセサリーであれば、今だったら純金と同じくらい綺麗なものを圧倒的安価で製造できるでしょう(それを悪用して偽物を売って儲けようとする人がいるから鑑定士がいるのです)。つまり、金はあくまで「換金ができる」という条件が整っているので今の値付けになるのです。自宅のタンスに現金を置いておく所謂タンス貯金を好むシニア世代がいるよう、金を好む人たちはしばらく残るでしょうが、若い世代が今更金庫買って金の延べ棒で資産形成したいでしょうか?

ビットコインは今後数十倍の広がりを見せるでしょう

2023年12月時点で世界通貨シェア(価値ベース)の中でBTCは0.6%。日本円は8%弱で、ユーロは11%、米ドルは26%くらいです。ビットコインがあとどのくらい広がるのかについて考える時のポイントは、「自分が今使っている通貨よりも価値の安定性や流動性などの観点でBTCの方がいい」と考える人があとどのくらいいるかです。私はまだまだいると思っており、今後10年以内に日本円のシェアを抜くと思いますし(日本円のシェアが減っていく要素も含め)、その後ユーロも抜くでしょう。エルサルバドルや中央アフリカ、アルゼンチンのような国はまだまだあり、そういう国は法定通貨としてBTCを検討するでしょう。そして実はロシアでも結構取引されているようです。これはロシアの若者の気持ちになったら当然でしょう。戦争中の国は自国通貨に対する不安を持っていても不思議ではなくBTCを保持することは資産を守る上で大変有効です。フェアに情報を提供すると、法定通貨にしたエルサルバドルではBTCの価格変動により経済活動上混乱はあったりします。しかしそれでもここ2年間でBTCの価値が一時期60%下がったというレベル(今は回復中)であり、これは貧国の通貨よりも全然安定しているのです。ちなみに日本円は過去2年間で対米ドルで30%価値を減らしています。

ビットコインはもう上がっちゃってるから今買うと高値で掴む感じがすると思うのは違います

最後に余談ですが、こんなことを言ってくる人もいました。「BTC、なんかもう上がっちゃってて今買うと高値で掴む感じがするんだよね。。」
こういう人にはApple株のこれまでを知ってほしいです。

Apple株価はこれまで以下のように上昇を続けてきました:
2003年:0.3-0.4ドル
2007年6月:最初のiPhone発売開始
2008年5月:7ドル弱まで上がる
2012年9月:25ドルまで上がる
2023年7月: 200ドル弱まで上がる

2008-12年頃にApple株を買えなかった人は、過去のチャートを見て「高値づかみしたくない」と思ってしまった人だと思います(実は私もその一人です)。一方、市場成長余地(iPhoneをまだ使っていない人があとどのくらいいるか)について考えられた人は大儲けできたのです。

今のビットコイン(BTC)の状況は2008-2012年のApple株に似ているのかもしれません。過去にどれだけ上がったのかを見るのではなく、今後どれくらい広まる余地があるかを考えて投資をしましょう。

長くなりましたが、以上です。

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