お金の発行のカラクリ 5

ブログ転載2018.7.4(一部改訂)

借り入れによりお金が発行されることは述べた。次の問題として浮上するのは「では無限にお金を発行することができるのか」という疑問。


まずは銀行等の民間金融機関を検証してみる。

自らのお金を使わずに、お金を貸し出せる銀行。では無限に貸し出しできるのか。それには次のような制限がある。 
 1 準備預金制度(準備預金制度に関する法律)
 2 貸倒リスク

1は法律的制限であり、「受け入れている預金等の一定比率(これを「準備率」といいます)以上の金額を日本銀行に預け入れること」を義務付ける制度のことである。これにより貸出額にも一定の制限が加えられる。

2は貸付して返してもらえるかどうかということである。返してもらえないとどうなるか、焦げ付き額は銀行の損失となり、損失が巨額になると銀行は赤字となり、赤字が増えると銀行要件の維持が困難になり、破綻。ということにつながる。
他にもあるかもしれないが、無限の貸付は可能ではないことが明らかである。


次は日本銀行で考えてみる。

日銀がお金を発行するには、誰かに対して貸し付けを行う必要があるが、主な対象は日本国政府である。
これは銀行等が持っている「国債」(日本国政府に対する債券)を買い取ることで行われる。国債発行の仕組みについては後日掲載するがH30年7月現在では日本国政府は日本銀行に対して約430兆円の負債がある。ちなみに政府が直接日銀に国債を引き取らせる(借入する)ことは原則(例外規定あり)できないことになっている。
 
 政府が国債を大量に発行して、無限に金を生み出せば税金なんかいらないんじゃないかなんて理屈すらも出てきそうだが、実はこれにも限界がある。
その制限とは、インフレ率である。

そして、税金には財源としての役割よりも政策目標実現の役割が重要(特に国税、地方税は財源としての性質が多い)なのである。これについては後日述べる。

 国債を大量に発行して、国内需要を大量増加させるとお金の価値は下落し、過剰インフレの状態になるので、やはり無限ではない。

お金を生み出す夢のような「信用創造」システムだが、インフレ率という限界はあるのである。インフレ率の限界とはすなわち供給能力の限界であり、これがすなわち日本の「国力」を表すことになる。
蛇足であるがデフレがつつけば、日本の宝である「供給能力(国力)」をも毀損することとなる。憂国・・・

さて、こういった貨幣発行の制度がこのようなプロセスをたどるものなのだということが理解できると、マスコミや御用学者のアホな意見(国債発行の限界は国民の預金額により決まるなどの愚かな考え方)に惑わされることが少なくなることは間違いない。

次回は日銀当座預金と信用創造について述べる。   続く・・・



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