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書案六尺 〜肆 サイバーパンク

小説と、これについての疑似体験について。

タイトルのジャンルムーブメントについては、一時期どっぷりと浸かっていた私なのだ。

大ジャンルとしてはSFだが、従来のSF=宇宙(若干のオカルト)を一新し、サイバースペース(電脳空間)を巡るストーリー展開にハマった私である。

書評ではないので、俺が思うに的な話はしないけど、後に登場するアニメ攻殻機動隊や映画のマトリックスシリーズの原点である。名作は数々あれど、ウィリアム・ギブスンの『ニューロマンサー』他のサイバースペース3部作や、ブルース•スターリングの『スキズマトリックス』などが秀逸だった。
特に『ニューロマンサー』はサイバーパンクの始源と言える作品と思う。

新しいジャンルであるが故に、新しいワードの嵐、そしてストーリー内の人物相関が人間だけではない(特定の人物の思考パターンや記憶を限定的に機械に封入したROM構造物というのが出てくるのだ)等々新手の読み手を難儀させるのだが、ストーリー展開自体はシンプルなもので読み返すほど面白さが増す作品である。

主人公の一人であるウィリアム・ケイスは、プラグ付きのコンピュータ(サイバーデッキ)で電脳空間に没入(ジャックイン)し、何重にも防壁の施された企業や個人のデータの構造物から情報を取り出すその世界では有名なハッカーだったが、雇い主のデータに触れるという禁忌を犯しその結果、強力な攻性防壁に脳神経を焼かれ、脳波が停止した後、命は取り留めたが所謂フラットライナーという電脳空間には入れない体になり、今はその日暮らしのクズな仕事で糊口を濯いでいるパンクな男。

そんな彼の元に新たな雇い主が現れ、先端技術の聖地 千葉シティ(当初の舞台は千葉市、サイバーデッキのメーカー名はオノ・センダイ)で腕のいい脳神経外科医で脳神経を再接合してやるからもう一度ジャックインしてくれという依頼が舞い込み…といった展開なのだが、ここで極私的に最近攻性防壁に脳を焼かれるってこんな感じか?という経験があった。

なんのことはない。お気に入りの芋焼酎が旨くて、ついハイビッチで大量に摂取した結果得られた治験である。
家には帰還したものの、不覚にもダイニングのイスにドテッと座った瞬間にフラットライナーになってしまった。
変な時間に目覚めた私は、痛感や不快感はないものの明らかに前頭部のニューロン死んでねえか?
といった今までに経験したことのない状態に数分間ではあるが陥っていたのである。
パンクな午前3時過ぎであった。

それからというものハイビッチでの摂取のみ注意してる私だ。(エッヘン)

また読み返したくなってきたのだが、本にジャックインしてしまうと周りが見えなくなるので、仕事中はいくら夜更けの孤塁を守るという仕事とはいえ無理だなぁ。来年の長旅計画を今一度船旅にして船室やデッキでたまに海眺めながら読んでみようかなぁと思う私である。
本はいいですなぁ。また折に触れて乱れ打ち読書noteでも物しますかね。

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