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小脳運動学習の理論と実践

こんにちは
運動学習って意識していますか?

運動学習という言葉は聞いたことが
あるけど
いまいち使えていないという人も
いると思います

運動学習を理解すると
同じことをしていても
課題を調整することで
運動の学習効果を
飛躍的に高めることができます

僕が見ていて
指導が上手いと思う人は
たいてい
運動学習を踏まえ指導しています

逆に
運動学習を理解していないと
指導者側と受け手で
ギャップがおき
ニーズや能力に合わないことを
提供してしまい
モチベーションを下げることにも
つながりかねません

指導するときの
信頼関係も
運動学習を踏まえているかいないかで
左右するわけです

このnoteは
神経理学療法学会での講演内容を参考に
論文や理学療法士10年の経験を踏まえ
作りました

このnoteを読むことで

小脳が運動学習にどのように関与しているか
どのようなメカニズムで学習が進むか
それを踏まえて
どのような方法で何を意識すれば
学習効果を高めることができるか

など
運動学習を踏まえた指導に
必要なベースを学び
実践で使うことができます

小脳にある内部モデル

僕たちが動くとき
ほとんどの時間
何も考えず動くことができています

ということは
動くときのプログラムが
どこかにあるわけです

例えば
バスケットボールのシュートを考えてみましょう

コートでどこにゴールがあるかゴールを見て
走るスピードや相手の位置も考えながら
手の筋肉の動きや関節の動きを調整し
投げる

その全ては体験から分かっていて
プロならかなりの確率で入る

このプログラム
つまりこれを内部モデルといいますが
内部モデルはどこにあるか

小脳にあると考えられています

僕たちの動きは小脳にある内部モデルにより
歩いたり物を持ったり
スポーツをしたり
できるわけです

この内部モデルを作るとき
運動学習がおきています

小脳は大脳の後ろに位置し
脳幹とつながっています
脊髄からの感覚や大脳の情報を入力し
大脳や脊髄に出力をしています

小脳の神経は
入力の繊維には
苔状繊維や平行繊維があり
出力の繊維プルキンエ細胞に情報を送ります
情報は多岐にわたるので
出力をする1つの
プルキンエ細胞に対し
入力は数十万の繊維があると推定されています

その多数の繊維の中で
プルキンエ細胞に1本だけ入る
繊維があります

それは
登上繊維です

これは教師信号という情報です
小脳が学習をするときには
運動した結果のフィードバックを受け取り
それを教師信号として利用し
小脳の中ネットワークの結合強度を調整します

このようにして
小脳は自己最適化を行い
より効率的な機能を実現します

登上繊維が運動を間違えたときに発火し
ネットワークがつくられ
運動学習され内部モデルになります

ではこの間違いとは何なのでしょうか?
何をもって発火し
ネットワークが作られるのでしょうか?

それは「本人の主観」です

先程のバスケの例を出すと
ゴールまで届けばいいという人もいれば
ゴールが決まらないとだめだと思う人がいます
この本人の主観が
内部モデルを形成する上で重要となります

内部モデルのメカニズム

運動学習を上手く利用するには
どのように内部モデルは形成されているのか
理解が必要です
そこで
運動学習を調査する研究について紹介します


今回紹介する研究では
ゴーグルをつけてタッチスクリーンに
表示されるターゲットに右手の人差し指で
手を伸ばすように指示されます

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