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足のコアシステム

足のアーチの発達は進化的に
人が走り始めたとき足にかかる負荷が大きくなったことと
同時に起きたと言われています

アーチの動きと安定性は
内在性筋と外在性筋によって制御されています

まるで骨盤帯のコアに類似点のある
足コアシステムについてや
そのシステムを構築する要因
コアシステムのトレーニング方法
について紹介していきます

体幹部のコアとの何が類似しているか

体幹部と同じように足にも
アーチを安定させるローカルマッスル(足底内在性筋)と
足を動かすグローバルマッスル(足部外在筋)
が存在します

さらにその機能としては
安定した体幹が上半身の動きを支えるように
足のアーチの安定性は
歩行や走行時の衝撃吸収、推進力発揮
バランス維持をスムーズに行うための
土台となります
このように体幹と同様に
足にもコアがあるとの考え方があります

足のコアとは

足のコアシステムの機能は
足の安定性や柔軟性を維持するために重要です
また、足部内在性筋は
足のアーチを安定させるだけでなく
足の変形を感知する感覚受容体としても機能し
足の機能にとって重要な役割を果たしています

体幹の「コア」と同じように
足にも神経系、能動的サブシステム、受動的サブシステムの
3つのサブシステムが相互作用することで
足のコアシステムが形成されてます

受動的サブシステム

足のコアシステムの受動的サブシステムは
足のアーチを支えるための
骨、靭帯、関節包などの
受動的な構造で構成されています

具体的には、足の骨格構造は
内側縦アーチ、外側縦アーチ、前部横中足骨アーチ、後部横中足骨アーチ
の4つのアーチを形成しています

これらのアーチは
独立した構造のように思えることもありますが
マッケンジーは
これらのアーチが動的な活動中に
荷重の変化に柔軟に対応するため
機能的なドームとして機能すると提唱しました

マッケンジーが提案した機能的ドーム

このドームは
主に足底腱膜足底靭帯によって支えられています
これらの組織は
アーチの形状を維持し、衝撃を吸収する役割を担います

A:足底筋膜 B:アキレス腱と足底筋膜の関係

しかし
足のコアシステムは受動的な構造だけでは機能しません
能動的なサブシステムである足の筋肉は
内在筋がアーチを直接的に提供し
外在筋は腱を介して間接的にアーチを提供すると考えられています

つまり、足のコアシステムは
受動的な構造と能動的な筋肉の
相互作用によって成り立っているのです

能動的サブシステム

能動的サブシステムは
足の動きを制御する筋肉群で構成され
ローカルマッスルグローバルマッスルに分けられます。

ローカルマッスルは
に起始と停止を持つ足部内在筋です

足部内在筋:(1) 母趾外転筋(2) 短趾屈筋(3) 小趾外転筋(4) 足底方形筋 (5) 虫様筋 (6) 小趾屈筋、(7) 母趾内転筋斜頭 (a) と横頭 (b)(8) 短母趾屈筋(9) 足底骨間筋(10) 背側骨間筋(11) 短趾伸筋


これらは4層に分けられ(図は背側の内在筋もある)
それぞれの層が足のアーチを
支えるように配置されています
内在筋のエビデンスに基づいた機能としては
以下を参照してください

足のアーチのサポート、活動と負荷の依存性、相乗性、調整など
様々な機能的特性を持つ
アーチサポート
足部固有筋の機能低下は足部姿勢に悪影響を及ぼすが足部内在筋のトレーニングは足部姿勢が改善される
活動依存性
足部内在筋は立位に比べ、歩行などの動的な活動でより活発になる
負荷依存性
両足立位から片脚立位への変化など、姿勢に対する要求が高まると、足部内在筋の活動も高まる
相乗的
足部固有筋は、歩行の推進期において、動的アーチを提供するためユニットとして一緒に働く
調節性
足部内在筋は、足を支える役割と動的活動時に身体を推進するためのレバーとしての役割がある

グローバルマッスルは
下腿に起始を持ち
足首を横切って足に停止する外在筋です

足の底表面における外在足筋腱の付着部(A) 長趾屈筋、長母趾屈筋、長腓骨筋の付着部。屈筋腱の縦方向の配列は、足の縦方向の安定性に対する機能的貢献と関連しているため。長腓骨筋腱の斜め配列と中足部の向きは、横アーチを支えている。(B) 後脛骨筋腱は足根骨と中足骨を横切って広範囲に付着して、縦方向と横方向のアーチの安定性に対する機能的貢献を明らかにしている


これらの筋肉は
長い腱を持つため
足の大きな動きを生み出し
さらに足底腱膜などの受動的構造の張力を調整することで
足の安定性に貢献します

能動的サブシステムは
足底内在性筋によるアーチの安定と
外在性筋による足の動きとアーチの調整の両方を通じて
足の機能的な安定性と動きを担っています

神経系サブシステム

足のコアシステムの神経系サブシステムは
能動的および受動的サブシステムに関わる
足底腱膜、靭帯、関節包、筋肉、腱にある
感覚受容体で構成されています

最も研究されているのは
足底感覚で
足底の皮膚にある皮切受容体からの情報です
これは、歩行やバランスを維持するために
非常に重要です

また内在筋は
大きな動きを生み出すよりも
足のアーチの微妙な変化を感知することに優れています
内在筋はストレッチによって
足のドームの姿勢の変化を
脳に知らせる役割を担っています

また興味深いことに
受動的システムとは対照的に
内在筋の感覚入力は
トレーニングによって
感度を変化させることができるようです
つまり、トレーニングによって
これらの筋肉がより繊細な変化を感知できるようになり
足の安定性を高める可能性があります

足のコアの評価

足のコアの評価としては
足指屈筋筋力の評価、画像検査、筋電、機能検査があります
それぞれ問題点があります
足指屈筋の評価:簡単に行えるば内在筋と外在を区別できない
画像:MRIや超音波は間接的な評価になる
EMG:活動を直接評価できるがおもに臨床現場では行われていない
機能テスト:
内在筋の筋機能テスト
患者が片脚立位で中立な足の姿勢と内側縦アーチの高さを維持できるかを評価するテスト

  • テスト手順:

    1. 踵骨とすべての足趾骨頭を地面につけて、足根中立に設定

    2. 患者につま先を完全に伸ばすように指示する

    3. 患者はつま先を地面に下ろし、片脚立位で30秒間その足の姿勢を維持するように指示

    4. 検査者は舟状骨の高さと外在性筋の過剰な活動の大きな変化を観察する

足のコアトレーニング

ショートフットエクササイズ」は
内在筋をより効率的に鍛える方法です

ショートフットエクササイズは
タオルカールと比較して
母趾外転筋、短趾屈筋、足底方形筋の
EMG活動が4倍以上大きいことが示されています

段階的な実施によって足の機能が改善できると言われており
座位から二位、片脚立位へと段階的に進め
スクワットや片脚ジャンプなどの
機能的な活動へと繋げていきます

また裸足や最小限の靴(アーチや後足部のサポートがない靴)
での歩行とランニングは
足のコアシステムを強化するための
トレーニングツールとして使用できます

これらは
足底内在性筋の強度と断面積が
有意に増加することが報告されています
さらに裸足では足底からの感覚入力が向上し
姿勢安定性と動的バランスが向上することが示されています

まとめ

この記事は以下の論文を引用参考にしました


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