ボムポット


 ボムポットについて解説した記事をあまり見つけることができなかったので考えてみる。いつものように答えにたどりつかないと思うが、違うルールに乗せることで、ポーカーの基本的な考え方について理解が深められる気がする。(気のせい)

 ボムポットの通常のゲームと異なる特徴

・マルチウェイ
・ストリートが1つ少ない
・SPRが低い

 マルチウェイとは書いたが、通常のゲームでもプリフロップではマルチウェイであるので、どちらかというと他の2点、ストリートが少ないこととSPRが低いことがボムポットの本質だと思う。プリフロップではポットは1.5bbとか2bbから始まるのに対し、ボムポットでは30bbとか35bbで始まる。もしスタックが無限にあれば、ハンドの価値はフロップのボードとの相互作用によって変化する、ということ、ストリートが少ない、という違いはあるにせよ、アクションの基本的な考え方は通常のゲームと同じように考えられると思う。具体的には、ポジションごとに上位何%のハンドで参加するのか、という考え方は外挿できそうな気がする。もう一つ、オープンサイズについて、通常のゲームではポットの2倍程度(3bb)が標準的な額になっているが、スタックが無限に大きいという仮定のもとでは、同様にポットの2倍程度のサイズが標準的になる可能性が高いと予想する。
 しかし実際はスタックは無限でなく、極端に低いSPRでプレイすることになる。SPRは100bb持ちゲームの15-20分の1になっていて、逆に考えれば通常のゲームの5BB-7BB持ちくらいの状況であるとも考えられる。そうしたときにトーナメントなどのショートスタック戦略を考えると(トーナメントについては全くよく知らないが)、最適なプレイとしてはAll-in or flod がほぼ正しい戦略になる気がする。
 試しに8人テーブルの6bb持ちのMTTの均衡戦略をみてみると、UTGからポケット、AXs、T9s以上のスーテッド、QJ以上のスーテッドなどはいずれもオールインが推奨されている。ヘッズアップ仮定の場合のランダムハンドに対するこれらのレンジのEQをみてみると、62%程度となっている。ハンドで言うとAJoはランダムハンドに対して62%のEQを持つようだ。
 ところで、K73rのボードにおいて、ランダムな2枚のハンドの相手に対して72oは66%のEQとなっている。それでは、上のようにショートスタックでAJをオールインする感覚で、8人テーブルのボムポットでK73rのボードに対し、UTGから72oをオールインで「オープン」することは妥当、といえるのだろうか?
 感覚的にはこのミドルヒットウィークキッカーでオールインすることにはかなり抵抗がある。

 抵抗がある理由としては

 ・後ろに7人いれば、全員がランダムハンドでも誰かがKをもってそう/誰かが7の強キッカーを持っていそう。ミドルヒットはトップヒットに対して20%程度の絶望的なEQを持ち、全くオッズに合わなくなる。
 ・どこにコールがもらえるのか?どこにフォールドしてもらえるのか?強いハンドにしかコールされなさそうで、それならばチェックで進んだ方が良い?

 前者に関して考えてみる。トップヒットを残りの7人のいずれかが持っている確率は少なくとも50%程度で、その相手に必ずコールされると仮定し、そうでない場合に全員フォールドすると仮定すると、32bbのポットに96bbのオールイン、50%の確率でコールされて、さらにその20%の確率で勝ったら224bb獲得、また50%の確率で相手がフォールドしたら32bb獲得、として、96bb賭けて期待値は40bbに満たない。確かに損な気がする。

 何かが間違っているのだろうか。

 
 

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