アミューズリングのすすめ

 ポーカーのモチベーションが落ちているわけではないのだが、ちょっとグラインドするには環境的に躊躇するところもあり、最近はアミューズに入り浸っている。といってもトナメはほとんど勉強しておらず、リングゲームがメインである。グラインダーや、純粋に盤上以外の情報には興味がなく均衡解の模倣を目指したり、あるいは色々な人間とのコミュニケーションが面倒臭い、と思っている人は、(プライズはあるが)お金も賭けておらず、初心者も多くて料金も高くて、面白くないと感じるかもしれないが、自分はそうは思わない。以下は、自分が通っているお店に限った話かもしれない(あまりたくさんのお店には行ったことがない)が、アミューズメントポーカーでリングゲームをプレーすることの、ゲームとしての面白さを書いてみようと思う。ちなみに、手持ちのチップはポイントとして持ち越しが可能で、またプライズにもなる。
 プレーヤーは生きた人間で、さまざまな目的で来店し、さまざまな思考でプレーする。そういう色々なプレーヤー相手に、どのようにプレーすれば最大限利益が得られるのか?と考えてプレーすることが楽しい。幸いなことに、自分が行くお店に来店する人は、ほとんどが勝とうとしてプレーしている。ただし、人によって「長く遊びたい」とか「リバイしたくない」とか、「たくさんのハンドをプレイしたい」とか、あるいは「ブラフで相手を降ろして勝ちたい」「仲間に良いところを見せたい」とか、「退店時にはチップをもっていてもしょうがない」とか、「うまいプレーをしたい」「均衡解に沿った”良い”プレーをしたい」とか、または「純粋に期待値を積み上げたい」など、さまざまな目的や意志が介在する。「この人がどういう目的でポーカーをしているのか?」ということを、見た目の様子や雰囲気、仕草、仲間との会話の内容から推しはかり、それがプレーにどのようにあらわれ、それに対してどのようにプレーするとこちらの期待値が上がるのか?ということを考える。それらは上述の、ライブポーカーならではの要素だけで判断することではなく、実際に行われたアクションも含めて考えていくことになる。
 フラッシュゲームで1日数百ハンドプレーし、トラッカーで一人あたり数百〜数千ゲーム履歴を収集するようなプレーヤーにとって、ライブで多くてもせいぜい100ー200ハンドくらいの履歴で何がわかるのか?という気もするかもしれないが、でもそれがライブポーカーなのである。それだけに、自分がプリフロフォールドしたゲームであっても一時も目が離せない。オープン頻度は?ベットやレイズ、フォールドの各頻度は?ベットサイズは?ショーダウンされたハンドは?アクションの間は?上に挙げたウェットな情報、つまり、「ライブならでは」の情報に加え、これらのドライな情報を組み合わせ、1ゲームごとに収集し頭に叩き込み分析し、どのようなアクションが最適か考える。同様に、自分が他のプレーヤーにどのようにみられているのか、他のプレーヤーは別のプレーヤーをどのようにみているのか?ということもアクションとしてあらわれる。常連になってハンド履歴が溜まっていくと、これらの情報は蓄積され、(理論的には)よりディープなエクスプロイトが可能になる。
 人によってはあきらかなテルがある場合もないわけではないと思うが、そういうことは稀だし、実際のアクションに反映させることも結構難しいと思う。それよりは、実際のハンド履歴をベースに考える方が現実的な気がする。少なくともトラッカーで言うところのVPIPやアグレッションなどは数時間でそこそこの推定はできると思う(単純に観察されたアクションに加え、ショーされたハンドを知ることでさらに推定される数字の範囲を狭めることができる。たとえば6maxのUTGからJ8oをオープンしている人のVPIPが20%ということはまあなさそうである)。 
 こういうふうに考えているから、テーブルにいるときにスマホをずっと弄ってる人をみると勿体無いなあ、と思う。せっかくライブでプレイしているのだから、ハンドが来た時だけ頭を使うというのでは面白さが半減してしまう気がする。

 以下に、よく遭遇するプレーヤーのタイプを挙げてみようと思う。このようなタイプ別にどのようなアクションが最適になるのか、考えるだけでも結構楽しい。

・ビギナー
 リンプも含めてベットサイズテルがある。プリフロップはルースで横コールも多い。基本的にベッティングはリニアで、ヒットした時や強い役の時にアクションが強くなる。またプレミアなどプリフロ時点で強いハンドは、ストリートが進んで価値がなくなっても降りられないし、役の強さで押し引きを決めるため、TPWKなどは降りられない。ある程度チップが少なくなるまでは「慎重に」プレーするためフォールド頻度が上がるが、ショートになると突っ込んでくることもある。

・予習してくるくらいには慎重
 いわゆるABCポーカーのプロトタイプ的なプレーヤーで、ベットサイズはx2.5 - x3.0くらい、3betはx3、よく勉強しているとSBからの3betはx4程度で打つ。だがプリフロップにもいくつかのリークがある。よくあるリークとしては、横コールの頻度が高い、AXoのオープン頻度が高い、ポケットを過信する、など。CB頻度は低いことが多いが、逆にCB頻度が高い人の場合にはボードによらず高頻度にポット1/3CBが打たれるケースもある。フォールド頻度は高い。ポストフロップではビギナーと同じような傾向は残っている。若いプレーヤーが多い。

・ガバガバオープンおじさん
 逆におっさんが多い(自分もだが・・・)。期待値は求めておらず、呑みの肴程度に捉えている(自分もだが・・・)。ガバガバのレンジでオープンし、不思議な2pでプレミアハンドを割ると大喜び。ブラフが大好きでエアーのブラフも多い。ベット・レイズ頻度が高い。

・オラオラお兄さん方
 だいたい二人以上で来店。基本的には上の3つのタイプが混ざっている感じで、プリフロップは緩く、アグレッションは高く、牌理(に相当するポーカー用語ってあるんですかね)や計算には疎い。

・カップル
 若い男女のカップルで、男性はそれなりに経験がありそうなことが多くて、ほとんどの場合には女性の方がスキルが劣ることが多く、ほぼ上のビギナーに似た傾向であることが多い。微笑ましいが、プレイ上は当然、女性の方をターゲットにすることが正解になることが多い。ただし、自分のハンドがめちゃくちゃ強い状況でもそのこと自体認識していないことがある。また一緒にプレイすることが大事なので、飛んでしまうことに対する恐れが大きく、男女ともに大きいベットに対するフォールドが過剰であることが多い。

・GTOおにいさん
 マニアックなプレーを好む。基本的にタイトで、バランスのとれたプレーをすることを好むが、エクスプロイトにはそれほど興味がない。降りない(降りられない)相手へブラフして、コールされてもプレイ内容に満足する。オンプレイでないときはスマホでウィザードをみている。テーブルでオールインが出た後にはツールで勝率を計算する。

・オンラインやってます系若者
 だいたいいつもスマホ弄っていて、オンプレイ以外は人のアクションにはあまり興味がない。GTOおにいさんに似ていて、プレイ上はあまり区別する必要はないかもしれないが、GTOお兄さんの方がおとなしめの見た目であるのに対して、こちらはちょっと遊んでいる感じの見た目のことが多い。

・お酒大好きサラリーマン
 飲んでいることがほとんどで、お酒が多くなると饒舌になり、ルースになる。基本的なポーカーの知識はあるがゲーム自体にそこまで真剣に取り組むつもりはなく、「その場のノリ」でアクションが決定されることが多い。

・海外ライブプレーヤー
 しょっちゅうマニラとか行ってる。なんか知らんけどめっちゃ金もってる。ポーカー歴は長く、計算された答えより、自分の頭で考えてプレーする。気が抜けたりお酒が入ってルースになることもある一方、普段はタイトにプレーする。
 

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