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なにものでもない話
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2024年5月の記事一覧

031 だからきっと、私はもう還れないのだった

031 だからきっと、私はもう還れないのだった

 街灯ひとつないような田舎で東京のラブソングを聞いて、意味なんて一つも分からないまま大人になった。街が光る分、星は手を抜いているらしい。三百六十度の夜空は幅六メートルになって、北斗七星を探す癖はとっくの昔に喪失した。雨で湿った土の匂いが、びしょ濡れのコンクリートの匂いに変わった。好きだったわけじゃなかったから、別に良いけど。
 何もないと笑って話したけど、何もないところが好きだった。死ねばいつか自

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