(元)司会者が語る司会者について(第一回)

そもそも司会者ってなんぞや!

皆様もなんとなくは分かるけど厳密には説明しづらい司会者。

今回はそんな司会者についての説明をしていきたいと思います。

漢字から見れば、会を司る者。イベントやら番組やらを滞りなく進行させていく係の人が司会もしくは司会者と呼ばれます。

よくテレビなんかでMCと呼ばれたりもしますが、あれも(Master of Ceremonies)マスターオブセレモニーの略で、要するに司会者の事です。

会を司るやら、セレモニーのマスター、とあるようにその場全体を主管しなければならない立場なのですが、基本的には何かそのイベントのメインの物を盛り上げたり、引き立てるために活動しなければならないので、意外に思われますが「前にでてとにかく目立つ!!」というような役まわりではないです。

むしろ、メインの邪魔にならないようにしつつメインを輝かせていくようなサポーターが司会者だったりします。(一部例外はありますけども!)

例えばバラエティ番組ではなく、商品の新作発表会などで司会者が目立って商品が目立たないなんてことになってしまったら、それこそ本末転倒ものですよね?

あくまで、その商品や人物をうまく引き立たせる存在が司会者です。もちろん引き立たせる為にその人のパーソナルな部分をだして場を盛り上げることもありますが、それも含めてそのイベント自体を成功させるための存在であると認識してください。

そして、会を司るものとして、イベントの成否はどっしりと司会者にのしかかるものだと思ってください。イベントを生かすも殺すも貴方の腕次第!でも決して前に出て自分がメインにはならない、そんな縁の下の力持ちが司会者というものなのです。

イベントを成功させる為に一生懸命考えて動き、盛り上げた時の達成感は自分がメインで発表するとはまた違った達成感がありますよ!

主な基本的な仕事は、時間の管理出席者の紹介イベントの進行トラブルへの対応、などです。

今回はここに出た4点が実際どのように行われているかを企業系のイベントをする司会者の視点メインで書いていこうと思います。

時間の管理

これはその名の通り時間通りにイベントを進めていくことです。イベントによっては時間がおしてしまったり、はたまた想定より早く終わって場を繋いだりしなければならない事が多々あります。ええ、多々あります

基本的にはQシートや台本に書かれた時間通りに進めていけばいいのですが、時間通りなんてまずそんなにうまくいくことはありません。大抵の場合時間がおしてしまって何かを犠牲にしたり、早回しにすることがあります。この判断は基本的に司会が行うことになります。(もちろんそのイベントの主催者に確認を取ります。)

言葉を削ったり、ある程度の省略を駆使しつつなんとか時間内に終わらせようと司会は必死に頑張っておりますので、そんな司会を見かけたら温かい目で応援してあげてください。あと、もしそのイベントに出演する側でしたら司会のことも考えた上で、長々伸びないように気を使っていただけるだけで楽になりますので、よろしくおねがいしますね。

それと想定よりも短くなってしまった場合は十中八九「場をつないで!」と言われますので、つなぐためのトークを用意してたりします。イベントによっては「少々お待ちくださいませ」や休憩をねじ込む事によって解決したりすることも出来ますが、最初から想定にない空白が産まれてしまうと一気にイベント全体が間延びしてしまう事が多く、メインの物事がぼやけてしまうので、なんとか空気感をつなげるようにコメント等のアドリブを用意しておくと対応しやすいですね。

ちなみに、実際に私が出会った時間の管理での大変だったものとしては、新人だった頃、まさかのイベントの予定に無いスポンサー(主催者)の大演説が長々と始まった時がやばかったです。

巻いてくださいと言い辛くて、スポンサー様の邪魔をすることも出来ず、そのイベントは大幅に予定時刻を過ぎてしまい、お客様から苦情を受けたのは今でも忘れられません。

当時は新人でしたから、おろおろすることしか出来ませんでしたが、今では後ろをつめたり、やんわりと「お時間が少々おしておりますので…」と伝えられるようになりましたが、怖かったですね。うん。

出席者の紹介

次に意外と大事なのがこれです。

来賓やゲスト等のちょっとその場では偉い方々の肩書きやお名前をご紹介する作業です。バラエティ番組なんかでは短くて済むのですが、企業系の司会だとそうはいかないんです。

こう聞くと「何だよ肩書きと名前読むだけとか!簡単じゃん!」と思われますが、ここめちゃくちゃ緊張します。

まず第一点、名前の読み間違いはまず許されません。割と台本を作ったことが無い方が作られた台本で名前の読み仮名が無いことがありますが恐怖でしかないです。

来ていただいた来賓の方のお名前を間違えるということは、この上なく失礼な事になりますので、前準備の段階でしっかりとお名前を確認してふりがなを振っておきます。

第二点として肩書きを噛まないこと。物によってはものすごく長く読みづらい肩書きを持つ方もいます。これもそこを背負ってきていただいている事が多いので、読みづらい場合はそのイベントが始まる前に猛練習します。これに関しては練習しか無いのです。

ちなみに私が担当した肩書きで苦戦したのは「〇〇(カタカナの長い系)株式会社 取締役会 役員理事 〇〇グループ経営戦略顧問 および 商品開発部門部長 兼 社内コミュニケートディレクターであられます○○○○様」(一部変更)でした、マジホント勘弁してください。

始まる前にずっとトイレでブツブツやってたのがとても懐かしいです。

イベントの進行

時間の管理と概ね一緒ではありますが、その会の趣旨の説明や、場合によってはメインで出られている出演者の方と絡んで話したり客席の方からのアクション(質疑応答など)への対応があります。

そのイベントに興味を持たねばならないのでどんな角度からでも話せるようにある程度いメインの分野の勉強をしておかなければならないこともあります。

あと!そのイベントで話されたこともある程度頭に入れておかないとコメントを一言入れる時に頓珍漢なことを言ってしまいかねないので、しっかりとイベントを見てたりします。

そして大事なのは場の空気の切り替えと繋ぎです。

いい雰囲気のまま次のコーナーや項目に移らせていったり、逆にビシッと空気を切り替えて移らせてたりするのは、その切替のたびに発言する司会の言葉のトーンとコメントにかかってきます。ここがふわふわしてしまうとイベントのコーナーの一つ一つがぼやけてしまったりするので、しっかりと見極めつつ会を進めていきます。

後は、空気感とは厳密には違うのですが、お客さんの反応を観察して、睡魔に襲われているかどうかを確認したり、その睡魔を飛ばすアクションを起こしたりします。

あと、司会者が大あくびだけは絶対ダメですから!!!絶対ですよ!!!!!(過去にやらかして大目玉食らった顔)

トラブルへの対応

これはわかりやすく緊急時への対応です。

災害や事故などの対応アナウンスもありますが、割と多いのは機材トラブルですね。

DVD流したいけど音楽が流れない!」「プロジェクターがつかない!」「出演者が遅刻して来ない!」など…おおよそ何が起こるかわかりません。

これに関しては、日頃からいろいろなことを想定しておくことが大事になってきますが、一番は司会者が不安なところを見せないことです。

最初の方にも書きましたが、会を司る者が司会者です。その司会者の不安さは想像以上に周りに伝播してしまうものです。

常に余裕を持ち、あらゆる事象を想定し、有事の際にはまるで不安さなど見せずに、堂々した面持ちでとトラブルへの対応をしましょう

ポーカーフェイスと笑顔を使い分け、さもトラブルなんてなかったかのように、堂々と会を司るマスターを目指して僕たち司会者は日々頑張っているのです。


あくまでもこれは企業系の司会をする場合の視点から見た司会者の仕事についてでした。

ああ、意外と色々考えてるんだな」「ただちょこっと喋って終わりじゃないんだ」と思っていただけるくらいには、裏で色々やっていたり冷や汗をかいていたりします。

もし貴方がこの記事を読んで、少しでも司会者への理解が深まってくれたら幸いです。

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