2019東京都登販過去問解説問16~問20

*2020年8月23日一部変更

当面YouTubeは停止しました。理由はもっと過去問を分析しないといけないと痛感したためです

現在東京都2019年過去問解説は120問すべて更新完了しました。2019年京都府編をやっています。よろしくお願いいたします❗

問16 適切な医薬品選択と受診勧奨に関する次の記述の正誤について、正しい組合せはどれか。

a 一般用医薬品を使用する者は、一般用医薬品を一定期間若しくは一定回数使用しても症状の改善がみられない又は悪化したときには、医療機関を受診して医師等の診療を受ける必要がある。

正しい記述です。

b 医薬品の販売等に従事する専門家は、症状が重いとき(例えば、高熱や激しい腹痛がある場合等)でも、まず、一般用医薬品を使用して症状の緩和を図るよう勧めるべきである。

結論からいうと誤りです。症状が重いときは一般用医薬品より医師の治療を優先するべきです

一般用医薬品で対処可能な症状等の範囲は 一般用医薬品は、法iにおいて「医薬品のうち、その効能及び効果において人体に対する作用が著しくないものであって、薬剤師その他の医薬関係者から提供された情報に基づく需要者の選択が目的とされているもの(要指導医薬品を除く。)」(第4条第5項第4号)と定義されています。
その役割としては、(1) 軽度な疾病に伴う症状の改善、(2) 生活習慣病viii等の疾病に伴う症状発現の予防(科学的・合理的に効果が期待できるものに限る。)、(3) 生活の質(QOL)の改善・向上、(4) 健康状態の自己検査、(5) 健康の維持・増進、(6) その他保健衛生の6つがありix、医療機関での治療を受けるほどではない体調の不調や疾病の初期段階、あるいは日常において、生活者が自らの疾病の治療、予防又は生活の質の改善・向上を図ることを目的としている。
と定義しています
軽い症状ならいいのですが極端に激しいトンカチで叩かれるような激痛だったり重症な症状だと医療機関で治療を優先するべきです。
よってBは誤りです

c セルフメディケーションの主役は一般の生活者であり、一般用医薬品の販売等に従事する専門家においては、購入者等に対して常に科学的な根拠に基づいた正確な情報提供を行い、セルフメディケーションを適切に支援していくことが期待されている。

正しい記述です。
正解は2です

a b c

1 正 正 正 2 正 誤 正 3 誤 正 誤 4 誤 誤 正
5 誤 誤 誤

問17 サリドマイドに関する次の記述の正誤について、正しい組合せはどれか。

サリドマイド事件についてです
サリドマイドは催眠鎮静成分効果のある成分としてかつて日本や世界で一般で販売されていた薬です。睡眠薬、胃腸薬として販売されていました。1957年当時の西ドイツで発売され日本では1958年の1月から販売されていました。
しかし副作用として血管新生を妨げる作用もあった。血管新生とは既に存在する血管から新しい血管が形成されることを意味します。妊娠している女性が妊娠している女性がサリドマイドを接種すると血液-胎盤関門を通過して胎児に移行します
血管新生が妨げてしまうため細胞分裂が正常に行われず、器官が十分に成長しないことから、四肢欠損、視聴覚等の感覚器や心肺機能の障害等の先天異常が胎児に発生しました。 なお、血管新生を妨げる作用は、サリドマイドの光学異性体xiiのうち、一方の異性体(S体)のみが有する作用であり、もう一方の異性体(R体)にはなく、また、鎮静作用はR体のみが有するとされています。サリドマイドが摂取されると、R体とS体は体内で相互に転換してしまうため、R体のサリドマイドを分離して製剤化してもxiii催奇形性は避けることができません。

サリドマイドの危険性が発覚し1961年11月に西ドイツのレンツ博士がサリドマイド製剤の催奇形成について警告を発し西ドイツでは回収されました。一方日本にも翌月の12月に西ドイツ企業から勧告が届いていたのと翌年もその企業から警告も出ていたにも関わらず1962年5月まで出荷停止が行われず販売停止及び回収措置は9月までされませんでした。対応の遅さが当時問題になったわけです。
現在はサリドマイドは一般用ではありませんが抗がん剤では使われることがあります

a サリドマイドによる薬害事件をきっかけとして、各国における副作用情報の収集体制の整備が図られることとなった。
正しい記述です。

b サリドマイドの血管新生を妨げる作用は、その光学異性体のうち、一方の異性体(S体)のみが有する作用であり、もう一方の異性体(R体)を分離して製剤化すれば、催奇形性を避けることができる。
先程説明しましたが血管新生を妨げるのはS体のみ有していてR体を分離してもR体とS体は体内で相互に転換してしまうため、R体のサリドマイドを分離して製剤化しても催奇形性は避けることができません。
なので誤り。

c 妊娠している女性が摂取した場合、サリドマイドは血液-胎盤関門を通過して胎児に移行する。
正しい記述です。

d 1961年11月、西ドイツ(当時)のレンツ博士がサリドマイド製剤の催奇形性について警告を発し、日本では、同年中に速やかに販売停止及び回収措置が行われた。

違いますね。日本にも翌月の12月に西ドイツ企業から勧告が届いていたのと翌年もその企業から警告も出ていたにも関わらず1962年5月まで出荷停止が行われず販売停止及び回収措置は9月までされませんでした。Dは誤りです


a b c d

1 誤 正 正 正 2 誤 誤 誤 正 3 正 正 正 誤
4 正 正 誤 正 5 正 誤 正 誤

正解は5のです


問18 スモン及びスモン訴訟に関する次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。
という問題です

aはスモンの症状について聞いている問題です

a スモンはその症状として、初期には腹部の膨満感から激しい腹痛を伴う下痢を生じ、次第に下半身のしびれや脱力、歩行困難等が現れる。
正しい記述です

b スモン訴訟とは、鎮痛薬として販売されたキノホルム製剤を使用したことにより、亜急性脊髄視神経症に罹り患したことに対する損害賠償訴訟である。
鎮痛薬でなく整腸剤で販売されていたのであやまりです

c スモン患者に対しては、治療研究施設の整備、治療法の開発調査研究の推進、施術費及び医療費の自己負担分の公費負担等が講じられている。
こちらは正しい記述です
d スモン訴訟の被告である国は、スモン患者の早期救済のためには、和解による解決が望ましいとの基本方針に立っているが、全面和解には至っていない。
1977年10月に東京地裁において和解が成立して以来、各地の地裁、高裁にて和解が成立し1979年9月に全面和解が成立したのであやまりです

正解は2のです

1(a、b) 2(a、c) 3(a、d) 4(b、c) 5(c、d)

問19 HIV訴訟に関する次の記述の正誤について、正しい組合せはどれか。
エイズ関連の問題です。学校の社会の歴史で知ってる方も多いと思います。
問題を解きながら解説していきます

a HIV訴訟は、血友病患者がヒト免疫グロブリン製剤の投与を受けたことにより、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)に感染したことに対する損害賠償訴訟である。
違います

血友病患者が人免疫不全ウィルスが混入した原料血漿か製造された血液凝固因子製剤の投与を受けたことによりHIVは人免疫不全ウィルスに感染したことによる損害賠償訴訟です
免疫グロブリンとは血漿のなかに含まれていて免疫反応において体内に侵入した細菌やウィルスなどの異物を特異的に認識する抗体のことを言います。免疫グロブリン製剤の投与を受けたとしてる点が誤りです。


b HIV訴訟の和解を踏まえ、国は、エイズ治療研究開発センター及び拠点病院の整備を行った。
正しい記述です

c HIV訴訟を契機に、血液製剤の安全確保対策として検査や献血時の問診の充実が図られた。 正しい記述です

正解は4です

a b c
1 正 正 正 2 正 正 誤 3 正 誤 誤
4 誤 正 正 5 誤 誤 正


問20 クロイツフェルト・ヤコブ病(CJD)及びCJD訴訟に関する次の記述の正誤について、正しい組合せはどれか。
問題を見ながらかいせつしていきます

クロイツフェルト-ヤコブ病の症状について聞いています

a CJDは、認知症に類似した症状が現れ、死に至る重篤な神経難病である。
正しい記述です。
b CJD訴訟は、脳外科手術等に用いられていたウシ乾燥硬膜を介してCJDに罹り患したことに対する損害賠償訴訟である。

CJDの感染原因についても解説していきます
脳外科手術等に用いられていたヒト乾燥硬膜を介してクロイツフェルト・ヤコブ病(CJD)に罹患(りかん)したことに対する損害賠償訴訟です。ヒト乾燥硬膜とは脳外科手術の際に切除した硬膜を補充するために使用されていました1997年3月から使用は禁止されています
Bはウシ乾燥硬膜と言ってる点が誤りです

c CJDは、ウイルスの一種であるプリオンが脳の組織に感染することによって発症する。
この選択肢はプリオンがウィルスの一種であるとしてる点が誤りです。
CJDについて詳しく解説します
CJDは細菌でもウィルスでもないタンパク質の一種であるプリオンが脳の組織に感染して次第に認知症のような症状が発症して亡くなる場合がある重篤な神経難病です。ヒト乾燥硬膜の原料が搾取された段階でプリオンに感染されてる場合がありプリオン不活化のための科学処理がなされないまま製品として流通し脳外科手術で移植された患者に発症した病気です。
雑談になりますがプリオンは2001年あたりで問題になった狂牛病BSEの原因にもなっています。

d CJD訴訟の和解を踏まえ、医薬品の副作用による健康被害の迅速な救済を図るため、医薬品副作用被害救済制度が創設された。
違います。2002年に行われた薬事法改正に伴い、生物由来製品の安全対策強化、独立行政法人医薬品医療機器総合機構による生物由来製品による感染等被害救済制度の創設等がなされました。
サリドマイド訴訟、スモン訴訟を契機として、1979年、医薬品の副作用による健康被害の迅速な救済を図るため、医薬品副作用被害救済制度が創設されてます。サリドマイド訴訟、守門訴訟を契機としてできた制度のヒッカケでした。

よって正解は5の正誤誤誤です

a b c d
1 誤 正 正 正 2 正 正 誤 誤 3 正 誤 正 正
4 誤 誤 誤 正 5 正 誤 誤 誤

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