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ナポギストラは出てこない(ロボットの反乱とシンギュラリティ )

こんにちは。
ヤマトです。

今回は、今話題になっている「シンギュラリティ」と「ロボットの反乱」について解説してみようと思います。
この2つのテーマを一気に扱える命題として、ドラえもんの「ナポギストラ論」というものがあります。

これは、『劇場版ドラえもん のび太とブリキの迷宮』に登場した「ナポギストラ」というキャラクターが基になっています。
詳しく解説すると、ナポギストラとは、「ロボット」でありながら同時に「ロボット研究者」でもある人工知能ロボットです。
そして、ナポギストラは「人間に反乱を起こしたロボット」としても劇中で描かれています。

さて、ロボット論(アンドロイド論)を考えたとき、多くの人の関心テーマとして「ロボットが人間が作るよりも高性能なロボットを開発するのではないか?」「ロボットの人工知能が人間を超えるときが来るのではないか?」という議論が起こります。
まず、このテーマについて解説すると、「そんなことは起こりません」。
第一の理由としては、「ロボットは基本的にモノづくりは得意ではない」からです。
一般的に、「クリエイティビティ―」と呼ばれる仕事をするのは、人間だけです。そしてそれは、おそらく未来社会でも同じ構図であり、ロボットは単純労働などの「ロボットで代替できる労働」に関しては、徐々に労働の代替が起きるでしょうが、「モノづくり」という分野において「人間を凌駕する」ことは起きないでしょう。
そして、第二の理由としては、「ロボットが進化することで、同時に人間自身も進化していく」からです。
ロボットが高度な認知機能を持ったとして、人間がそのまま進化から取り残される、ということは起きないでしょう。ロボットが進化していくことで、人間も進化する。この「共存共栄」の図式が、未来永劫続いていくと思います。

さて、もう一つのテーマについても言及しましょう。
それは「ロボットの反乱」についてです。
これは、「アイザック・アシモフのSF小説」や、近年では「デトロイト」というゲームでも積極的に描かれたテーマです。
この問題の核心は、「ロボットが心を持つ」ことに対するアンチテーゼだ、と言えるでしょう。
ロボットが人間と同じような「こころ」を持つことで、人類と同様に「主権者に対して反乱を起こす」と類推しているのでしょう。
なるほど。確かに一理ありますが、しかし「ロボットの心」と「人間の心」はそもそも「心の構造(仕組み)」が全然違います。
人間の心とは、主に「脳」によってもたらされる現象です。
それは、ニューラルネットワークなどの高度に組織化されたシナプス伝達が可能にする現象です。これを「アナログ脳」と呼ぶことにしましょう。
しかし、ロボットの心の基準は「論理回路」です。厳密には「0と1」しかありません。これを「デジタル脳」と呼びます。
アナログ脳は、高度に発達していると言えますが、アナログゆえに「誤った認知機構」と「誤った情報処理」が行われます。
これは、認知心理学などを勉強すれば明白ですが、「人間の脳は情報演算回路としては恐ろしく不完全」です。
しかし、デジタル脳(ロボットの心)は、こうした誤った情報処理や認知機構というものは、「ほとんど全く起こりません」。
それが優れているかどうかという議論は別にして、いわゆる「人類史」に見られる「反逆の歴史」というものは、ロボットにおいては、まず発生しません。
あらかじめプログラミングの段階で、そういった危険性さえ除去しておけば、「ロボットが人間を殺害する」「ロボットが人間に危害を加える」ということは起こらないでしょう。
ロボットは、こちらが「あらかじめこうしてくれ」と命令すれば、素直に「はい、分かりました」と従ってくれます。

さて、では「人間が存在しないロボット社会」が発生しないかといえば、僕は「その可能性自体は必ずしもゼロではない」と思います。
しかし、それは「ロボットが反逆を起こす」という意味ではありません。
どういうことかと言えば、仮に人類が「核戦争」を起こして、地球上の人類がすべて死滅し、その残された地上で「ロボットたちが自律的な社会活動を展開する」という可能性はあります。
しかし、人間が自分で自分の首を絞めない限り、そのような現実は起こらないと、僕は思います。

「真・善・美とは人間的な価値尺度である」

こうした価値観は、すべて「人間のエゴ」によってもたらされるものなので、こうした判断はすべて人間があらかじめプログラミングを行えば、ナポギストラは出てこないと思います。

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