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登校

太陽の光で閉じている瞼に光が差し目が覚める。食卓に用意してある食パンを食べる。しっかりヨーグルトと牛乳を飲んで。

洗面所に行く。妹が使ったヘアアイロンがまだ熱い。まだ近くにいるな?...いなかった。今日は気分がいい。だからどんなことでも許せそうだ。首の後ろのヒリヒリしている火傷を撫でる。うん、痛い。

制服に身を包みお気に入りの靴を履いて外に出る。いい天気だ。玄関の階段で滑っておしりから落ちた。ケツが痛い。

電車に乗る。周りを見渡すといつもより人が少ない。ラッキーだ。人の表情がよく見える。椅子に座って寝る人、スマホで動画見ている人、ぼーっとしている人。スマホが普及して下を向いている人が多い気がする。もうちょい顔を上げればいいのに。知らんけど。

改札を出て高校生にしては少しお高い200円くらいのコーヒーを買う。缶ではないやつ。レジのお姉さんがきれいで微笑んでくれた。幸福の時間。密の楽しみ。コンビニの前の水たまりに右足突っ込んだけれど気にしない。靴下まで濡れた。

コーヒーを飲みながらイヤホンをつけて歩く。高校までの道のりを。狭い道路の途中犬のふんが落ちてる。全く飼い主掃除しろよ。気分がいいからあんま気にせず歩く。隣に車が通る。避ける。...ん?確かこの辺りには?...察してください。

やっとこ正門をくぐる。ここまでの道のりが長かった気がする。まあ気のせいか。朝が気持ちいとこんなにすがすがしいのか。教室の扉に手をかけ開ける。クラスの視線が自分に集まる。ここで一曲踊りたくなってしまうな。席につこうとするとチョークを置いた先生が言う。

「君、後で職員室ね」

時刻は11:25。とても良い朝だった。あの気持ちよさは背徳感からなのだろうか。まぁ、たまにはいいだろう。

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