未熟な兄弟

「我が血を分けし兄弟よ」
「ん? どうした千鶴」
「我が昨日より心待ちにしておいた甘美なる供物が無くなっているのだが……まさか貴殿の仕業ではあるまいな?」
「あー、プリンなら千鶴のものとは知らずに食べちゃったよ。ごめんごめん」
「そ、そのような態度で許されると思っているのか?」
「明日買って来るって。お兄ちゃんは大人だから、お詫びとして3つ買って来るよ」
「成熟した人間は、どこの馬の骨かも分からない供物を食べたりはしないだろう!?」
「その言い方は厨二病とはまた違うような気がするなぁ!」
「む、そうか……思わず取り乱してしまった。しかし、それだけのことを兄者はしたのだぞ」
「その口調やめたら? 疲れるでしょ」
「我が身に疲労などない。故に兄者の隣で深夜アニメを観る」
「深夜『アニメ』って素直に言っちゃってるし。千鶴は子どもなんだから、早く寝なさい」
「……我は知っているんだぞ」
「なにを?」
「兄者が学業を疎かにしている理由に自らはまだ幼子だと言っていることをな……」
「ちょっと待って、なんで知ってるの」
「兄者が母に言い訳している時、我も家にいたからな。フハハ、結局兄者は幼子なのか? それとも成熟した人間なのか?」
「ぐぬ……」
「定まらぬものだなぁ?」
「うるしゃい」
「ふみゃ、にゃ、にゃにをしゅる」
「千鶴のほっぺ柔らかいね」
「あ、あにじゃのふぁか!!」

麦茶を買います。