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民間警備員に求められるもの

1. 寝たふりをしてまで美術館に入ろうとする猫とそれを阻止しようとする警備員。

このキャッツアイもびっくりのエピソードは尾道市立美術館でのお話で、ネット上で話題になっているらしい。

テロだなんだと騒がれるこの時代にほっこりする話である。

そして警備員の方の優しさが伝わる。

2. 犯罪や災害の予防や拡大防止を業務とする民間警備。

なのに警備業法15条に「警備業者及び警備員は、警備業務を行うにあたっては、この法律により特別に権限を与えられているものでないことに留意するとともに、他人の権利及び自由を侵害し、又は個人若しくは団体の正当な活動に干渉してはならない」と規定されている。

この規定の趣旨は民間警備員に権限がないこと,である。あくまで警備員は一般人というのが法律の立場なのである。

民間警備員は警察官と違い、権限がない。ゆえに、例えば無断に施設に入ろうとする方に関しても、施設管理権に基づいて拒否はできる。

施設管理権とは施設の管理者(=所有者)が所有する施設を包括的に管理する権利権限の事。

そしてその施設の管理者から管理を委託・委任された者を施設管理権者という。

通常、警備会社は施設警備の仕事を引き受ける際に、民事契約によって、施設管理権の全部または一部の委託をうける。

施設警備員に施設管理権があるというのは委託をうけているという意味。
あくまでそれは施設所有者の所有権・管理権が前提となるもので、それ自体に実力行使等の強制力はない。条文の根拠もない。

だから警備員は施設所有者の代理としてユーザー方に、命令ではなくお願いという形でいかざるをえない。

それでも入った者がいた場合には、所有者に連絡するか、緊急性がある場合には、警察に通報し、場合によっては不退去罪の現行犯人とみなして現行犯逮捕ということになるが、それは一般人にも認められていること。

3. 警備業に携わるものとしてこの状況は少しおかしいと思う。治安の観点から、これはこれで変えていくべきだと僕は思う。

ただ経営者は政治家でも革命家ではない。

なのでおかしいと思っても、その現状をうまくやりくりしていく姿勢が大切となる。
B・Gのキムタクではないが、そんな丸腰の民間警備員だからこそ、お客様やユーザーの方に対し、上から目線ではなくソフトな対応が出来ることも確か。

規律に基づいた注意力とユーザーを思う優しさ。この相矛盾する要素が警備員、特に施設警備員には求められる。

そういう意味でこのエピソードの警備員からにじみ出る優しさは民間警備の姿勢として正しいと思うのだ。

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