アンゾフの成長ベクトルをあてはめる

みなさんの中には御存知な方もいらっしゃるかもしれないが経営戦略上の展開の分類に関して「アンゾフの成長ベクトル」がある。それを自社の場合にざっくり当てはめてみた(本当は具体的な数字や会社名、取引先名を交えながら根拠資料等を加えて話を進めるべきだがそうなるとかなり長くなり、またここでは説明できない部分も出て来てしまうので今回は割愛する)。

アンゾフの成長ベクトルは市場・製品が既存か新規かで①市場浸透戦略②新市場開拓戦略③新製品開発戦略④多角化戦略、に分類される。

 ①まず、市場浸透戦略は既存市場に既存製品を投入する戦略である。自社の場合だと兵庫県北部の土木建設工事や病院・旅館・金融機関等の施設運営に警備+付帯業務を提供する警備員を投入する昔からのやり方である。

問題点としては特に施設警備に関するターゲットが絞りきれていないことがが挙げられる。もっとも警備対象になりうる規模の施設や会社の絶対数が兵庫県南部と比べて少なすぎる、つまり市場が小さすぎることから果たしてターゲットとなる施設を絞ることが果たして妥当なのかという疑問もでてくる。また付帯業務が果たして本当に付帯といえるのか、むしろお客様は警備という仮面を被った用務員・補助員を望んでいるのでは?ということも考えられる。今後の検討課題であろう。

 ②次に新市場開拓戦略は新規市場に既存製品を投入する戦略である。自社の場合だと兵庫県南部という新たな土地で明石営業所を設置し、既存の警備+付帯業務を設置するやり方である。

これは先の①で挙げた、兵庫県北部の施設警備の市場規模の小ささを考えての事である。基本的にこの決断は正しかったと思う。なぜなら兵庫県北部は城崎温泉街を除いては少子高齢化による急激な人口減で衰退の一途を辿っており、持ち直すことは絶望的だからである。施設警備を今後も続けて行くには商圏を広げるしか道はないのだ。

ただ兵庫県南部も北部ほどじゃないにせよ深刻な人手不足に悩まされている。隣県の大阪府も似た状況。このへんは同業他社や他業種の数もかなり多いにもかかわらず団塊の世代の引退等により就労人口の減少が著しいこと、待遇の悪さからもともと警備が定着率の低い業種であることが理由として挙げられる。そのへんの事情は東京でも一緒であろう。

今は細々とやっているのでなんとかやっていけているが、今後本格的にやっていくなら大々的に募集をかけざるをない。そうなった時に以上に挙げた理由により果たして人が集まるのか疑問だ。給与・待遇を良くしないと人は集まらない。でもその原資を集めることが現状の警備の相場だと厳しい。そうかんがえるとこの戦略が機能するためには付加価値のあるサービスの創出を考える必要がある。

あとはせっかく兵庫県南部という比較的人口の多い地域に進出したのだから女性対象の警備なんかやってみるのも面白いかもしれない。ただこのへんも人手の問題がついて回るだろう。

 ③さらに新製品開発戦略は既存市場に新製品を投入するやり方である。自社ではまだやってはいないが、今後起きるであろうAI・ロボット警備なんかはその典型であろう。今の状況を打開するにはこの戦略をメインにするのが妥当だが、まだ具体的なイメージが掴めていないのが実情だ。今某大手に協力会社として今まで以上に近づいているのもその糸口を掴みたいという側面もある。

 ④最後に多角化戦略は新規市場に新製品を投入する戦略である。自社の場合だとかつて行った空地管理、企画で立ち消えになった空き家管理・独居老人見守りサービスなんかがそれにあたるのかな。

これらは地域の問題に直接関わるだけに社会貢献になり、やりがいはあるが、如何せん、顧客がいない。いたとしても価格がつりあわないことがかつての経験や市場リサーチの結果分かった。

実家の家が荒れるのはいやだが、金を払うくらいならたまに戻って掃除するか、最悪放置しとく方がまし、実家に年を取ったおやじが1人でいる場合も安否確認は近所のおじさんあたりに頼んでおけばいいということだろう。

もちろん社会状況が変化すれば再度検討する余地はある。また今のビジネスの中で新たな芽が出そうな状況が生まれそうならこの戦略をとることにやぶさかでないと考える。



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