組織の人的スラックを生かす

経営学上の用語に組織スラックという語があるらしい。

過剰な人材、余っている設備、内部留保といった余分なヒト・モノ・カネといった経営資源のことを総合して組織スラックと呼ぶとのこと。

過剰な組織スラックは経営を圧迫するものの、適度な経営資源はむしろ、イノベーションを促進させたり、組織の円滑な運営にプラスに働いたり、環境の変化に対応しやすくなるといったメリットがあるという。

なんだか、ウチのような、ないないづくしの中小零細には縁のない話のようにも思えるがそうでもない。

うちのような警備業の会社には実にいろんなタイプの人間がある。中堅以上の会社であれば、採用段階で警備員に向かない人材を切り捨てることができる。

しかしうちのような小さな会社としてはこのご時世、いつ深刻な人手不足に陥るかわからないので、多少問題のありそうな人材だとしても、最低限の線さえ超えれば、努めて採用するようにはしている。部門によっては結果として必要な人材は不十分なのに、ヒト余りの状況が生まれることがある。

もちろん、そういう方は予想通りというか、大概は現場に送って問題を起こしたり、苦情が来たりして裏切られる。

でも例えば接客的な気が利きすぎて警備員として使えない人間でも旅館といった思わぬ警備の仕事が来た場合に彼を派遣した結果、むしろお客様に喜んでいただけたりする。またいいムードメーカーになって、結果として優秀な警備員がうちに長く定着する環境を作ってくれる隊員もいる。

特に環境変化の著しい時代、一見自社にとって無駄だと思われる人材がいつ化けるかわからない。

いい中小零細の警備会社とはそういった一見組織に無駄と思われるヒトを環境変化に応じて上手く生かせる会社のことをいうんだろうなあ。

そのためには、常にダメだと言われる人間に対しても彼らのいい面を探す視点が必要だと思う。もちろんそれだけだと甘くなって組織の統制がとれないので隊長あたりに厳しく指導をしてもらう必要はあるが。



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