2代目社長として一人前になるには

2代目経営者の仕事は一言でいえば、受け継いだ会社の①維持・②発展にある。

1. まず①について。

(1)自分が後継者教育を受け、現場に入り、その上で本当の意味で会社を継ごうと決めた日から、ずっと自分の頭の中を占めていたもの、それは経営の安定だった。

田舎の警備業は、他の業種の例に漏れず、公共事業の恩恵を受けているところが多い。だいたいその関連のお仕事は短期・スポット契約がメイン。

もちろん、短期・スポット契約は利益率が高く、マンネリ感の防止につながるなどいいとこも多い。

ただ、その事業形態だと隊員は基本的にその日暮らしの生活になる。その日暮らしの生活になれば、マインドも刹那的になり計画性が失われる。計画性のないところに社内教育は根付かず、組織が機能不全となりがちとなる。会社の財務体質も安定しないので資金調達の面でも不利になる。

なのでこの状況を根本的に変える必要があった。

具体的には売上に占める年間・長期の契約とスポット・短期契約の割合いの比率を逆転させ、前者を自社のメインの事業にすること。

そのために長期契約の割合いの多い施設警備や駐車場警備を重視する方向にカジを切り、その施策が実現の方向に進んでいる。

(もちろん、場合によってはお得意様にお詫びをしたり、交通誘導隊員の急激な流出を防止する必要があり、まだまだ予断を許さない。そのへんは会長にお願いしているが、自分にもできることがあれば手伝いたいとは思う。)

(2)とはいえ、あくまで長期・年間契約がメインであって、当然スポット契約も規模を縮小しながらも続けて行きたいとは思う。

あまり1つに絞るのはリスク管理上好ましくない。それを経営学的にいえばポートフォリオマネジメント(以下、PPM)を考えた経営をしなければいけないということ。

 PPMとは市場成長率を縦軸に市場シェアを横軸において、会社の事業の位置づけを視覚的にとらえていく手法のことをいう。

理想としては資金源である市場の成長率が低いが市場シェアの高い「金のなる木」をいくつか保持した上で、将来の資金源となる、市場の成長率が高く、市場シェアも高い「花形」と、将来花形になるべき市場シェアは低いが市場成長率の高い「問題児」がバランスよく配置されていること。

留意点としては金のなる木を市場シェア、市場成長率ともに低い「負け犬」にしないことだという。

このPPMは経営資源の豊富な大企業向きの分析手法。なのでこれをそのまま経営資源の乏しい中小企業に当てはめるのは違うとは思う。

しかし、今の「花形」を次の「金のなる木」に、今の「問題児」を、次の「花形」を育てるために「金のなる木」の資金を投入するという発想は大切だと思う。

その配分に関して大企業以上にメリハリをつける、自社の場合だと施設警備のある分野を次の花形にするために交通誘導警備等の資金を上手く活用するといったところか。

それに関して言うと採用戦略がキーになっていくと思う。

それが上手った時、①の会社の維持の段階をクリアしたということになると思う。

2. ②について

いままでの時代だと①をしっかりやれば2代目社長として合格レベルに達したかもしれないが、これからの時代は、そうはいかないと思う。

特に警備の分野においては何度もいうようにテクノロジーの発展が凄まじい勢いで進んでいる。

いかにこの流れにコミットしていくのか。東京オリンピック後に加速化するこの流れを見据えた新規事業を今から考えなくてはいけない。

これが成功し、会社の主力の「花形」事業にした時、初めて2代目社長として一人前になったと言えると思う。

でもその事業が何なのか、正直今は分からない。何かしたいのに何もできないこのもどかしさはつらいなんてモノじゃない。この感覚は今の経営者の方なら大なり小なり抱いているものだと思う。

でもそんな気持ちで前のめりになって新規事業をしたところで失敗する事は目に見えている。

なので今はじっくり世の中の流れを見ながら上記の経営の安定を図って行こうと思う。



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