伝統と改革は両立する

1.伝統に関する柳宗理氏の考えに対し思う事

プロダクトデザイナーの柳宗理氏が伝統的なものを今の文脈にそのままを取り入れるのは伝統に対する冒涜であると何かの本でおっしゃっているのを思い出した。

このことは経営を含めすべてのことに言えると思う。

伝統とはジャンルを問わず時の試練を経てきたものの考え方やあり様に関する形式のことを言うと自分は考える。

なので、そこには先人達が築いてきた知恵なり工夫の蓄積といった重みがある。

言わば経営学的に言えば、持続的イノベーション、つまりは改良の積み重ねがそこにあるといえる。

しかし、その伝統を構成する時代状況なり、構成員の性質といった前提が変わった場合、パラダイムシフトが必要になる。

ちなみにパラダイムシフトとは思考やルールや価値観が枠組みごと変わるということ。

要は改革を行うということ。

経営学的に言えば破壊的イノベーションを起こすということだと思う。

2.(1)伝統の背後にあるもの

その時にどのように対処するかは人それぞれだが、その際、伝統の背後にある時代背景、それらを貫く理念をどう捉えるかがポイントになると思う。

伝統という形式が尊重されるのは、その背後にある時代背景やその当時の人々の思いといった実質とリンクしているから。

しかし、その実質が変わっているのに形式だけ維持したり蘇らせても、そこにあるのは伝統の名を騙った亡骸に過ぎない。

それはその背後にある理念に対する冒涜。

冒頭の柳宗理氏の発言はそういうことを言っていると思う。

(2)例示

だから例えば何でもいいんだが今問題となっている憲法改正に関して上記の理屈で考えると以下のような考慮要素がある。

まず、今、国内や日本を取り巻く社会環境、国民の意識がどう変わっているか。

次に、その変化が法律の改正といった持続的イノベーションで対処できるのか。
やはり憲法改正という破壊的イノベーションを起こさないといけないところまで来ているのか。

その上で、法律改正案なり憲法改正案が憲法の背後にある ①国民主権②基本的人権の尊重③平和主義 といった理念と今の社会環境や国民意識を結びつけるために有効なのか。

(ちなみに理念自体を変えたい人が増えれば、それは改革じゃなく革命になるが、それはここでは控えておく)

3.企業と自社の場合

(1)企業の場合

企業に関しても理念を実現するためには、今の社会環境や自社で従業員の性質に適応したシステムが必要になる。

それを上手く導入できるかどうかは社会環境だけではなく組織風土も考慮にいれた上で、理念との距離感や親和性も考慮して決めなきゃいけないと思う。

時代の最新をいっているからといって、それを取り入れても最新の組織にはなれないし、業種はこうだから、こうであるべきといった頭の固い発想では時代錯誤の組織になり、業務効率の悪い組織になる可能性が高いから。

(2)自社の場合

自社の本物の警備を実現するという企業理念を実現するために、今の組織のあり方が本当に時代なり、隊員の性質にマッチしているのか、考えていかなければと思う。

ただ一つ言える事は、警備員のなり手が不足していて、労務環境も厳しさを増している今日、いままでのようなやり方では通用しない。

何かを根本的にかえなきゃいけない。やはり破壊的イノベーション(改革)が必要だろう。

でもそれを無計画でやると本当に会社が破壊されてしまう。だからとりあえずは八鹿警備としての伝統の枠組みで持続的イノベーション(改良)しながら、計画を立ててその機会を探っていきたい。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?