隊員のモチベーション管理について考える

1.警備サービスの質を大きく左右するといっていい隊員のモチベーションについてどう考えるか。人間の欲求をどう考えるか問題となる。

(1)この点に関してマズローは、人間のもつ欲求を以下①から⑤に示すような低次から高次にかけての5段階で捉える。

① 食物、水などの人間の生存にかかわる本能的欲求である生理的欲求

②安全ないし安定したした状態を求め、危険を回避したいという欲求である安全の欲求

③集団や社会に所属、適合し、そこで他者との愛情や友情を充足したいという欲求である所属と愛の欲求

④他者から尊敬されたい、あるいは自分が他者より優れていると認識したいという欲求である尊重の欲求

⑤自己の向上、あるいは自己の潜在的能力を実現したいという欲求である自己実現の欲求

①から④までは欠乏動機といい、これらは自分以外のものによってしか満たす事のできない欲求である。

他方⑤は、成長動機といい、満たされるほどにいっそう関心を強化されるような欲求である。

この①〜⑤までの欲求は段階的に上がっていくものであり、決してその逆はない

(2)しかし、実際この順番通りいくかどうかは人それぞれだろう。

そこでこのマズローの説を修正する形でアルダファーは人間の欲求についてA,基本的な存在の欲求 B,人間関係にかかわる関係の欲求 C,人間らしく生きたい成長の欲求に分けた上で、AからCにかけて欲の次元は上がるものの、A〜Cの欲求は一人の人間の中に併存したり、同時に存在したり、欲求間を行ったり来たりしうると主張する。

ちなみにAはマズローでいうところの①,②、Bは③,④、Cは⑤に該当する。

(3)日本人は他のアジアの国の人間と比べ、基本的に多少給与が悪くとも、働く環境だったり、仕事の達成感というものに左右される人間が多い。

そして今のところ自社の従業員は皆日本人である。

なので、自社の隊員のモチベーションについてアルダファーの説にしたがって考えようと思う。

2.次にアルダファーの説を採用するとして、自社はどの程度隊員のモチベーション管理ができているといえるか。

(1)自社においても少しずつであるが、待遇を上げており、施設警備の一部に限って言えば,現場の警備員に月給制というおよそ常識では考えられない施策を行っている。

そのおかげもあって施設警備の求職者は定期的に応募がある。アルダファーの説で言えば、Aはクリアしている。

Bに関してもコミュニケーションを促進する仕組みを現在設計中であり、これも順調だ。

あとはCについてどうするか。特に最近若い子が入社したこともあり、定着してもらうにはこのCをどうするかが課題となる。

ただ、現場自体が有名な観光地や地域の中核施設や大きな金融機関など、それなりにしっかりしたところが多いので、他の多くの同業者よりもやりがいを感じて頂けるのではないかと考えている。

交通誘導警備については少し前に社長交代に伴い、いろいろとあったせいもあり、現在その対応に負われているが、少しずつ落ち着くとこに落ち着きそうなので、これからAも含め、真剣に改善に取り組んでいきたいと思う。

(2)以上よりA,Bに関しては施設警備に関しては部門によって多少温度差はあるものの、業界の実情を考えるとできている方だとと思う。交通誘導警備に関してはこれからといったところ。
Cに関して言えば、施設警備の場合は、ある程度現場自体の訴求力に助けられているところが多いものの、さらなる努力が必要と考える。
他方、交通誘導警備に関してはこれまたこれからといったところだろう。

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