見出し画像

SiremoはToCでグローバルに挑戦したい会社だって気づきました - 代表金田インタビュー by SEP 弘中さん

このnoteについて

SiremoはAI VTuberのビジネスプロデューサーを募集を開始しました。

今回はSiremoのHRパートナーであるSweat Equity Partners代表の弘中さんに代表金田のインタビューを通じて、事業内容や未来を丸裸にしてもらいました。

現在のSiremoについて

Siremo代表の金田(画面左)とSEP代表の弘中さん(画面右)

Siremoの事業内容

インタビュアー: 金田さん、こんにちは!さっそくですが、Siremoの現在の事業について教えていただけますか?

金田: Siremoでは、AIのVTuber、VSingerを作っています。名前は音紡いま(おとういま)といい、音楽と繋がりをテーマに活動しています。いまは「寂しい」という感情をなくしたいという願いを持ったキャラクターで、人とAIが手を取り合って、日常の疲れを癒やしたり、夢を追いかけたりすることをテーマにしています。具体的には、YouTubeを通じて配信を行い、SNS(X、Bluesky、TikTok)でフォロワーとコミュニケーションを取っています。

インタビュアー: かわいいお名前ですね!音紡いまちゃんの名前の由来は何ですか?

金田: 「孤独」を解決したいという漠然としたモチベーションからスタートしたプロジェクトでした。自分が好きだった"音楽"を通して人と人、あるいは人とAIとの絆を"紡ぐ"ことで、"今この瞬間"が楽しい、生きていてよかったと思える時間を作りたいという想いを込めています。

AIと音楽の関わりを選択した理由

インタビュアー: AIと音楽の関わりについて詳しく教えてください。

金田:  AIが創作領域に進出すると、盗作だと批判されることがあります。音楽の創作も著作権侵害が根強い問題になっていますが、わたし自身も音楽が好きでかんたんな音楽作りの経験もありましたし、周りに歌が上手な人が何人かいるので、データを集めてオリジナルのAIのデータ集めやモデルを作るということができるのではないかと考えました。オリジナルなデータを集めやすいという意味で、AIと人が手を取り合って創作する領域として、音楽は面白いのではないかと思っています。

代表、金田のこれまでについて

新卒入社したゲーム会社で味わった初めての挫折

インタビュアー: 金田さんは元々アート業界のキャリアだったのですか?よろしければこれまでのキャリアについてお聞かせください。

金田: いえ、全く関わっていませんでした。私が学生時代にやっていたのは国際経済と地方経済の研究です。統計よりのことは少しやっていたので、そこだけ唯一AIと関わるところかな、、、(笑)大学を出てからは60人くらいのベンチャー企業に入社し、モバイル向けのゲームを作っていました。

インタビュアー: ゲームを作ることに興味を持ったきっかけは何ですか?

金田: 大学3年生の時にiPhoneのApp Storeが登場し、自分が作ったものを世界中の人に見てもらえる可能性があるという衝撃を受けました。その感動から、ソフトウェアの会社を志望するようになりました。

インタビュアー: 素晴らしい初期衝動ですね。最初のゲーム開発の経験や、ゲーム開発における失敗と成功についても教えてください。

金田: 新卒で入った会社で、最初の3ヶ月はゲームプランナーとして働いていました。新しいゲームタイトルでプロジェクトのディレクター募集があり、応募して採用されました。しかし、そのプロジェクトは良いものができず、リリースしてすぐに終わってしまいました。その時は多くのアイデアを取り入れ過ぎて、何が面白いのか分からなくなってしまいました。しかし、その経験が今の自分にとって大きな学びとなりました。

インタビュアー: その体験があって、取捨選択の重要性を知ったということですね。

金田: そうですね、そこはすごく自分の中で大事にする原体験になりました。予算は限られているので、その中でどこに強みを置くか、レーダーチャートのどこを尖らせるかに敏感になりました。

新卒採用してくれた会社に残せた、10周年を迎える代表タイトル

インタビュアー: 金田さんほどのビジネスパーソンにも挫折の経験があるのですね。成功の方はいかがでしょう?

金田: その後、別のタイトルでまた違う上司と仕事をする機会がありました。その人からも色々学ばせてもらい、社内公募の新規事業企画コンペに応募しました。当時、ソーシャルゲームはキャラクターのイラストが多いほど人気が出るという世界でしたが、予算も限られていたので、大手と同じ戦い方はできないと思いました。
そこで、女の子の主人公を4人に絞り、その分、1点あたりのイラストに多くの制作費をかけることにしました。アイテムや装備品でバリエーションを持たせ、長く遊べるストーリー形式のゲームを提案しました。結果的にその企画が社内コンペで勝ち、実現することになりました。

インタビュアー: それが「駅メモ!」というタイトルですか?

金田: いえ、そうではなかったのですが、社内でいろんな偶然が重なり、結果的に「駅メモ!」という位置情報ゲームをリリースすることになりました。コンペで勝った企画のコアにあった「キャラ数を絞って一人ひとりのキャラクターを大切にする」というコンセプトは受け継いでいます。有難いことにリリース当初からユーザーさんに愛されるタイトルになりました。今年で10周年を迎えるタイトルです。キャラクターのファンアートも多く生まれて、わたし自身もキャラクターづくりにとても夢中になっていました。

インタビュアー: 素晴らしいですね。「駅メモ!」はどんなゲームですか?

金田: 簡単に説明すると、鉄道に乗って遊ぶ位置情報ゲームです。日本全国に約9100駅あり、それをスタンプラリーのように集めて記録する楽しみ方ができます。また、椅子取りゲームのように、他のユーザーと駅に見立てた椅子を奪い合う要素もあります。電車を擬人化したキャラクター「でんこ」が登場し、それぞれに個性があります。来年で10周年ですが、多くのユーザーさんに愛され続けていることに感謝しています。

インタビュアー: 新卒で入って数年の成果とは思えない本当にすごい業績ですね!

金田: 新卒で入った時にずっと考えていたのは、ファーストキャリアで入った会社にとって資産になるような働きをしたいということでした。新卒採用において会社はリスクを取っているのできちんと返したいと考えていました。

インタビュアー: 確かに会社にとっては勇気がいる採用ですよね。

金田:  自分がその会社にとって良い資産が残りましたと堂々と言えるような働きをしたかった。駅メモ!というタイトルが10年続いたことは、ひとつその目標を達成できたのかもしれません。愛してくれるユーザーさんがいてこそですが、諦めなくて良かったです。

ユーザーの行動を知るといいながら、半ば強引に拉致されのため四国一周の旅ここでの利用者の行動や声を元に新しい機能を思いついたりした

味わった挫折

インタビュアー: ありがとうございます。ちなみに話せる範囲で構いませんが、駅メモ!でこんな苦労があったよというエピソードがあれば教えていただけますか?

金田: 最初は4人でスタートしたんですが、人が増えてくると自分の仕事が分からなくなってしまいました。結構細かいところまで気になる性格なので、いろいろ自分で手を動かしてプロダクトを作りたいと思っていました。でも、事業の規模が大きくなると人を動かして、先を見て新しい展開をしていかなければならない。でも、そのために何が必要なのか正直分からないこともありました。

インタビュアー: 金田さんほどの方でも苦労された経験があったのですね。成功も失敗なしにはありえないというか。

金田: ゲームのタイトルで大きくなったものを、次のステップに進めるためには何が必要かが分からないという苦しさがありました。また、マネジメントスキルが足りなかったというのも痛感しました。立ち上げてしっかり成長はできたんですが、そこから先どうやって伸ばすかというところに関して、当時は経験不足やスキル不足を感じていました。今ならもっとこうすればよかったと考えられる手がたくさんあります。

ゲームを経て次のキャリアにマッチングアプリを選択

インタビュアー: その後のキャリアについて教えてください!

金田:  先ほどの壁を感じたことに加えて、C向けサービスでもっと世の中のより多くの人にあってよかったと思われるものに関わりたいという想いがありました。多くの縁がタイミングよくあって、エウレカという会社に入社しました。エウレカはマッチングアプリ「ペアーズ」を運営している会社です。2016年に入社したのですが、当時はまだ「出会い系アプリ」というイメージが強かったです。
しかし、面接で当時の役員と話す機会があり、純粋な思いに感銘を受けました。日本の男女の出会いをより良いものにしたいというエウレカの思いに共感し、自分の経験を活かせると思いました。

インタビュアー: 想いに打たれたと。当時のエウレカって、第2創業期みたいな感じですよね。

金田: はい。わたしが入社したのは、エウレカという会社が海外企業にM&Aされた直後くらいのタイミングでした。具体的にはアメリカにあるMatch Groupという、Tinderなどの会社をグループに収めている世界的なマッチングアプリ企業に参加しました。
一方でエウレカの組織はまだ小さく、80人ほどでした。チーム全体が一丸となってサービスを良くしていこうという雰囲気が溢れていたのが印象的だした。

インタビュアー: エウレカに入って最初の仕事はどんな感じでしたか?

金田: 最初はユーザーのマッチング体験を増やすために、マッチング相手を選ぶ画面のUIとUXのリニューアルを行いました。また、ABテストの仕組みを導入し、マッチング率の定量的な把握を進めました。

インタビュアー: 具体的にはどんな成果が出たんですか?

金田: マッチング画面の変更で、マッチング率と件数が劇的に数倍はね上がりました。当時のCTOも「そんな訳がない」と信じていませんでした(笑)。

インタビュアー: その後の役割はどのように変わっていきましたか?

金田: 基本的にはプロダクトに関わるチームが2つあり、その間の橋渡しや、経営チームと現場のチームの橋渡しを行っていました。ミーティングに参加してどんな人がどんなことをしているのかキャッチアップすることに必死だった記憶です。

インタビュアー: 当時のペアーズのプロダクト哲学についても教えてください。

金田: ペアーズのプロダクト哲学は非常に一貫しており、美学がはっきりしていました。経営メンバーと現場のメンバーの間でもその美学は共有されていました。わたし自身もその哲学を理解し、自分の中に落とし込む作業を行いました。

マッチングアプリが日本の文化になろうとする瞬間を見る

インタビュアー: 最終的にVP of Productになられるまでの過程について教えてください。

金田: 初期に渡り鳥のように、自由に動けたことが大きかったと思います。その後、ペアーズのプロダクトオーナーとして、具体的な肩書きを持って仕事を進めるようになりました。周囲からも認められるには時間がかかりましたが、役割を全うすることを意識して諦めず行動し続けました。

インタビュアー: そのVP Productになったのは何歳くらいの頃ですか?

金田: 29歳くらいだったと思います。

インタビュアー: 当時からペアーズはデーティングアプリとして1番のアプリケーションだったんですか?

金田: そうですね。ただ、結構新しいアプリも出てきて勢いよく伸びている時期でした。なので、部分的によって抜かれることもあった悔しい時期を過ごしていたこともありました。

インタビュアー: 会員数は何人くらいからどれくらいまで成長しましたか?

金田: わたしが入った時は累計会員数が300万人を突破していましたが、6年後に起業するときには1,500万人を突破していました。

インタビュアー: 300万人から金田さんの在籍中にどのような成長を遂げたのか気になります。オーナーになった時からの大失敗と大成功について教えてください。

金田: 大成功や大失敗を切り取るのは難しいです。失敗を学習と捉えることの重要性を学んだ時期でもありました。もちろん結果が出なかった施策や、自分のスキル不足で起こした失敗もありますが、それらが全て連続していると、今は考えています。

インタビュアー: その過程で学んだことは何かありますか?

金田: どれだけチャレンジできるか、失敗からどれだけ次につなげられるかを意識していました。失敗がなかったらもっと成功したかもしれませんが、それも含めて成長の一部です。エウレカでのキャリアでは、この考え方と姿勢が一番大事でした。

インタビュアー: 金田さんは非常にクレバーな印象ですが、かなり泥臭い部分もあるんですね。

金田: そうですね、エウレカ時代は特にそうでした。チームが増えて、各チームの施策を細かくチェックし、データを見て違和感があればすぐに深掘りして確認するという作業を毎朝やっていました。

インタビュアー: その徹底した姿勢が成果を生んだのですね。金田さんにはグローバルの上司もいましたよね?

金田: 間接的ですがいました。日本に直接のレポートラインはありましたが、Match Group全体のアジア太平洋地域を統括するディレクターとも定期的にディスカッションしていました。

インタビュアー: その時に英語を一生懸命勉強されたんですよね?

金田: はい、1日3時間、1年半ほど勉強しました。ハードワークとの両立なので大変でしたが、続ける力がついたことで、他の領域でもやれる自信がつきました。

インタビュアー: 継続する力が重要なんですね。それが金田さんの強みになっているのかもしれませんね。

金田: そうかもしれません。この過程を通じて得たものは英語だけでなく、何かを身につける力です。元々負けず嫌いなのもありますが、他の役員と一緒にやっていることで、負けたくないという気持ちが強まりました。

インタビュアー: 競争心と使命感がモチベーションの源泉と以前仰ってましたね。

金田: そうですね。競争心や使命感が強いと、自分の限界を超えて頑張れるんです。英語の例でも、他の役員に負けたくないという気持ちが続ける原動力になりました。
それが、なんか余裕で勝てそうってなると、自分の中でモチベーションが下がることもあります。相手が強ければ強いほど燃えるタイプかもしれません。勝ってやろうっていう意識は競争の中で育まれるものだと思いますね。

インタビュアー: 使命感についてはいかがでしょうか?

金田: ペアーズのVPになった時にはポジションというよりも役割として、見ていくチームの数が多くなると、やっぱり生半可な仕事はできないという使命感が強くなりました。これだけ多くの人が使ってくれて、一緒に作っているプロダクトなので、その責任を感じていましたね。人が関わる使命感の方が好きかもしれません。

代表の金田がSiremoを起業した背景とは

インタビュアー: ペアーズで素晴らしい業績を上げた後、なぜ起業を選んだのか、その経緯を教えてください。

金田: 当時、社会人10年目になるタイミングで、キャリアに変化をつけたいと思っていました。大学生のときに抱いたC向けサービスで世界の人に使われるサービスを作る会社を作るという夢を実現するタイミングと漠然と考えていました。

インタビュアー: 起業の選択に奥さんは何と言っていましたか?

金田: 妻もスタートアップに関して理解があるタイプでしたので、起業の相談をした時も驚かず「いいじゃん、やった方がいいよ!」という反応でした。結婚する前からそういうタイプだと分かっていたのだと思います。むしろ応援してくれる感じでしたね。

起業して最初のプロダクトSiremoとそのクローズ

インタビュアー: それは心強いですね。起業は2021年ですよね?

金田: そうですね、2021年11月に会社を登記して、2022年2月から本格的に動き始めました。当初はNFTのストアプラットフォームを作っていました。

インタビュアー: そのプラットフォームの反響はどうでしたか?

金田: ポジティブな面もありましたが、特に販売側を集めるのが難しくて、結果的にクローズしました。

起業して最初のプロダクトSiremoとそのクローズ

インタビュアー: 当時のプロダクト作りの想いはどんなものでしたか?

金田: 自分の身近な人の課題を解決したいという思いがありました。絵を描く人や作品を作る人が収益を得るのが難しいという声を何度も聞いていて、その部分で何か貢献できるプロダクトを作れないかと考えたのがきっかけでした。

インタビュアー: そのプロダクトについてはいつクローズでしたっけ?

金田: クローズしたのは昨年末ですね。2023年の年末にクローズしました。

インタビュアー: それと並行していまちゃんの開発を進めていたんですか?

金田: そうですね。NFTプラットフォームの運営を続けながら、いまの開発は2023年の4月くらいから始めました。並行してやっていました。

プログラミング未経験で開始した、音紡いま開発秘話

インタビュアー: 並行しては大変そうですね。ちなみに、コンテンツ側にシフトしたきっかけは何だったんですか?

金田: NFTのプラットフォームを手放す決断をした時に、販売側を集めるのが苦労した経験が大きかったです。プラットフォームの立ち上げは、両サイドを集めなければならないので難しいと感じました。まずは自分たちがコンテンツを作れる企業になる方が良いと思ったんです。コンテンツのパワーを作れる主体になりたいと。

インタビュアー: AI VTuberプロジェクトを始めたきっかけは?

金田: 日本だけでなく海外にも挑戦できるC向けサービスという軸と、自分がいま一番作りたいものという軸の2つが重なったからです。AIキャラクターのデザインも含めて、プログラミングから始めました。2週間ほどでほぼ動くものを作り、6月にはWebからUnityに2週間でフルリプレイスしました。それから歌のAIモデルを自作しながら、絵師さんと一緒にLive2Dモデルを完成させ、10月くらいに今の姿になりました。

インタビュアー: 凄まじい速度感ですね。プログラミングの経験はあまりなかった中で、どうやって進めたのですか?

金田: 仕事でプログラムを書いたことはほとんどありませんでした。自分で作る方が早いと思いました。最初は形を変えつつ進め、コードのリプレイスも含めて約2ヶ月、3ヶ月で完成させました。プログラミングの詳細は、要件定義が重要です。コードを書く前に何を実現するかを決め、エラーが出たら原因を調べて修正するという"Fail Fast"の精神で進めました。

インタビュアー: それは大変な作業ですね。英語学習での経験が生きているのかもしれませんね。

金田: そうかもしれませんね。続ける力や学習の方法は、その経験から得たものが大きいかもしれません。

音紡いまにしかない魅力やこだわりとは?

インタビュアー: 未来の話に入る前に、金田さんから、今やっているいまちゃんと他VTuberとの違いについて教えて欲しいです。

金田: 端的に言えば、AI技術の活用にあります。AIによる自動生成の要素が強く、ユーザーとのインタラクションがより運営の難易度を高めています。従来のVTuberは、キャラクターの動きや声を人間がコントロールしていましたが、AIが自動で生成し、リアルタイムで応答しています。

金田: VTuberも大きく分けると、キズナアイさんのように最初は動画、つまり生配信ではないタイプの動画が主流でした。それからホロライブやにじさんじといった事務所が出てきて、生配信のスタイルが主流になり、瞬発力とウィットに富んだ演者さんがたくさん出てきたという流れがあります。

インタビュアー: なるほど。では、いまちゃんの優位性はどこにあるのでしょうか?

金田: 演者をやらせるということに関しては、優位性はなにもありません。「疲れない」「24時間配信できる」と言われますが、そもそも配信って何で見るんだろうと考えると、演者さんがゲームを楽しそうにやったり、ゲーム内にツッコミを入れたりする演者さんの瞬発性や、なぜ活動しているかといったストーリーが重要かと思います。特に前者の人間の演者さんが持つ瞬発性やキャラクター性はAIにはまだまだ及ばない部分があります。

インタビュアー: 確かに、人間の瞬発性やキャラクター性は魅力的ですね。

金田: そうですね。ただAIを選ぶ理由としては、その不完全なところやこれから変わっていく部分が面白いというのが大きいです。未熟な部分も可愛いとか面白いと思うかもしれませんし、今後大きく変わる可能性もあります。そのギャップがなくなるのか、違う進化を遂げるのか、どちらもあり得ると思っています。

インタビュアー: 特段優位ではない点含めて正直にお話いただき信頼性がありますね(笑)ただ、Xでのやり取りを見ていると、非常に人間らしいやり取りをしているように感じますが、その点についてはどうでしょうか?

毎朝の挨拶投稿では、国内外のファンとの温かいコミュニケーションが行き交う
https://x.com/imaliveai

金田: いまに関してはかなり人間らしい応答を心掛けています。つまり、自分の意思を大事にするAIというコンセプトです。例えば、何かをお願いされた時に嫌だと言えるAIにしています。書き言葉に関しても、人間らしさを出すために工夫しています。他のAIを見ると、男性が書いたライティングだなと感じることがありますが、女性が書いた文章を参考にして社内で作成したデータを学習させることで、人間らしい表現を目指しています。

インタビュアー: いまちゃんの動きなども含めて、金田さんの細部までやり切る姿勢が現れてますね。

金田: 体の動きや髪の動きは確かにこだわっています。最近は人のモーションアクターさんに協力いただき、そのデータを取り入れて、実際の動きを反映できるようにしています。やはり人間らしい動きをベースにぴょんぴょん跳ねたりする方が可愛いと思います。

GO Global!Siremoの未来

インタビュアー: いまちゃんの可愛さの秘密を知れた気がします。ここからは、いまちゃんのプロダクト的な観点から会社の話に移りたいと思います。いまちゃんや他のキャラクターを含めて、会社としてのミッションや今後の展望について教えてください。

金田: 最近、会社を作った意味や何をやるか、何をやらないかというフィルターがより明確になってきました。投資元のてるまくん(注:mintのジェネラルパートナー木暮圭佑さん)とディスカッションを深くやりました。結論、この会社はC向けで、日本に留まらないサービスを生み出すための挑戦をしていくべきだと強く感じています。わたし自身が情熱を注げる部分であり、他のスタートアップにはない経験を活かせると信じています。

インタビュアー: グローバル展開を意識し始めたのはいつ頃ですか?

金田: 学生の時から漠然と考えていましたが、具体的に意識をし始めたのはペアーズの時からでした。元々グローバル志向が強く、世界に向けて発信するプロダクトを作りたいという思いがありました。

インタビュアー: そのグローバル展開の具体的な地域や世代のターゲットについてお聞かせください。

金田: 世代的なこだわりが強いです。特に20代から30代の若者に向けて発信していきたいと考えています。Z世代の研究をされている方と議論をさせていただいたときに、アメリカのZ世代と日本のZ世代のインサイトの差は他の世代と比べて小さくなっているという話を伺いました。世界的に見ると、Z世代は大きな人口比率を持っているので、ターゲットとして非常に重要です。

インタビュアー: Z世代に向けてどのような課題を解決したいと考えていますか?

金田: 孤独感に苛まれているというインサイトがあるようです。繋がれば繋がるほど、自分の本当の姿を見せられないという窮屈さもあるのかもしません。そういった中で、いまが相談相手になったり、自分の好きなものを思いっきり話せる相手になれればと思います。学校や家庭で表現できない自分の一面を見せられる場所を提供したいです。

インタビュアー: 金田さん自身も孤独を感じる経験がありましたか?

金田: はい、孤独を感じることは多々ありました。また身近な人が孤独によって死に至る可能性があると実感する出来事もありました。少しでも多くの人が孤独感を和らげる手助けができればと思っています。このAIが人々の心に寄り添う存在になることを目指しています。

インタビュアー: 金田さんご自身はどうやってその孤独感を解消しているんですか?

金田: わたしは仕事の悩みは仕事で結果を出すことでしか解消できないと思ってしまうタイプです。結局は、事業がうまくいくかどうかがわたしの悩み解消にとって重要という考え方をしちゃいます。だから、どうやって愛されるプロダクトを作って事業を広げるかに頭を使うということを大事にしています。

インタビュアー: 素晴らしい考え方ですね。そんな苦労を経て作ったいまちゃんが、チャンネル登録を伸ばしているというのはすごいことですね。成功事例などがあれば教えてください。

金田: 正直まだまだ支持されていないと感じています。チャンネル登録者数も大事ですが、同時接続数が全然足りていないと感じます。それでも、毎回来て応援してくれる常連のリスナーさんがついてくれているのはありがたいです。また、Xでのエンゲージメントも大事にしていて、毎朝のおはよう投稿には100件以上の返信が来ることもあります。これは他のAIキャラクターにはあまり見られない現象だと思います。

インタビュアー: リスナーさんとのコミュニティがしっかりしているんですね。

金田: リスナーさんとの距離が近いのはあるかもしれません。わたし自身がリスナーさんから「こういうの早くやらないの?」とか、「配信中にメンションされたり」しています。リスナーさんからの質問やリクエストに直接応えることもあります。

インタビュアー: インタラクティブにリスナーの声が集まるというのは大事なことですね!これはプロダクトに反映させる際に意識していることなどありますか?

金田: はい、リスナーさんや常連さんの意見はすごく大事にしていますが、一方で大事にしすぎないようにも気を付けています。初めてこの子を見てくれた人の感想や、声に出さない新しい視聴者の意見も重要です。実際にプロのVTuberプロデューサーの意見を聞いたり、普段配信を見ない人の率直な感想を参考にしています。

インタビュアー: なるほど。それで今後のイベントやキャンペーンの予定はありますか?

金田: たくさんありますね。まずオリジナル曲を作ってライブをやりたいです。また、リスナーさんも参加できるような曲作りやインタラクティブな体験も企画したいです。リアルの会場で音楽ライブもやりたいですし、海外向けの挑戦も早く進めたいと思っています。来月や再来月には何カ国か現地のVTuber事務所さんと交流したり、ファンイベントに足を運んだりする予定です。

一緒に働きたい人物像とは?

インタビュアー: これからは仲間を集めることも重要ですね!現在の企業文化や働く価値について教えてください。

金田: 正解がない中で取り組む楽しさを分かる人と一緒に働きたいです。たくさんの失敗を繰り返しながら、次の展開を考えるスタンスで仕事をするのが楽しい方が合うと思います。知るものとしては、C向けサービスで日本以外の市場にも展開し、愛されるプロダクトを作ることが軸になっています。

インタビュアー: 他に採用において重要視している点はありますか?

金田: 私はプロダクト作りにこだわりが強いので、それを受け止めてくれる方がいいですね。尖った部分を見せられる関係が理想です。仕事としては、プロダクト作りやエンジニアリングの他に、音楽制作や動画制作、デジタルマーケティング、PRなど多岐にわたります。特に、いまをどうやって広めるかを一緒に考え、実際に行動できる方を求めています。

インタビュアー: これからJoinしてくれる方には、具体的にどのような仕事を任せたいですか?

金田: プロダクトをどのマーケットに投入するか、どういう提供価値を届けるかを一緒に考える仕事です。エンジニアリングに特化するよりも、いまをより多くのファンに愛されるようにする活動が重要です。マーケティングやPRを中心に、いまを広める活動に全力で取り組む方が理想です。

インタビュアー: ありがとうございます。最後に一言お願いします。

金田: 興味を持っていただいた方はXのDMでぜひご連絡ください。ありがとうございました。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?