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強い・楽しいデッキが知りたい ~MDに復帰するので、世界大会から流行デッキを読み取りました~

お久しぶりです。しらつちです。

2024ワールドチャンピオンシップの熱に浮かされて、「マスターデュエルやりたい!」という意欲が戻ってきました。

ライブ映像をボーっと眺めていただけなのですが、上位プレイヤーの方々が返し返されの熱い闘いを繰り広げている様子を見ていると、やはりなにか熱いものがこみ上げてきますね…!


というわけで3か月ぶりに『マスターデュエル』を起動させたのですが、ここでひとつ問題が生じます。

「今、どのようなデッキが流行っているのか全然わからない…」

3ヶ月前に使用していたデッキはまだ通用するのでしょうか。どのようなデッキが組めるようになったのでしょうか。そして私が興味をそそられる新規テーマはあるのでしょうか。

こうした疑問を解消すべく、今回は、2024世界大会において活躍したデッキたちを羅列しておくことにしました。

あとで見返した時にそのデッキを組みやすくなるように、必須パーツや追加候補となる札も置いておきます。自分用ではありますが、今組みたいデッキを探している方にも参考となれば幸いです。


※今回の記事を書くにあたり、以下のサイト及び記事を大いに参考とさせていただきました。熱戦を繰り広げたプレイヤーの方々、およびそれら試合をまとめてくださった方々には、感謝しかありません。

Top 4 Deck Lists: Yu-Gi-Oh! World Championship 2024
(2024/9月 世界大会 Top4チーム デッキ一覧)

World Championship 2024 Analytics
(2024/9月 世界大会 Top4デッキ 分布&戦績)

WCS 2024 Qualifiers - Top Decks
(2024/6月 DC2nd Top100デッキ)

Season 32 Top 10 Rating Deck Lists
(2024/8月 ランクマッチ Top10デッキ)





炎王スネークアイ

3ヶ月前もトップシェアだった気がするのですが、今も変わらずトップを守り続けています。さらに言えば、【スネークアイ】はまだ2段階3段階と強化を残しているそうです。そんな馬鹿な…。

とにかく罪宝ギミックが強い。初動にも誘発貫通にもなる札がまだ6枚(篝火2、ディアベルスター3、罪宝狩り1)あるのですから、中途半端な誘発では止まりません。

炎王側にも誘発貫通のギミック(聖域、孤島、キリン)が備わっていることもあり、どこに誘発を当てても展開を通されてしまいます。うららを投げようものならばヒータで蘇生されて利用される始末。本当にどうしようもありません。


後攻もそれなりに闘えるというのも、このデッキが好まれる理由でしょうか。むしろここが評価されてトップシェアまで上り詰めている気もします。

自由枠が広いので誘発をたくさん積みやすく、後攻時は1~2枚ほど投げつけて、相手にお伺いを立てられます。それで相手の先攻展開が止まればよし。止まらなかったとしても、弱体化した盤面であれば、罪宝ギミックで乗り越えることができます。

フランベルジュで除去&展開を同時にこなせるのが偉すぎますね…。EXデッキを使わずに盤面解決を狙えるので、下手にリンク召喚して手数を失う、という負けパターンを潰せます。

その意味では炎王ギミックもなかなかズルく、ポニクスで神天焼をサーチしておいて相手のマスカレを牽制したり、孤島でキリンを割って相手の妨害モンスターを消したり、やはり妨害を踏みながら展開し続けることができます。

EXデッキを使わずに妨害を吐かせていき、相手が力尽きたところでヒータやダルクから咎姫へつないで展開を通す―手数の暴力によって、後攻も押し切ることができます。しかも使い終わったガルドニクスや咎姫は妨害札として機能しますから、そのまま相手にターンを渡しても安心です。ポニクスと原罪宝の墓地効果で次ターンの初動を確保しつつ、的確に妨害を当ててゲームを畳みましょう。


というわけでとにかく対応力が高く、先攻後攻ともに安定して闘っていけるのがスネークアイ、延いては炎王スネークアイが人気を集めている理由であると予想されます。この流れは今後も続くでしょうし、残暑よろしく炎属性に焼かれる遊戯王生活を過ごすことになりそうです。


ユベル(純正、イブリース)

先に謝らせてください。このデッキについて私は知識を持たないので、エアプ100%で話させてもらいます。見当違いの話をしていたらすみません。復帰勢の戯言ということでここは一つ…。


炎王スネークアイに次いで上位シェアを占めており、その戦績もすさまじいものがありました。先攻勝率70%という常軌を逸した数値を、しかも世界大会で叩きだしているのですから、強豪の一角であることは疑いようもありません。

このデッキを見た感想としては、遊戯王のお家芸でもある「同一効果を使い回してのソリュティア」を楽しめそうなデッキだと感じました。

なぜファントムのSSにターン1がないのか。なぜスピリット④にターン1がないのか。この2点を悪用してあげれば、ユベルが延々と湧いてくる過剰展開をこなせそうです。あとはそれらをリンク召喚に用いるだけ。ファントムによるモンスター無効を盾にして、手札誘発を無視しながら盤面を築けます。


先攻だけを見るのであれば、誘発貫通力の高さがこのデッキのウリなのでしょう。「モンスター無効」がチェーンを組まずにポンと出てくるので、誘発1枚は確実に踏まれてしまいます。その上で手数も多いので、手札誘発1枚はおろか、2枚投げても止まるかは怪しいところです。将来神ギミックや破壊ギミック、さらにはユベルの破壊時効果でリンク値を稼ぎ続け、最終盤面までこぎつけることでしょう。

悪魔族テーマということもあり、最終盤面にラギアを用意できるのが特に凶悪ですね。相手モンスターを吸いながらリトルナイトを出すだけで2妨害。さらに相手次第ではリトルナイト②でもう1妨害といった具合に、1枚で3妨害こなせる可能性があります。これが決まるだけでもゲームエンドになりかねません。


またイージーウィンを狙うべく、イブリースを送り付けるデッキタイプも存在しているのだとか。テーマ内に攻撃誘導させる永続魔法が存在するので、イブリース自爆特攻を許しません。

リングリボーを採用しているデッキが多かったのは、このイブリース型を警戒してのことだったのですね…。貴重なEX枠をたった1デッキのために割いているのですから、ユベルがいかに意識されているのか伺い知れます。やはり炎属性テーマともども、猛威をふるい続けるのでしょう。


ティアラメンツ(純正 ホルス 50枚 60枚)

「え、まだ強いの!?」と驚かされたテーマ。3ヶ月前、私がDC1stを突破したデッキもこれでした。少し調べてみたのですが、『マスターデュエル』におけるティアラメンツ初出は2023/4/10とのことで、都合1年半も環境に居続けている計算となります。息が長いですね…。

私の記憶通りであれば、ティアラメンツは理不尽なまでに妨害数を増やしていくテーマのはず。初動率に難あれど、一度動いてしまえば大量の墓地効果からどんどん妨害数を稼ぐことができます。目指す盤面は「バロネス+ルルカロス+ティアラメンツ罠+墓地シラユキ」といったところでしょうか。落ちかた次第ではさらに妨害を増やせますし、素引きのフェンリルやペルレイノも妨害として機能することがあります。


墓地肥やしという不確定要素に頼る以上、最終盤面がコロコロ変化するのもこのデッキの特徴です。毎試合、「どこまで妨害数を伸ばせるのか?」というチキンレースを行うことになるので、使用する側としてはこれ以上なく楽しいデッキではあるのですよね。

「あ、トルドー落ちた。これでバロネス確定かな」「ビーツが落ちたおかげで、初動に落としたサリークを回収できた。儲け儲け」「シラユキ落ちてないからライザーをはさもう。展開力は落ちるけど仕方ない」などなど、墓地肥やしに一喜一憂するのが楽しくて仕方ありません。

あるいは小技が光るのも、ティアラメンツの楽しさを引き上げていたように思えます。バロネスでカレイドを割って好きなティアラメンツを落とす。イシズでティアラメンツを戻してペルレイノを誘発させる。こうした小技は一朝一夕で身に付くものではないので、使えば使うほどティアラメンツの理解が深まる―成長を実感できるのも良いですね。


さて、使用する側としては素晴らしいデッキなのですが、使用される側としてはどうなのでしょうか。トップシェアの炎王スネークアイからすると、少し嫌な相手かもしれません。なにせ墓地妨害を多用するテーマなので、ふとした拍子にイシズを落とされるだけで無力化されてしまいます。あるいは炎属性を並べた瞬間に、まとめて超融合で吸われてしまう…なんて事故が起こるかもしれません。

その性質上、炎王スネークアイのカウンターとしてティアラメンツは台頭していたように思えます。炎属性が強いままである限り、ティアラメンツもまた生き続けるのでしょう。

超融合を無理なく採用できるという強味を活かせば、他のテーマが相手でも闘えそうです。あるいはホルスギミックを混ぜたり、60枚構築で芝刈りからのシラユキ連打を狙ったり、後攻へ特化させる道も残されています。

構築の自由度がそのまま勝率につながる…とは限りませんが、構築も楽しめる良テーマであることは間違いありません。


烙印(50枚 60枚)

息が長すぎるテーマその2。烙印融合の登場が2022/9/9であることを考えると、かなり古参のテーマですね。ちなみにカルテシア登場は2023/6/8、クエム登場は2023/12/5。強化されるたびに展開ルートも複雑化していき、対面相手を泣かせ続けてきたテーマでもあります。

私自身、烙印が何をやってくるのかをまだ把握できていません。エンドフェイズに入ってやれ一安心と思いきや、クエムや気炎によって展開をさらに伸ばされ、気づいたら妨害も後続も増えていて…という展開力に驚かされた記憶があります。


展開力もさることながら、展開札の種類が豊富であるという点も見逃せません。たとえば烙印融合ひとつ取っても、アルベルからのサーチ、そのアルベルにアクセスすべく悲劇を落とす(おろ埋・黄金櫃)、サロニール&黒衣竜で烙印融合&断罪を墓地に揃える…など手段は多岐にわたります。

その性質上、採用カードの種類を増やせば増やすほど展開の択も増えていきますから、デッキ枚数も自然と膨らんでいきます。現状では50枚ないし60枚が主流となるのでしょうか。種々のカードを採用することで引きムラを生じさせ、手札すべてが有効札となるように構築しているようです。ゆえに後攻時も手札6枚を叩きつけて妨害を超えることができ、過剰展開してこない相手に対しては妨害を残す余裕すらあります。…ありそうに見えました。


実のところはなかなか苦しいようで、上記テーマに比べると勝率はあまりよろしくありません…。とりわけ先攻勝率の低さが気になります。手数で超えてくるデッキは、なにも烙印ばかりではありませんからね。スネークアイもティアラメンツも手数で後攻を闘っていけるデッキであり、しかも先攻勝率も担保されています。後攻が烙印と同程度に強く、しかし先攻は烙印以上に強いとなれば、烙印が敵う道理はありません。


とまあ現状は苦しそうに見えるのですが、今後どうなるのかは未知数です。ドルイドが制限解除されたことで、それを無理なく採用できる烙印が追い風を受けたようにも見えます。ビーステッドの刺さりは上々で、ティアラメンツやユベルの墓地融合を止めるのはもちろん、粛声ではローの蘇生を、スネークアイではマスカレの蘇生を阻止できます。

もっとも烙印自身もビーステッドを苦手としているので、同じくビーステッドを採用しやすいセンチュリオンあたりにお株を奪われる可能性はありますが…。


粛声(純正、アナコンダ)

エアプです。ただ以前、粛声に憧れて調べていたことがあるので、多少は知識があります。


デッキの性質としては、安定性に極振りしたミッドレンジという感じでしょうか。「サーチ+展開」の2つをこなしてくれるカードが多いため、ひとつ止めたところで他のカードからサーチされて展開を通されてしまいます。手札誘発に対してとにかく強い。

しかしこれだけでは他テーマと強味が変わりません。粛声だけの強味も欲しいところです。そして幸いなことに、その強味は簡単に見つかりました。Gを通されても問題がないという強みです。

基本的には「ローガーディアンを儀式召喚⇒ローをサーチ⇒そのままロー召喚…」という手順で展開していくので、Gを投げられても1ドローで抑えられます。さらに言えばこの手順を踏むことでビーステッドなどもケアできますし、無限泡影やヴェーラーもサウラヴィスで対策できます。


なんといいますか、テーマ内で誘発ケアが完結しているので、かなり使い心地が良さそうなのですよね。

Gが効かないのであれば指名者を採用しないという択も取れますから、空いた枠にメタカードを詰めやすくもなります。しかも粛声は儀式召喚だけでギミックが完結しているので、EXを使用しません。超融合や天底、果ては浮幽さくらも採用できるので、メタをかなり広く見られそうです。

あるいは儀式召喚のリリース要因になる点を評価して、二ビルやファンタズメイを3枚積んでみるのも面白そうですね。


とまあ構築段階でウキウキしていたのですが、実践上ではあまり評価されていない空気も感じました。戦績で言えば烙印とほとんど差はなく、先攻勝率に難があるという弱点も同様です。ミッドレンジというデッキタイプ自体が良くないのでしょうか…。完璧に展開を通せたとしても3妨害ほどが限界なので、手数で押されるとどうしても盤面を崩されてしまいます。

※参考動画
理想展開を通すも、R-ACEに捲られてしまう粛声(※OCG)
G無限を越えて盤面を作るも、炎王スネークアイに捲られる(※MD)


この問題を解決すべく、烙印ギミックを出張させたアナコンダ型も生まれたのだとか。素引きしたくないカードを採用しなければならない点は気になりますが、アルバスや烙印融合は後攻札としても使えるのでしょうし、先攻勝率を伸ばせるのであれば試したいところです。

ただ色々と語ってはいますが、結局のところは机上の空論でしかあありません。粛声に関しては今後触ろうと思っているので、続きはその時に考えたいですね。


ピュアリィ

試合回数が少なかったり、先攻率が高かったりはしたものの、上位デッキと比べても遜色ないほどの戦績を収めていました。やはりノワールの詰み性能はすさまじいですね…。

各メモリーによる心地よいムーブも健在です。スリーピィ3ドローからのリィープ3ドローおかわり。自爆特攻してマイフレンドによるメモリー大量回収を狙う逆襲劇。そしてスリーピィ連打によって相手盤面が空になっていく爽快感。どれも”してやった感”があって笑顔になれます。


とはいえ復帰者が使うには難しいデッキなのかな、という懸念もあったりします。自前で用意できる妨害数自体は大したことがない(ノワール2~3妨害)ので、クリティカルなタイミングで妨害を当てなければ簡単に盤面を返されてしまいます。もちろん、スリーピィのドローで引いた手札誘発も、大事に使わなければなりません。

相手が何をしてくるのか、流行デッキの性質をきちんと把握しておいてこそ、こういったミッドレンジ系は輝くはずです。


上述したテクニックを通すという意味でも、対面理解は欠かせません。さらにメインギミックだけでは手に負えない相手がいるのであれば、メタカードの採用も視野に入ります。実際、手札不足を補うために強貪やビーストを採用したり、制圧力を上げるべく割拠や墓地メタに頼っている構築も見受けられました。

さすがに強貪やアトラクターはリスクが大きすぎる気もしますが、それも環境次第なのでしょう。博打を打ってでも勝ちたい相手がいるのであれば覚悟を見せなければならない。そのような心意気を学ぶことができました。

ピュアリィはただでさえ初動を減らされて苦しい立場にあるわけですし、今後の動向いかんでは尖った構築が期待されるのかもしれませんね。


センチュリオン(深淵、超重)

エアプです。ただ、偶然にもランクマッチで遭遇したので、何をしてくるのかは漠然と学べました。ザックリ言うと、アクセルシンクロして闘っていくデッキですね。

私が見せてもらえた動きとしては、相手ターンに相手の墓地を奪いながらドルイドを出し、そのドルイドを素材にしてシンクロ召喚。アンヘルとドルイド墓地効果で2除去するというものがありました。


用意できる妨害数はそこまで多くないものの、ビーステッドを展開に絡めることができるという点がかなり強そうに見えます。やろうと思えばデッキの半分を手札誘発で埋められるのではないでしょうか。墓地を活用するデッキからは嫌われる存在になりそうですね。

また少し調べた限りでは、センチュリオンは出張性能にも長けているようです。ビーステッドをフル投入した深淵センチュリオンに始まり、初動率&盤面強度を上げるために超重武者と混ぜたり、未実装テーマではありますが【白き森】とも相性が良いと聞きました。混ぜ物できるデッキというのはそれだけで価値があります。構築に悩めるという楽しさがありますからね。


出張ギミックだけに焦点を当てると、召喚権を温存しつつ星4チューナを供給したり、そこから12シンクロを出したりするらしいですね。

この動きにつながるカードが6枚(スタンドアップ・エンブレーマー)ある上、召喚権を切れば(プリメラ・トゥルーデア)やはり同じように動けるということで、安定性に長けている出張セットとなっています。

出張系のギミックは大抵、素引きしたくないカードも採用することになるのですが、センチュリオン出張にはそれがありません。これも素晴らしいですね。


星4チューナを出力できること、さらには12シンクロを主軸に据えていることを考えると、星8を盤面に用意できるテーマとは特に相性がよさそうです。パッと思いつくだけでもホルスやPUNK、タイムラグはあるもののラビュリンスと混ぜてみたくなります。

あるいは召喚権を使わずに星4チューナーを供給できることに着目して、相剣の誘発貫通ギミックとして活躍させる手もあります。夢が広がりますね。

純構築にせよ出張ギミックにせよ可能性を感じるテーマなので、いずれ触ってみたいところ。惜しむらくはセレクション販売がすでに終了しており、シークレットパック実装もまだ見込めない点でしょうか…。


R-ACE

3ヶ月前はトップシェアだった気がするのですが、今では鳴りを潜めているようですね。

やはり炎王スネークアイにシェアを奪われたのでしょうか。あちらは篝火を減らしてディアベルスターを増やすだけでリペアが済んでおり、全盛期とほぼ変わらぬ使用感で闘うことができます。

一方、R-ACEはもともとディアベルスターを3枚積んでいたため、増やせるカードがありません。さらにエアホイスターまで準制限に落ちています。シンプルに1枚初動が減ってしまったせいで、初動率も誘発貫通力も落ち込んだのでしょう。そりゃあ炎王スネークアイに人が流れますよね…。


今も炎王スネークアイが嬉々として暴れ回っていることを考えると、「R-ACEはもう緩和してもいいのでは?」という気持ちになってくるのですから不思議です。「リトルナイト+タービュランス」の暴力には散々苦しめられたものですが、逆に言えば、この盤面はあまりにも完成された美しい動きでもありました。

タービュランスは元々、うららを投げられないテキストをしており、かといって無限やヴェーラーを投げようものならば、リトルナイトで逃げられて不発にされてしまいます。この完全誘発耐性ともいえる布陣には、ある種の万能感が備わっていました。

たしかγを積極的に採用するようになったのも、この頃です。タービュランスを止められるのは本当にこれ1枚しかなかったので…。その意味でも、この消防士たちは私の価値観を大いに揺らがしてくれた存在として、今も脳裏に焼き付いています。


そのR-ACEが姿を消してしまうとは…。タービュランス4伏せの万能感はまだ健在ですし、プリベンダーで妨害&展開をサポートする動きも明らかに強いというのに…。

とまあ盛者必衰を嘆いてはみたものの、世界大会での戦績だけ見ると、未だにトップクラスの性能を誇っているようにも思えました。試行回数があまりに少ないので鵜呑みにすることはできませんが、炎王スネークアイと同等以上の戦績を上げている時点で、今でも現役のデッキであることは明白です。

そもそも世界大会では独自ルールが設けられており、炎王スネークアイとR-ACEが共存できないリミット内容となっていました。この縛りさえなければ、R-ACEもさらに活躍できたのかもしれません。

場末のプレイヤーとしてはその答えを得られそうにはありませんが、まだ強い可能性があるというだけも嬉しくなってしまいます。


超重武者(FTK)

「なんで?」と声が出てしまいました。イワトオシが制限され、カラミティが去り、ダイ8すら減らされた超重武者がなぜ闘えるのか、と。

しかしデッキ構築を拝見したところで納得しました。カラミティがなければワンキルすればいいじゃないと言わんばかりに、FTKへ特化させた構築だったのです。あとダイ8が戻ってきていました。

おそらくこれは世界大会のレギュレーションと噛み合ったデッキなのでしょう。このルール下では、手札誘発をたくさん詰めるデッキが限られています。つまりランクマッチよりも先攻展開が通りやすくなっており、代わりに一滴や結界破などの後攻札を警戒する必要がありました。

ではこのルールを逆手に取り、相手が手札誘発を積んでいないデッキを使ってくると想定すればどうでしょうか。

確実に勝ちたいのであれば、先攻でFTKを決めてしまうのが一番と考えるのは自然な流れです。そしてそれを現実的に行えるのが超重武者だと判断したのでしょう。事実、対戦回数こそ7回しかありません先攻勝率100%というあり得ない数字を叩き出しています。

これこそまさに作戦勝ち。イレギュラーなルールにもしっかり対応できるのですから、やはり上位プレイヤーの方々には驚かされてしまいます。


ともあれ現実的な話もしましょうか。ランクマッチで超重武者を使うのはどうだろう、というお話です。私自身、超重武者にはかなりお世話になったので、一時期はランクマッチに持ち込んだこともありました。ただ、そのゲーム体験が素晴らしかったかというと…正直、苦いものがあります。

対戦相手の方々は基本的に、ワカU4を発動した時点で察します。FTKかカラミティか過剰妨害か。どのような盤面であっても、勝ち目がないことを悟るわけです。

というわけで手札誘発を握っていなかったり、誘発を投げても貫通札を後出しされたりすると、そのままサレンダーせざるを得なくなります。つまり、「ワカU4をPスケールにセット!⇒あ、サレンダーで。」という事案が大量発生するわけです。これではお互いに面白くありませんよね。

手っ取り早く勝利数を稼げるという意味では素晴らしいデッキなので、ランクを上げるには持って来いだとは思います。ただゲームを楽しむという観点ではかなり懐疑的です。わりと無の感情で回すことになるので、得られるものが何もありません…。

たまに手札誘発で止められてゲームになることもありますが、その場合は互いに誘発を投げ合う空中合戦と化すので、それはそれで窮屈なゲーム体験となります。


知らないうちにダイ8が戻ってきていたり、まだパキケやデスサイズといった無限妨害を頼ることができたり、今もランクマッチで超重武者を活躍させること自体は難しくありません。構築を考える楽しみも残されていますし、ソロモードでせっせとルート開拓するのも面白そうです。

あるいはセンチュリオンの項目で触れたように、ワカU4を出張パーツとして扱うのも良いでしょう。4チューナーの供給源にするも良し。ペンデュラムテーマの初動にするも良し。この程度であれば先攻制圧というほど激しい展開にはなり…はするのですが、少なくとも純構築ほどには理不尽感を与えません。

ささやかな貫通札として用いる感じですね。ワカU4というカード自体が可能性の塊なので、今後も折を見ては使用していくのでしょう。


ふわんだりぃず

息が長いという意味では、これ以上のテーマもないでしょう。

第1回DC(2022/8月)が開催された頃にも結果を残していましたからね…。まだ旅支度が実装されていない時代にですよ?信じられませんよね?

それだけこのデッキのコンセプトが強いということなのでしょう。えんぺんの制圧力は言うまでもありません。アトラクターによるイージーウィンも狙えますし、何よりも相手のGや墓穴を腐らせるという、現代遊戯王にあるまじき戦略が取れます。


しかしこれら強味がすべて台無となるほどに、初動が不安定なデッキでもありました…。

今や初動率90%を超えていないデッキには人権がありません。1枚初動は14枚積むのが当たり前。ついでに2枚初動の組み合わせも存在していれば、初動率が95%を超えることもあります。

その中で1枚初動が3枚しかないデッキを用いるというのは、まさしく不安でしかありません。

ろびーなを初手に引ける確率は33%ほど。金謙や強金、さらには強謙も1枚しか採用できませんから、ろびーな素引きは絶望的です。おまけに2枚初動としてカウントできるカードも、テーマ内に4枚しかありません(地図1、旅支度3)。初動率が足りていないのは明らかです。


さて、そんな中でデッキリストを拝見させていただいたのですが、なにやら見慣れないカードが採用されていました。

「いつの間にかLLが新規カードを得ていた…!」という話は置いておくにしても、このカードには驚かされました。まんま旅支度です。初動に苦しむ【ふわんだりぃず】がもっとも欲していたカードではないでしょうか。もしこれで初動率が劇的に改善するのであれば、たしかにこのデッキが復権してもおかしくはありません。

ろびーな召喚で相手の顔を歪ませる時代がまた戻ってくるのでしょうか。歪まされる側だった身としては複雑な心持ちではありますが、メタデッキでありながら展開系でもあるという貴重なテーマには違いないので、折を見て触ってみたくはあります。


VS

アトラクターを採用できる。Gもほどんと効かない。強味が【ふわんだりぃず】と共通していることもあり、ハマれば闘えそうなテーマでした。

実際に戦績も悪くなく、地力の高さを匂わせます。ただマッチアップには偏りがあり、炎属性テーマ(炎王スネークアイ、R-ACE)との対面がなかったことだけが気がかりです。

VSもミッドレンジテーマである以上、手数で押してくる相手に対しては苦しそうではあるのですが…。


さて悲しいことに、VSは課題も【ふわんだりぃず】と共通していたりします。初動率―いえ、このデッキに関してはラゼン率がそのまま勝率へ直結するので、あの手この手でラゼンを集めることになります。

ステイクがある分、ろびーなよりはアクセスしやすいのですが、それだけで足りるはずもなく。壺3種を採用してみたり、スモワやデュランダルで無理やりサーチしてきたり、構築を歪ませる必要があります。

それでいて採用札には手札コストとして使用できる属性(炎・闇・地)が求められるのですから、採用札にはかなり悩まされそうです。

なおラゼンはデンプシーからもサーチが利くので、召喚権を用いずに4エクシーズを達成できるのであれば、それがそのままラゼン率の改善にもつながります。具体的には超重武者ギミックがワンチャンありそうですね。

ワカU4は闇属性、他の超重武者は地属性なので、最悪でも手札コストにはなりますし、意外と悪くないのかもしれません。


ラビュリンス

※構築画像は割愛。人によって構築が異なりすぎるので…。


プレイヤーごとに構築がまるで異なること(罠型、家具型、中間型)。コインが上振れていたこと(先攻率83%)。マッチアップに偏りがあったこと(炎属性とマッチアップなし)。

これらを加味すると、世界大戦の戦績は参考にならないかもしれません。ただ勝率だけ見るとポテンシャルを感じるので、今後に期待は持てそうです。


しかし現状ではラビュリンスをどう構築してよいのか、皆目見当もつかないのですよね…。

世界大会では独自ルールも相まって、手札誘発や家具をほとんど採用しない、罠型が台頭していました。もちろん家具型も見られましたし、さらには家具を2枚(火吹き炉1、竜飾灯1)しか採用しないという型破りな構築にも出会えます。

また基本的な採用札だけでなく、メタカードの採用も印象的です。幅広い対面に刺さるスキドレはともかく、醒めない悪夢が3枚採用されているレシピを見た時には目を疑いました。神碑を重く見ていたのでしょうか。先攻を取る前提で考えると、孤島やスローンも割れますから、完全に腐る対面は少なく見えますが、どうなのでしょうか。


構築を悩ませる要素はまだあります。

最新弾にて実装された黒山羊の存在です。普通に伏せても強く、家具で捨てても強いという素晴らしいカードが実装されたことで、ラビュリンスの戦略もより幅広いものとなりました。

永続罠に頼らずとも妨害が足りやすくなったのが偉い。アリアスを3積みして、通常罠を軸に据えてみるといった構築も試しやすくなりました。あるいは天底からキトカロスを落とし、キトカロスから黒山羊が落ちるのを期待する、といった運要素を楽しむのも悪くないでしょう。

新規カードが1枚実装されるだけで夢が広がるのですから、ラビュリンスは本当に良いデッキですね。3ヶ月前は炎王スネークアイとの相性が絶望的だった印象もあるのですが、それが黒山羊でどこまで改善されるのかも興味があります。


神碑

※構築画像は割愛。これまた個人差が大きいデッキなので…。


いつの間にやらシークレットパックが実装されていたこのテーマ。しかし猛威を振るっていたのは過去の話で、規制に規制を重ねられた今となっては闘えるレベルなのかも怪しいところです…。

永続罠は(おそらく)不快罪で重い規制をかけられ、今となっては結界像や威光魔人に頼るまで追いつめられました。モンスターは罠よりは幾分か対処しやすいので、以前よりも突破される可能性が増えています。

そういえばカイコロもついに禁止となったのですね。個人的には転生炎獣で採用したことがあり、制圧力を補ったり、二ビルを対策したりと重宝していました。少し残念な気持ちはありますね…。

とはいえ永続系は「使用する側は楽しい。使用される側は不愉快」というカードの極致なので、禁止もやむなしなのかなと。その意味では御前、割拠、スキドレ、センサーあたりも危ない気がします。


神碑の話をしていたつもりが、永続系の話にすり替わってしまいました。神碑とは切っても切れない関係にあるカードなので、仕方ないことではあるのですが…。

一応、他の道も模索してみましょうか。神碑を安定して運用するとなれば、やはり他テーマと混ぜるのが無難でしょう。使ったことがないので鮮明なイメージはないのですが、かつて戦果を挙げていた神碑スプライトやナチュルーンあたりが想定されます。

つまり神碑ギミックを展開補助として用いるわけです。


召喚権を使わずに星2・星3・星4・星5・星9を選択して出せるわけですから、他にも混ぜられるテーマは多いはず。

たとえばユベルと混ぜるのはどうでしょうか。ファントムが星9なので、気軽に9エクシーズを立てられるようになります。実用性は差し置いても、本来であれば出しづらい9エクシーズを出せるのは面白そうです。

ただどこまで行っても「バトルフェイズがスキップされる」という神碑の制約が重くのしかかってきます。EXを圧迫するという問題もありますし、やはり神碑は使いどころが難しいですね…。

永続罠が返ってくることもあり得ませんし、現状では様子見しておくのが一番でしょうか。






以上、気になるデッキを挙げさせていただきました。

それにしても遊戯王はダメですね。気になったカードを見つけては調べ、その関連カードにも目移りして…というムーブを延々と繰り返してしまい、時間がドンドン溶けていきます 笑

それだけ知りたくなる・楽しめるコンテンツだという証左なので、嬉しい悲鳴ではあるのですが。


さて復帰するに際して、現役であろうデッキについてダラダラと語らせていただきました。サンプル数が少ないので割愛しましたが、他にもメタビートや勇者スプライト、斬機、エクソシスターといった面々が控えています。

また炎王スネークアイがトップシェアを占めている現状を鑑みると、同じく炎王スネークアイがトップを占めていた3ヶ月前のデッキ分布も参考になりそうです。これについては冒頭部分で参考URLを貼っておきました。やはり上位プレイヤーの方々が構築したデッキは参考になります。

とはいえ今は調べているだけでも楽しいので、しばらくは各テーマにおけるサンプル構築を考えて生活することになりそうです。

都合が良いことにDC1stも始まっていることですし、そこで強豪デッキやおもしろいデッキを拾い集めるのもまた一興。新鮮な気持ちでゆるく遊んでいきたいと思います。

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