日記 0407 ~ 0422


0407

昼下がり、漠然とした不安に襲われる。
明確な原因がある不安と、原因がない(わからない)不安とを同じ『不安』という言葉で表現するのは違和感がある。後者の不安は、出口に出られないのではないか、という感情を呼び、それがまた不安を呼ぶ。
多い時期は1週間に数回あったが、自己管理を意識しているおかげか最近になって1ヶ月に一度のペースにまで落ち着いた。
この感覚には慣れないが、時間が解決してくれることを知っている。数時間から、長くても2、3日で終わる。気分にまかせて何かを諦めたり、傷つけることは避けて、好きなことを好きなだけやる。音楽を聴いたり、歌ったり、動画を観たり、本を読んだり、眠ったりして過ごす。
この日は、好きな曲の歌詞とコードをノートにまとめる、ということをしていた。サイトの内容を丸写ししているだけだけど。
ノートの見開き1ページに一曲の歌詞を書き終えると、心のもやが薄くなっていた。
悩みを抱えているときには感情を紙に書き出すとすっきりすると聞いたことがある。感情を言語化できない今のような場合は、好きな曲の歌詞を紙に書いてみるのもいいのかもしれない。

今僕の中にある言葉のカケラ
喉の奥、鋭く尖って突き刺さる
キレイじゃなくたって 少しずつだっていいんだ
この痛みをただ形にするんだ

スキマスイッチ 『ボクノート』

0411

自室の棚に並んでいる数少ない小説のうち、出会い方が異なるものが一冊だけある。本屋さんに行く前にインターネットであらすじと読者の感想をあらかじめ知ってから買うということがほとんどだが、そういった情報無しで自分が気になったものを読んでみようと思い立って、選んだ一冊だった。

まだ雪が残る3月中旬ごろ、新刊の棚に見つけたのは『お誕生会クロニクル』という小説。金色に輝くタイトルと、背景のケーキの写真に惹かれて手に取った。様々な環境を生きる数人の主人公にとっての誕生日というものを描いているらしく、私は2か月後の自分の誕生日を意識した。法律上で大人になる日。その日を迎えるまでにこの小説を読もうと決め、雪の上を歩いた。

24日現在。まだ1つ目の物語の序盤にいる。

0415

季節の変わり目は不安定だ。小学生のころはそのせいで毎シーズン風邪を引いていたような記憶があるが、外出時にマスクを付けなくてはならない時期がやってきてからはめっきり風邪を引かなくなった。

今日はとても暖かい。春の暖かさというより、夏の暑さに近い。常に体中が湿っているような感覚が不快だ。今年の夏はどうなるだろうか。
去年の冬を迎えるとき「来年の夏は今年の夏以上にアクティブになろう」と心に留めたことを思い出した。思うだけタダだけど、あまり勝手なことは言わないでほしい。
それでも、夏にしか楽しめない自然の景色を見ておきたいとは思う。青々とした草木の姿が恋しい。

0417

やるべきことを終わらせたあとの、ぼーっとした時間。
おもむろにギターを手に取り、お気に入りのフレーズを爪弾く。
——言い回しをおしゃれにすればいいってわけじゃないですね。

必死に指使いを真似して覚えたフレーズ。歴に実力が伴っているかと言われれば決してそうではないけれど、趣味というのはこういうものだと思う。誰かと競っているわけではないのだから。
両手が複雑に動くようなフレーズはひとつふたつしか弾けないし、コードを鳴らしながら歌を口ずさんでいると見たことのないコードが出てきて戸惑うこともある。でも楽しい。飽き性の自分がここまで長く続けられている理由はただそれだけ。
大好きなミュージシャンが爪弾くときの感覚を自分の指先で再現できている瞬間や、彼らが生んだメロディーを口ずさむ瞬間は、ただ楽しい。
これからも私の人生には、折々の音楽が寄り添っているのだと思う。

0422

普通ってなんだろう。
一日のうちデジタルな画面を見る時間は何時間が普通なんだろう。人によって違うのだろうが、私は確実に長すぎる自覚がある。だからときどき機械から距離をとるように心がけている。数時間だけでもその時間を設けた日は、心身がすっきりしている。普段から無意識のうちに情報を受け取りすぎているということなのだろうか。

「読書よりも少ないエネルギーで楽しめるものがインターネット上には多く存在する」と過去の私は発言した。図書室に入る回数が片手で収まってしまう小中学生だったので、読書をしようと思うと一定のハードルを超えなくてはならない。それならば、と他の娯楽を選んでしまう。
そんな私が今日読んだ本は、私が応援している活動者が書いたエッセイ。
単行本が発表されて気になっていたけれど、値段が足かせになって立ち止まっていたところに文庫本発売の知らせを聞いて手に入れた。
『世界でいちばん私がカワイイ』
大好きな人が書く言葉だからか、彼女の魅力がそうさせるのか、すっと心に入ってくる。
私の『持ち歩きたい文庫本ランキング』1位になった。(即興のランキングだけど)通学カバンに入れて、お守りにしよう。文庫本になってくれてよかった。