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俎上と新夜



物語はいつも僕の手をすり抜けてしまうから、僕が物語にならなくちゃいけない。空想の僕が充足しているなら、空想のなかで泣いてくれればいい。要は印象論で、結構積みゲー。蠱惑と擬似をメチレンで包んで、卑しさなら海綿ですり潰す。味気ない胡瓜みたいな遠慮と出来損ないの思慮。段ボール製の全自動運転方舟、ずっと生身で対峙してたのに君だけがツイてるの?おてて繋いで同率一位も足切り目安の試し合いカンペも全部意味がないなんて分かっている 吸収した光を拭うように失われた時を求める 交ぜた外連が夕立を呼ぶ、ロマンスすらも形骸化して六月が過ぎた、流れた血で捺染した息が熱くなる、彼女の人生唯一の不幸をなぞって遣る、替えのきく棘の草、反響して脹らむ一方で 残るは尾鰭。

徒労と酔狂で形造る/付ける暇潰しでクーデターを発しましょう、主張するほどに手放した慈愛が無かったことにされてしまう、総動員した魂すらももぬけが滲んでいる、気持ちまで透明になったらここから出られる? 全てが武器も共存も証明するほどに鈍く反射してしまう、燃える舌じゃ憐れみの衷情、蒸発した忠誠は白い鍵盤、生まれ星座の名前が顕在を繋ぐ、資本主義と排他主義の整合性“それってお前に関係ないよね”左に捩れた貝殻が不協和音を奏でる 重ねた手に少しずつ溶けて歪む世界も認知も愛情も、過ちすらも映えてしまう満月の夜に、濃く煮詰めた蛇苺と火曜日の追憶でこころを焼き尽くす、どうせ引っ越せないのに新着賃貸チェックしちゃうしどうせ会計済まさないカートの中惰性のクロップス、ほしい物リストの中だけで完結する世界観と同一視されて、魅力は画数に比例するし、波打ち際でしか語れないような世迷言だけでドレスを作る 放送休止迄の5分で緻密に寓けてよね、愛を伝える程にさもしさは加速してしまう 満ちなかった欲望は夢の中で久しぶりに逢えた初恋のようなアメリカンチェリーの味で金曜日の夜をひりつかせている、密室でCD垂れ流すなんてありえない喪失やめて 
だだっ広い田園は解脱地点、紙製の溶かした褒美もかなり蛇足、焼きそばのタレが手首にベタついてやっと特別を取り戻す 薄いお腹を撫でて、星のない空を喉の奥に追いやる、ベルトコンベアを流れていく証は素性を暴く、雲の上のベッドに相応しい色を抽出して無名のがらすにお膳立て、どうしたって買えない愛に振り回されてる、どうせ幸せになれないなら僕の前だけでは騙されたふりをして欲しかったの

逃れられない運命だけでここに辿り着いたわけじゃない、宿命なんてもっとダサい値踏み、それ面白いと思って言ってんの?全ての人を幸せになんてできない、それでも街で君に似た人を見かけた それだけで生きていける。
聲は届かないのに実在だけに手垢をつけられた気分で焦げていく肉を横目に楽譜を叩く、これ以上擦られるわけにはいかない斬新を鮮烈な痛みで焚きつける こんなことしても意味がない なんて君にだけは言われたくない 説くたびに濁る伝統と常識の狭間で揺蕩うことでしか確立できない本物だけを愛することでしか息をしたくない


本当にめんどくさいの無知の知、私意と恣意ががんじがらめ、経緯と敬意を抱き締めてほしいだけ それでもぼくは独りで生きて死ぬ、いっそ剥がせるならラク出来た、裕勝なんて鼻につくけど邪魔なほど愛おしいものばかり、一緒に燃えた恋文を届いたと信じるのもエゴ?
履けなくなったトゥーシューズ、齧り掛けのスコーン、オリーブの木は一人で育てるものよ 大抵は想像が及ばないから悲劇で喜劇、多分ずっと光を追い込む性なのだ 味の抜けた夢を揃えて餮る 心臓に悪い気晴らしを並べて、なるだけ聴かない歌ばかりを徘徊してみる。世界に意味のないものなんてないからさあ、がらくたばかりの庭もない箱と明日には忘れた約束 全ての無関心は努力不足に帰結する世の中で、果たせなかった なんて 果たす気もない愛を擦り続けてるだけでしょ 

今日は君の命日だよ、拡張した瞳孔のまま朝陽を抱きしめたいだけだった、煉瓦に垂れた鼓動の円環をなぞって、視聴予約が終わった午前10時、Tシャツに染みる加虐性、腑をもいで交換こしよ、今日だってご飯が美味しくて、週末にはチルしてハグしてそれで?いつだって気が付かないふりしているだけよ、思い出したら居所は霧散してしまう二人。風雅を過ごす程に衰退を感じる丁寧さで、綺麗に微笑むことが出来るならコンビニ梯子しないよ、分かってて欲しいにばかり嫋うように即席に袖を通して健忘で足を洗って、フランキンセンスでちゃっかり乞いた規制の裏側はご想像にお任せします 傀儡になりたい竜、海馬で鳴くマリンバ、足りないから荊を頂戴、夏の終わりに少しだけ足りなかった人生で、眠りから覚めるときにはあなたの体温は残されていない
イマジナリーペットが朝を知らせてくれる生活 チグハグな魂でも手を重ね合わせることはできる 同じ共鳴を何度も拵えて神様を仕立てる 攻略だって理解だって消費だってなんでもいいから足袋は揃えておあがり そして喪を実感したならば都がうつろう理由はわかるはずだ 生きていなければ産まれなかった全てを愛している(死んでいたら産むことすらできない愛の全てに有償の烙印を押しているだけだ)


カタルシスも神様も紙一重、おさげが揺れて心の形を蓼で染める、追い込んだ性で満月の夜にだけ纏えるビジューを編み込んでいる、“足りない”を補い尽くしたら神様は必要ないから、小綺麗な歌で泣きに来たんじゃない、小賢しさだけで愛されるなら胼胝なんて作らない。
この夏はとても暑くて、茹だる以上に暑過ぎたから蝉は泣かずに磯が沸いたんだ、究極のコストパフォーマンスなんて皮肉を掲げる文明が、ファンタジーをリピートするだけの永久機関なんて本当に“虫が良すぎる”、だったら僕は世辞垂れて此処から飛ぶよ、それでも日持ちのしない新鮮さだけで揺れた舌触りは勘弁、あの街のままでキリない関係値を言わないまま査定する 侮辱も悟らない嫌いになれない優しさにつけ込まれて、弾くことのできないクロムも寿も打算で虚勢、よく焼きでも善くなくてもいいけどさ、簡単な気持ちでキスしたんじゃないこと言わなくてもわかってくれるから好きでいられるのよ

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