見出し画像

最軽量&LTE対応のChromebookを実現(Panasonic CF-RZ6 ChromeOS Flex化)

 こんにちは。何度かChromebookのレビューを書いています。Chromebookの特徴やどんな製品を選んだらいいかに迷う様を読みたい方はぜひ過去記事をお願いします。

重いPCは持ちたくない!

 上に並べた記事のとおり、ここ三か月ほどはLenovo 300e Chromebook Gen3(Softbankモデル)に落ち着いていたんですが、ちょっと春から仕事で貸与されてるWindowsPCを持ち運ぶ機会も増えまして、2台持ちはさすがに重いな、と。

 しかも、借りてるWindowsマシンが700g台の軽量モデルなもので、300eの1.2Kgがバカバカしくなってしまったわけです。え? 借りてるPCだけで色々やりゃいいだろうって? ぼくはセキュリテイ&コンプライアンス遵守マンなので、借りてるPCを私用に使おうとは思いません。個人のアカウントを入力したりするのも嫌ですからね。

 さあ、どうしたものか……って、待てよ。借りてるPCはSIMスロット付きでLTE使えるものなので、同じ機種を買ってChromeOS Flexを入れたらいいんじゃないか? 早速検索!

 で、検索したら、クソ高いんですよ。WindowsPCって今こんなに高いの? こんなに高いのにメモリ8GBくらいしかついてないの? ということで金額で嫌になってしまって、中古やジャンク品を探しに秋葉原に出かけたわけです。法人向けのリース切れで放出された端末なんかが狙い目だなと。バッチリのが無くても、相場さえ掴めればネットのフリマサイトで買ってもよいな、という割り切りで捜索開始です。

 アキバの中古ショップを巡ると、法人向けWindowsPCの出物でも13.3インチで1.2Kgくらいのものが多く、お話になりません。

 そんな中でもPanasonicのCF-RZシリーズは700g台かつ安めで、RZ4や5なら2万円台というお店もありましたが、セルラーモデル(LTEモデム内蔵型すなわちSIMスロットがついているもの)はレアでした。

 中古で購入したとして、ChromeOS Flexのインストールが正常にできるかわかりませんし、できたとしてもOSがLTEモデムを認識してくれるかも未知数です。

 先人でこれにトライした人はいないものかと検索してもChromeOS Flexになる前のCloudReady時代の古い情報しか出てこず、若干不安になります。WindowsPCを好きこのんでChromebook化するなんて人は少ないですし、ギガスクール構想でChromebookは増えているだろうけれど、個人で仕事に使っている人をあまり知らないし、これはしょうがない。

 人柱になるしかないか……と思ったその時、なんとCF-RZ6のセルラーモデルのジャンク品が19,000円台で出ているのをネットショップで発見しました。

 ジャンク品である所以は、ガワの割れです。おそらく盛大に落下させてしまったのでしょう。動作品でさえあれば、ヒビに接着剤でも流し込んでテープ貼ってラフに使えばいいやと割り切り、ポチりました。

CF-RZ6到着!

 果たしてRZ6が我が家にやってきました。RZ4や5あたりで着地しそうだったところにそれよりも良いRZ6です。ジャンク品扱いなので、本体だけが届いたのですが、あらかじめサードパーティ製の小型ACアダプタを買っておいたので速攻でチェック開始。

盛大に割れていたのでテープで補強

 送られてきた状態のままでまずは起動を確認。1920x1080のディスプレイは黄ばみもなくきれいです。とはいえ、そもそもグレア液晶は反射がキツいので好きではなく、こちらもあらかじめ買っておいたアンチグレアフィルムを貼ります。

 インストールされていたWindows10Proが申し分なく動きます。動作はそれほどもたつかず、ブラウジングくらいなら楽勝という雰囲気です。もしかしてChromeOSにせずにこのままブラウザだけを使っていってもいいのでは? という気にもなろうものです。

 しかし、ぼくが嫌いなのは使いたいときにWindowsOSの更新やアンチウィルス機能のせいで動きが重たくなることですし、Windowsは大きなファイルを扱うことになりがちなので、あまりSIMでの運用には向いていません。そんなことをしていたらギガが尽きまくります。やはりChromeOS化しなければ。

 CPUは「Core i5-7Y57 1.20GHz」です。メモリは4GBですが、ChromeOS Flexで使うには及第点。ブラウザからクラウドソリューションやPWA(プログレッシブウェブアプリ)を使うのが目的なので、各種Android用アプリやGooglePlayそのものがインストールできないこともまったく苦ではありません。LTEモデムさえ動けばすなわち常時接続ですから、すべてクラウドでよいのです。

 ジャンク品でしたがSIMの認識もされ、LTEモデムも何の不都合もなく稼働。画面を裏に回してのタブレットモードも、タッチパネル感度や縦横画面回転ともども正常。

 これは後で検索してわかったのですが、CF-RZシリーズは、SIMにdocomo系のものを使わないと認識しないようです。挿したSIMがたまたまdocomo系だったのでラッキーでした。試しに300eに挿さっているSoftbankのSIMを付け替えてみましたが、確かに認識しませんでした。

 バッテリーの最大容量は75%ほどに低下していましたが、4〜5時間は余裕で使えそうです。Panasonicのモデルはバッテリーが着脱式なので、バッテリーパックがディスコンにさえならなければ交換すればよいだけの話です。新品のバッテリーパックはどのネットショップも在庫なしの入荷次第発送扱いになっていたのですが、ビックカメラのポイントがあったので注文を入れておきました。これが届けばバッテリー差し替えで倍の時間使えますね。

ChromeOS Flexをインストール!

 ハードウェアも動作も問題なさそうなので、いよいよChromeOS Flexのインストールをします。

 あらかじめWindowsPC上のChromeブラウザの機能拡張経由で、ChromeOS Flexインストール用USBディスクを作成しておきます。さらにCZ6の電源を入れ直し、Panasonicロゴが出ているときに「F12」キーを押してBIOS設定を開き、USBディスクから起動できるように設定しておきます。

 ついでに、BIOSでのLTEモデムのオンオフなどの設定方法も確認しておきます。BIOSパスワードについても、最悪忘れてもいいようにメモっておきます。

 嬉しいことに、[Ctrl]キーと[Fn]キーを入れ替える項目があったので、入れ替えました。Ctrlは外側にあったほうが使いやすい派なもので……。キートップを外して入れ替えてもよいのですが、パンタグラフ構造をきちんと納める自信がないのでテプラで作った「Ctrl」「Fn」シールを貼ります。このあたりの美醜の問題なのですが、日々使う道具として何を気にするかで決めるのがよいと思います。テプラを貼っていないことでストレスが増えるくらいなら貼ってしまえ、という感覚がぼくにあります。


テプラ万能!大好き!一度貼り直したところが剥がれ始めてる!


 ということで、USBディスクをCZ6に挿して起動。まだインストールしませんよ。USBディスクからの直接起動をしたまま、ChromeOSの挙動をチェックするんです。

 ChromeOSが起動し、LTEモデムもdocomoのSIMも認識。WiFiをオフにした状態でもきちんとインターネット接続ができることを確認。これがもしAndroidならAPN設定に「spmode.ne.jp」を入力しなきゃいけないのに、それも無し。設定を見ると自動的に「SPモード」が選ばれていました。こんなにすんなり動いていいの?

 画面を閉じてのスリープ、キーの刻印と実際に表示される文字に違いはあるか、画面の明るさ調整やボリューム上下といった最低限の機能がファンクションキー([Fn]キーとの組み合わせ)で使えるか、Chromebookと違って更新キーや画面ロックキーが無いのでこれらがショートカットキーで代用できるか等を試します。もちろん多少の差異は無視できればそれでいいですし、ぼくの場合は何を無視したか忘れたほど。

 キーボード、タッチパッド、左右ボタンを無効にするHOLDボタンも問題ありませんでした。画面回転もOK。タブレットモードも快適で、ChromeOS用に作られたんじゃないかってくらい、きちんと動きます。

 動作確認が完了したら、いよいよ本格的なインストールです。

 頑張ればデュアルブートにできるのかもしれませんが、WindowsOSは使わないのだから切り替えることはないでしょう。最悪ここでインストールがうまくいかずに文鎮化する恐れはゼロではないのですが、人柱と割り切って、戻れない道を往くことにします。

 ほんの数分で、無事インストール完了。拍子抜けです。先程のチェック時と同様、問題なく動きました。

 あまりにあっけなかったので、心に余裕があるうちに、割れていたところに瞬間接着剤を塗って染み込ませ、損傷のひどいところはテープで補強しました。

見事にChromeOS Flexが起動。画面右上、キーボード右下が補強部分。

 ということで、見栄えは悪いですがどこのメーカーも出していない「700g台のLTEモデム内蔵Chromebook」が手に入りました! 本体とACアダプタとアンチグレアフィルム合わせて2万5千円くらいって考えるとすごい。

一週間でトラブル発生!?

 そこから順調に使っていたCF-RZ6ですが、使い始めてちょうど一週間めに、急にLTEモデムが使い物にならなくなりました。症状としては、SIMを認識していてdocomoネットワークであるということまでは表示されるのに、画面上でのモバイル通信スイッチがオンになりません。

 設定でオンにしても、どういうわけかシュッっとオフ側に戻ってしまいます。

オン→シュッ!(オフ)
オン→シュッ!(オフ)
オン→シュッ…

 遊びでやってるんじゃあないんだよ!

 これでは原因の切り分けが難しい。SIMの不具合が考えられるので、手持ちの別のdocomo系SIMを挿してみましたが、やはり同じ。認識しているのに通信ができない。無駄な通信でもしてギガが尽きたか? と思い使用量を別の端末からドコモのユーザーサイトにアクセスして確認しましたが問題なし。挿してあったSIMを別のタブレットに挿すときちんと動く。もちろんUSBドングル型の外付けモデムにSIMを挿してUSBポート経由で通信しても動く。

 となると、内蔵LTEモデム部分が壊れたか……。楽しい一週間だったな。日割りすると一日3,000円弱か……もう1台状態のよい中古品を買うしかないか。

 そんなことを考えてフリマサイトなどを物色し、あまりいいものがなかったので画面を閉じてスリープさせた際、ふと本体側面のスイッチに目がいきました。

「WIRELESS」……なんだこのスイッチ。

 オフになってるじゃん……パチッ。え、まさかこれ?

 画面を開いてスリープを解除。これまで接続しにいかなかったモバイル通信の三角マークがきっちりアンテナを捉え……WiFiをオフにしてみると……LTEで通信できるじゃん!

 ここまで4時間。泰山鳴動して鼠一匹。ジャンク品ゆえに取り扱い説明書やガイドブックが無いので、このスイッチの存在に気づかなかったわけですが、万一そういうものがあっても読み飛ばして気づいていなかっただろうな、とも思います。しかもそのスイッチの近くに物理の音量ボタンまである。至れり尽くせりですね、CF-RZ6……。

 戒めを込めて、クソダサテプラシールを貼ります。もし未来のぼくがWIRELESSスイッチの存在を度忘れしていてもこれで大丈夫。忘れてはいけないことは書いて貼る。「金色の羽根はとにかく後ろをなぐれ!!」の精神です。

これで二度と慌てないゾ!

飽くなきモバイルの道……続く!

 というわけで、この記事もCF-RZ6を使ってカフェで書いているのですが、とても快適です。アンチグレアフィルムのおかげで、輝度を下げても画面がよく見えるので、バッテリー温存にも効果があります。

 とはいえ、今回はわりかしラッキーの連続だったな、と思います。CF-RZはRZ8を最後にシリーズが終了してしまっているので、中古品を探すしかないのですが、RZ8(黒)のメモリー8MB、セルラーモデルの出物があったら確保しようと思います。

 ディスクレームを書いておきますが、もし他の機械で同様の試みをしてもChromeOS FlexやLTEモデムが満足に動くかどうかはわかりません。ぼくが豪運だっただけかもしれません、そしてあなたは得てして運が無い。自己責任でお願いします。

投げ銭大好きですが、なるべく折りたたんでお投げくださいますようお願いいたします。