ドジっ子を克服したい

 タイトルの通りだ。ドジっ子を克服したい。

 生来のキツネ顔と不愛想でクールだと誤解されがちだが私はかなり抜けている。それも人を不安にさせる方向で。
 何かを置き忘れる、水をこぼすなどは日常茶飯事。動けば体の一部をぶつけ、一人暮らしをすれば4年間で皿を7枚と急須とケトルを壊す。料理をすれば卵を三角コーナーに割り入れ、使い終わった箸を何故か洗濯機に放り込む。私服だった前の職場では服を裏表逆で出勤し、洗濯をさせればトチ狂って職場なのに水を頭からかぶりずぶ濡れになる。エピソードの枚挙にいとまがない。

 このようなエピソードを話すと「え~可愛いじゃん」的な反応をされるが、特に容姿が良いわけでも秀でた能力があるわけでもない25歳女性がこのようなことを繰り返してもやばいだけなのである。まだ愛想が良ければそれもまた、あばたもえくぼというやつだろうが、私はとんでもねえ不愛想なのだ。どうしよう、30越えてもこのままだったら。

 なぜこんな話になったかというと、先日職場でやらかしたのだ。

 職場はちょっと変わった建物で、俗にいう公共施設だ。
 本館と別館があり、そこの渡橋を工事していた。この渡橋が跳ね橋のようになっており、室内にありながら地面から1Mほど浮いている。そして私は普段、昼食後に本館から別館へ跳ね橋を通って歯磨きに行く。
 この跳ね橋が工事中で通れなくなっていた。正しくは一部床を抜いていた。勘のいい方は気づいただろう。そう、昼食後、私は

跳ね橋から落ちた


 もう漫画みたいに落ちた。踏み出した左足の先に床がなかった。強かに膝を打ち付けたあと、響いた歯磨き用のコップの音で「ああ、そういえばここは工事中で、私は落ちたのだな」と理解した。

 もう一つ、話題を変えよう。
 私は失神癖のようなものを持っている。強い衝撃やらストレスがかかると体が強制的にシャットダウンをかけ、気絶してしまうのだ。人生で5回ぐらい気絶しているが、世の中の人間は気絶したことがないらしく驚く。
 もうわかっただろうが、跳ね橋から落ちた衝撃で気絶した。
 
…なんというか、神は与えてはいけない人種に与えてはいけないものを与えるのが得意なのだろうな。

 気絶といっても、衝撃から時差があるため、跳ね橋から自力で脱出した私は、小部屋に逃げ込みそこから内線を上司にかけて動けない旨を伝えた。それでまあ…案の定たいへん職場の皆々様にご迷惑をおかけした。それはそうだ。なぜなら跳ね橋の工事は開始から数日たっており、周知もされ、跳ね橋の扉の前には立て看板がしてあった。

 しかしながら私は、意識が「歯磨きをするため別館の扉を開ける」ことに行っており、立て看板はおろか目の前の床がないことに気づかなかった。そんなことある?と職場の人に引かれながら言われたが、あります。

 基本的に注意散漫というか、現実から半分はみ出した状態で生きているので、なにかに集中しているとき以外は頭の中を文章が駆け巡っていたり、摂取したコンテンツの良かったところがほろほろリフレインしているのであまり現実が見れていないのだ。

 ということで、年齢的にも社会的にもそろそろドジっ子という枠で収まらないマジのやべー奴になってしまう前になんとかしていきたいなと思う所存だ。たぶん何とかならないんだけれども。

 ちなみに、膝は打撲で済みました。良かったです。