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お気に入りのおもちゃ

毎日、お気に入りのおもちゃで幼児が遊んでいる。
毎日、毎日、毎日。
片時も放さずに。

ママが声をかける。
幼児はママの言葉を無視して遊ぶ。

ママがツンツンとほほを突いても。
幼児は指を振り払って、おもちゃと遊ぶ。

ママの声は優しく聞こえている。
でもおもちゃで遊ぶことを止められない。

目覚めるとすぐにおもちゃと遊ぶ。
食事の時も、おしっこの時も、お風呂の時も、あらゆる時も。
幼児の頭はおもちゃでいっぱいだ。

見かねたママがおもちゃを取り上げる。

「いい加減で、ほかのおもちゃで遊びなさい」

すると幼児は火が点いたように大声で泣く。

「ぼくのおもちゃ! ぼくのおもちゃ! ぼくのおもちゃ!」

見かねたママはタンスの上におもちゃを仕舞う。

すると幼児は火が点いたように大声で指差す。

「ママが取った! ママが取った! ママが取った!」

おもちゃを取られた。
おもちゃを奪われた。
おもちゃを剥ぎ取られた。

僕のモノを!!
僕のモノなのに!!

1日2日3日……一週間。

ママの希望は叶わない。
幼児は他のおもちゃで遊ばない。
幼児はおもちゃの幻影を追いかける。

「僕のおもちゃ! 僕のおもちゃ! 僕のおもちゃ!」

信頼していたママに裏切られた。
愛されていたはずなのに。
僕は愛を失った。
僕は全て失った。

ママは幼児を慰めるため、部屋いっぱいの新しいおもちゃを用意する。
たくさんの愛を伝えるために。
しかし、幼児は見向きもしない。

部屋の中に新しいおもちゃが豊富に揃っているにもかかわらず。
ママは沢山の愛を伝えているにも関わらず。

ママはどうしたら幼児へ愛が伝わるかわからない。
ママは沢山のおもちゃと幼児を見て途方に暮れる。

気づく人は気づきなさい。

どうすれば幼児を助けられる?

ママがおもちゃを返せばいいのか?
そうなれば、おもちゃばかりで幼児は遊ぶ。
他のことには無視して、同じおもちゃで遊び続ける。
同じ輪の中で遊び続ける。

なんとしてでも幼児のおもちゃを取り返す?
それでは妄執になる、妄執する癖から抜け出さるのか?

なんとしてでも幼児のおもちゃを取り返す?
それではいつ沢山のおもちゃに、沢山の愛に目を向ける?

おもちゃをあきらめる?
幼児が信じた愛を捨てるのか?

幼児はただおもちゃで遊んでいただけ。
どうしてこんなことになってしまったのだろう。

幼児を救ってほしい。
幼児に愛の手を差し伸べてほしい。

気づく人は自ら気づきなさい。

幼児とママの二人救う方法は、
私達(あなた達)の自らを救う方法だ。

そして、その指し示す方向へ共に進もう。







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