架空喫茶ホボハチ

カランカラン

耳になじんできたベルの音を聞きながら喫茶ホボハチにはいるとKPOPがかすかに流れていた。

あ、今日はたつまさんがBGMのセレクトをしたんだな、と思いながら壁際の席へ座る。

店内には、しょーたろーさんが海外で買ってきたという置物が、乱雑だけどそこが自分の場所であるというように置いてある。

いつものようにトーストサンドと、豆乳ラテを注文する。ここのトーストサンドは厚切りの卵焼きがはさんであり、味付けはケチャップのみ。なんでもたつまさんが神奈川県にいたころに通っていた喫茶店の店主直伝の味らしい。食パンの切り方から習ったと嬉しそうに話していた。豆乳ラテは私が飲みたいがため、豆乳を買っては冷蔵庫へ入れてもらってるのだ。賞味期限が切れる前に飲み切らなくてはという心もちも含め通っているが故、すっかり常連となってしまった。

ここのノベルティは、ホボハチのロゴが入ったデンタルフロスや昔ながらのマッチ棒、お手製のクイズ本などバラエティーに富んでいる。お手製のクイズ本は、自由に書き込みができるようになっているので、お客さんが考えたクイズが随時更新されていて、お客さん同士の交流の場にもなっている。問題が書いてあるページには決して答えを書かず、別ページに答えや解いた方の考察等が書いてあるので、うっかり読み始めてしまうと時間を忘れてしまう。

席にトーストサンドと豆乳ラテが運ばれてきた。食べながら店内を見渡してみると、黒いカップでコーヒーを飲んでいる方、新聞を読みながら2杯目のコーヒーを飲んでいる方、鹿児島から来たとたつまさんとお話している方、とても分厚い参考書を広げて窓辺で勉強している学生さん、、、いつもの方たちだ。

学生さんに窓辺で勉強していて外が気にならないのか、と聞いたことがある。ホボハチの前には路面に接したフルーツジュース屋さんがあるのだが、そこで働いているショートヘアの凛とした女性に恋をしているのだそう。勉強をしながら彼女を見ることしかできないのだ、と。学生の恋は刹那的で取り戻せない思い出として残るだろうから、いい恋になるといいなと思う。

お代わりした豆乳ラテに少しだけ、はちみつを垂らして飲む。宿題も済ませて次の約束の場所へと向かう。また来週、日曜の昼下がりに来ますね、とあいさつをして。

カランカラン

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